![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/135800625/rectangle_large_type_2_3dfa9fd432a33db3b94d64b00cb45495.jpeg?width=1200)
スモールビジネスだからこそ、価値観に共感し合える人々に出会うために発信をする。
noteを始めて4年半が経った。
自分の気分に合わせて書いてきたので更新頻度はバラバラだが、定期的に継続していた成果で、ありがたいことに読んでくれる人も増えてきた。
最近は、毎月2本以上はnoteを書くようにしている。
僕の場合は、会社を経営している立場上、経営者としての自分の時間の配分先には常に全体最適の判断が伴う。少なくない時間を投資するnoteの執筆を続けるにあたっては、具体的な経営的リターンがあることが必要不可欠だ。
つまり、noteでの発信を継続することが、自分の活動に好影響を与え続けてくれていると強く実感している。
だからこそ、自分の会社の社員には「noteを書こう」「SNSで発信をしよう」と伝えているが、始める前の人にとってはなかなか期待できる見返りの実感がなかったり、自分の考えを表明するハードルが高いことも確かだろう。
そこで今日は、「なぜnoteを通しての発信を続けるのか」について書いて見ようと思う。
(※これは会社のメンバーへ向けて書いているが、広く共感できる内容でもあると思うので、興味があればぜひ読み進めていただきたい)
発信を続ける目的:価値観に深く共感し合える人々に出会う
僕にとってnoteは、価値観を深く共感し合える人々に出会うために書いている。
広く読まれることは優先視していないので、いいね数やアクセス数は気にしていない。
取り繕うことはせず、自分が感じていることをそのまま書くようにしている。
文字数が長くなることも気にしない。
むしろ、文字数が長くなると、それで自然とスクリーニングされるので良い。最後まで読んだ人とは深い価値観の結び付きが生まれるように思う。
大切にしていることは、リーチよりも深度だ。
深度は、書き手と読み手双方のかけた時間に比例して深くなる。
実際、各記事への目に見える反応はほとんど無いのが実情だが、稀に記事を読み込んでツイートしてくれたり、DMで感想を教えてくれたり、お店まで来てくれる人がいる。
つい先日、お店で働いていると、「note読んでます!」と声をかけられることがあった。
彼は僕自身が懇意にしている飲食経営者の先輩である守口駿介さんのお店、バーガーマニアで働いているそうだ。
最近、駿介さんがnoteを書き出した。聞くと、お店に来たスタッフの彼が僕のnoteを参考に、「会社のことや代表の考え方をもっと伝えていったほうが良い」と駿介さんに進言したそうだ。駿介さんの等身大の思いや葛藤が綴られたnoteを、僕も楽しみに読んでいる。
僕自身のnoteが、自分が思い知らないところで何かに貢献できているというのはとても嬉しいことだし、やりがいを感じる。
僕の会社に面接に来てくれる方々も同様で、現在の社員の中にもnoteがきっかけになった人が多い。
事前にnoteを読んだ上で応募してきている人は、会社としての考え方に共感してくれているので、入社後のミスマッチが起きにくい。その意味では、取り繕って良いことばかりを書くよりも、自分の考えをさらけ出す方がメリットが大きい。途中で読むことを離脱するような人は、入社後の離脱も早いだろうし、ここでも長い文章は良い"ふるい落とし器"になる。
常々思うこととして、周囲にある価値観に共感し合える人々の存在が、自分がやりたいことを実現に近づけてくれる。
だからこそ、時間をかけて、自分の考えを丁寧に言葉にして発信していくことがとても大切だと思う。
発信のコンセプト:情報ではなく、価値観を発信する
記事を書くにあたっては、情報の発信よりも価値観の発信を重視している。
これは、僕が実際に連載しているホテルログというシリーズを続ける中で行き着いた考え方だ。
ホテルログ / CRAFT HOTEL COLLECTIVEは、僕が感動したホテルについてレポートする偏愛コンテンツ。場所に限らず、自分自身の感動体験を元にしているので、NYの郊外やコペンハーゲン、シドニーなどエリアは様々で、比較的ニッチなホテルを取り上げることが多い。
その中で、日本橋のK5や、京都のACE HOTELについて書いたところ、アクセス数やいいね数といった数値が他記事より大きく伸びた。なぜだろうと考えた結果わかったのは、日本のホテルについての記事は、読者にとって当事者意識が持てる"情報"だからだ。
日本のホテルなら自分も行ける可能性があるが、NYから3時間電車に乗って辿り着くホテルにはかなりの物好きでないと気が向かない。
そりゃそうだよなーと思いながらも、僕は多くの人が読まないだろうホテルのレポートを続けている。それは、情報の発信ではなく、僕自身の偏愛を通してものづくりへの価値観を表明し、それに共感する人との出会いを目的に置いているからだ。
これもついこの前の話。
LOBBYに初めて来たお客さんから、「新婚旅行でParamount House Hotelに泊まってきました。」とお声がけをもらった。
Paramount House Hotelとは、僕が毎年泊まりに行くほど大好きなシドニーのホテル。
GoogleでParamount House Hotelと検索すると、大体2番目には上のnoteが出てくる。
彼は、友人にこのホテルを教えてもらって調べていたところ、事細かにレポートする僕のnoteに出会ったらしい。
せっかくの新婚旅行なら、泊まるホテルを調べて吟味するのは当然だ。だけど、小規模なホテルになると、日本語で書かれている記事はなかなか見つけられない。
そんな中僕のnoteを読んで宿泊を決意し、実際の宿泊体験も同じように感動したとのことで、僕のお店にも来てくれたのだ。
こうして共通の価値観で通じ合えたら、「この人がやっている飲食店はどんなお店なんだろう?」と興味を持つのは必然で、そうした人がお店まで訪れてくれる。僕としても初めてお会いする方だったが、同じホテルが好きという共通言語のおかげで会話に花が咲いた。
こうしたことは過去に何度もあって、noteから僕のことを知り、お店に来て、仲の良い友人にまで発展した人もいる。その彼は事あるごとに僕達のお店に飲食をしに来てくれる大切な顧客でもある。
僕らがやっているスモールビジネスでは、こうした価値観の共感をベースにした経営が理想的だ。
僕自身年齢を重ねるに従い、自分がお金を投じる物事は、価値観に共感する人々の取り組みに限定されてきた。
どうせお金を使うのならば、共感する人々の繁栄に直接繋がる方法で使いたい。そうして、価値観に共感する人々が自分の身の回りに増えれば、自分の人生がより豊かになると信じている。
僕らがやる飲食店も、MYTONEというホームグッズブランドも、「100億円を目指そう!」というビッグビジネスではない。基本的には、「自分達が好きなもの、欲しいものを生み出し広げて、そこに共感する人々と生きていくための小宇宙を作る」取り組みだ。
規模の経済は全く働かないので、利便性や価格競争で大企業に勝てるわけがない。となると、店やブランドの根底にある価値観への共感は、経済活動の中で僕達の取り組みが選ばれるために必要不可欠だ。
だからこそ、深い発信が必要になる。
深い発信をしないと、誰も僕達の価値観を知り得ない。
小さなお店、小さなブランド、小さな組織体だからこそ発信が必要で、それは僕だけが行うよりも、チーム皆で取り組めたほうがなお良い。
これは組織のためでなく、個人のキャリア形成においても重要なことだ。
自分が理想とする場所や生き方、働き方を自ら作るためにも、一人一人が自分の考えを発信し続けることが大事だと思う。
(余談だが、先のParamount House Hotelのnoteのいいね数はたったの23だ。それでも、Googleの自然検索の結果では2番目に表示される。これはおいしい。日本語での情報が少ないニッチなデザインホテルだけを対象に網羅的に記事を書いたら、自分が出会いたい人だけが僕のことを勝手に見つけてくれる。広いリーチを目指す従来の広報戦略とは逆張りの、尖った好みを持つ人だけを対象とする高精度ターゲティングだ。笑)
今の自分だからできる発信がある。
「発信だ発信だ!」と言われても、「自分には発信するものがない」と思うかもしれない。
でもそんなことはない。誰にでも発信すべきものがある。
今この瞬間の自分の状況や考えに共感する人が必ずいるからだ。
「こんな自分が言ってもな」と、発信のために必要な自信がないという悩みは、僕自らもそうだったのでよく分かる。
僕はスタートアップを立ち上げて上場をしたり、巨額のバイアウトをして億万長者になった成功者でもなんでもないし、その予兆も全くない。
同世代の友人や会社員時代の同僚や先輩には、上場を目指して起業し、実際にそうなった人達もいるので、昔は少なからず負い目を感じたりもしていた。
だけど、小さな会社を運営する僕のnoteでも、共感をしてくれる人が存在する。金銭的な成功者を目指すよりも、仲間と好きなことをやることを重視して会社を経営するスタンスに共感する人がいるということだ。
最大公約数に好かれるものを作るのではなくて、「世界の中に、少なくても確実に存在する自分と同じ趣味嗜好の人達」に届くものを作る。
これは僕が事業に取り組む上で大切にしている考え方だ。
世界が繋がっている今の時代、全世界の1%でも共感できる人が存在すれば、スモールビジネスは成り立つ。
発信もそれと同じ。今この瞬間の等身大の自分と同じ様な状況にいる人が必ずどこかにいる。そんな自分達と同じ価値観を持つ誰かが、自分達のことを探し出せるように発信をするのだ。
自分の考えを言葉にした発信をしよう
noteで長い文章を書くのが難しければ、Instagramのフィードでも良い。
僕もたまに、Instagramのフィードに長々と文章を書いて投稿してみているが、思ったよりも読んでくれる人が多く、反応が良い。
(↑は5年前に感銘を受けたホテルについて投稿したら、たくさんの反応があって驚いた投稿。)
恥ずかしがらずに、「自分なんか」と思わずに、写真だけじゃなく文章にして自分の考えを発信しよう。
あとは、「なんか頑張っちゃってるw」「あいつ語っちゃってんなーw」と思われることも恐れずに。
この気持ちもよくわかるが、共感し合えない人にどう思われたって良いじゃないか。どうせその人とは人生の大事なフェーズで関わることはないのだから。
実際は皆、その人が何を考えているのかを知りたいと思っているものだ。「あ、実はこんなこと思ってたんだ」と、その人の内面を知って、共感して、さらに深くファンになったという経験は誰しも持っていると思う。
アクセス数やいいね数は気にしなくて良い。
それよりも、自分なりの発信を継続する事。
続けていれば、必ず誰かが見つけてくれる。
そして、その誰かこそが、僕達にとって大事な人達になるはずだ。