【詩】親切なあなた
真っ白なキャンバスと知らない顔
嬉しそうな、疲れたような
耳馴染みのいい声に
触れそうで触れられない
やけに親切なあなたは物知りで
木漏れ日に舟を漕ぐ午後も
暮れ泥む雨上がりの匂いも
あなたが教えてくれたもの
宝物が増えるたびにどうして
笑みに湛えた憂鬱はきっと私のせい
あなたは優しい人だから
私だけ知らない私の秘密
どうしてそんなに泣かないで
あなたの笑った顔が好きよ
稲妻が閃いて あなたを攫って
白に戻っていく霧の向こう
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記憶のおかげで豊かな感情が芽生えるのでしょうか。
詩集『追憶』を公開しました。大切な時間を失って、向き合って、前に進む物語です。よかったら見ていただけると嬉しいです。