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【ぼくと数学の旅に出よう】やっぱり数学って面白いよね!
オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆
〜数学好きによる数学エッセイ〜
著者のミカエル・ロネーは、確率論を専攻する若い数学者であり、数学の面白さを伝えるためにYouTubeを開設するなど、数学普及のために活動する人物である。
本書は、そんな数学好きの数学者が書いた"数学エッセイ"と言える。歴史を辿りながら、数学の発展を解説してくれる。
難しい数式は一切出てこない。
純粋に「数学って面白いよね!!」を伝えてくれる。
〜「数学=計算」じゃない!〜
さて、これまで数学関連の本はいくつか読んできたが、真摯に数学教育に向き合う数学者たちの思いは同じのようだ。
それは「数学は公式の暗記と計算、だと思われるがそれは間違いだ」ということ。
計算や公式はあくまで数学を語る上での技術のひとつでしかない。
「数学する身体」によると、「数学」を英語では「マスマティクス(mathematics)」というが、その語源はギリシャ語の「マテーマ」という言葉であり、その意味は「考えること」だそうだ。
つまり、数学はもともと、世界の成り立ちを理解するためにその法則を解き明かそう、という動機から出来上がった考え方であり、その過程で数学記号や公式が後から出来上がったのだ。
しかし、学校ではその順番が逆転し、まず公式を覚えて計算するというのが数学である、と思い、「数学」と「現実」が切り離されたもののように感じてしまうのである。
とある政治家が「三角関数なんて使わない」と発言したことが物議を醸したのは記憶に久しいが、ある程度の大人でもそんな風に思っている人は少なくないのだろう。
「数学」とは「考え方」なのだ。
数学を学ぶ意義は大きい。
〜身近にある数学〜
とはいえ、「数学なんて生活の中で役に立たないよ」という考えからなかなか抜け出せない人も多いだろう。
そんな方にこそ本書をオススメしたい。
三角関数や微積分などが、この歴史上でどのように出来上がり、現代でどのように使われているのかを平易な言葉で教えてくれる。
また、自然の中に潜む数学の面白さや、数学の美しさなど、数学の魅力を存分に知ることができる。
数学は僕らの生きる世界に密接に関係しているのだ。
数学の学び直しを考えている人はもちろん、ある程度数学をやってる人も「ああ、やっぱり数学って面白いよね〜」と感じられる良書である。