うまくいっているならどんどんやっていこう!(解決志向アプローチ①)
久しぶりに小学校で”6年生を送る会”を見て、各学年の出し物のクオリティが高く、普通に感動してしまったと同時に、自分の時はどうだったかな?と思い出してしまった、コミュニケーションが苦手なカウンセラーのタカタです。一年間教室で活動できなかった子が、同級生とダンスを踊っていた姿を見てしまい、ウルっとしてしまいました。
今回から、解決志向アプローチ(以下SFA)というアプローチの仕方を共有していこうと思います。森先生と黒沢先生のSFAをもとに書いていこうと思います。
SFAとは「解決に焦点を当てるアプローチ」です。”解決”とは”問題解決”ではなく、”新しく何かが構築されること”、”より良き未来の状態を手に入れること”。”役に立つことは何か?”という視点で考えるアプローチです。
1.3つのルール
SFAには三つの中心的考え方があります。
〈ルール1〉
もしうまくいっているのなら、変えようとするな。
〈ルール2〉
もし一度やってうまくいったのなら、またそれをせよ。
〈ルール3〉
もしうまくいっていないのであれば、(なんでもいいから)違うことをせよ。
(〈森・黒沢のワークショップで学ぶ〉解決志向ブリーフセラピーより)
いたってシンプルな考え方です。一方で容易に3つのルールに背いていしまいます。ルール1は、うまくいっていても、本や勉強会に参加して、うまくいっていることを変えてしまい、かえって悪くなってしまうこともあります。ルール2は、せっかくある方法を試してうまくいったのに、それを継続しないことです。うまくいったことを自覚していないか、自分の考えと合わない方法だったからやらないとかあるかもしれません。ルール3の場合も背いてしまうことがあります。うまくいっていないにもかかわらず、同じことをやってしまい、失敗することを繰り返してしまいます。
SFAは、この3つのルールが中心で、実際に人と接するとき、支援するとき、カウンセリングするときなどは、このルールをもとに考えていきます。
2.4つの発想の前提
1.3つのルールのほかに、ものの見方、考え方があります。
発想の前提①
変化は絶えず起こっており、そして必然である
発想の前提②
小さな変化は、大きな変化を生み出す
発想の前提③
「解決」について知る方が、問題と原因を把握することよりも有用である
発想の前提④
人は問題解決のためのリソース(資源・資質)を持っている。それぞれ自分の解決のエキスパート(専門家)である。
(〈森・黒沢のワークショップで学ぶ〉解決志向ブリーフセラピーより)
発想の前提①
変化は絶えず起こっており、そして必然である
特に子どもたちに言えることですが、子どもにとって時間の意味は大きいです。しかし変化というものは、それをしっかり意識しないと見落としてしまうものです。変化しているものに対して、外の人間が、変化は止まっていると考えていると変化は止まってしまいます。ポイントは「変わるのを邪魔しない」です。
周囲の人、また本人も「自分は変わらない」「あの子は変わらない」という言葉をもって変化を阻止している場合があります。「あなたは変わりますよ」というメッセージを送ることが大事です。
発想の前提②
小さな変化は、大きな変化を生み出す
SFAは小さな変化をターゲットに当てます。小さな変化が起きると、いつの間にか大きな変化に発展していきます。
発想の前提③
「解決」について知る方が、問題と原因を把握することよりも有用である
「解決志向」の反対は、「問題志向」です。まず問題は何かを把握し、次にその原因を特定し、原因を取り除こうと変化させます。医学モデルに近いものがあります。心の問題を把握することはとても困難であり、原因を取り除いたところで、いくつも重なり合っている原因を取り除くことは難しいと思います。
また「問題はつくられる」です。あるものに「問題」だと意味づけることで「問題」だとみんなが考えていくのです。「キレイ」だと考えれば、みんなが「キレイ」と考えていくのです。
「不登校」という言葉が出来る前は、学校に行かない子はいたかもしれませんが、問題という認識ではなかったかもしれません。
問題を把握すればするほど、問題を大きくしてしまうことはよくあります。「解決」について知る方が、問題と原因を把握することよりも有用であるという認識だけで、解決に向かうのではないでしょうか。
発想の前提④
人は問題解決のためのリソース(資源・資質)を持っている。それぞれ自分の解決のエキスパート(専門家)である。
ある精神科医の神田橋先生の言葉に「『問題』という言葉を使いたくなったら、『能力』という言葉に言い換えてみなさい」というものがあります。
何々が問題だ!ということを何々が能力だ!と言い換えることで、その人のリソースが出てくる。それを持っているのも自分、それを生かすことが出来るのも自分なのです。したがって、自分は自分の解決のエキスパートであるということです。
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