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【金持ち父さん貧乏父さん】薬にも毒にもなりかねないベストセラー

オススメ度(最大☆5つ)

☆☆

僕の記憶が確かならば10数年前にベストセラーとしてテレビで取り上げられていた1冊だと思う。

その当時、僕がこの本に出会っていたなら、今とは違う人生を歩んでいたかもしれない、と思うほど、タイトルからは想像出来ない刺激的な内容である。

正直なところ、僕自身もそこそこお金の勉強を始めているので、見つけるのが遅すぎた1冊、というのがこの本に対する一番の印象である。

〜「ラットレース」から抜け出すには?〜

この本の中で言われている事はシンプルである。

「ラットレース」から抜け出すためには、お金に関する知識(ファイナンス・インテリジェンス)を得なければならない。

「ラットレース」とは何か?
ハムスターが回転する滑車の中をカラカラと走り続けている様子を表しているのだが、要は、負債の返済のために働き続ける状態の事を指している。
多くの人々は安定した職を持ち安定した収入を得る事が経済的自由への近道だと考えているが、その収入は負債を返済するために回されている。負債を返済する収入を得るために仕事をし続けていても、その「ラットレース」からは抜け出せず、永遠に経済的自由にはなれない、というのが著者の1番の主張である。ちなみに、この場合の負債とはローンやクレジットカードの請求書、はたまた税金まで含まれている。

そして、ファイナンス・インテリジェンスとは、お金のために働く力ではなく、お金に働かせる力と知識、である。

つまり、勤勉に働き続けても経済的自由には手が届かない。経済的自由を手に入れるためにはリスクを含めてお金に働いてもらうための知識と力を手に入れる必要がある、と著者は述べているのだ。

なかなか刺激的な内容である。
働き続けて車や家を購入したとしても、それは経済的豊かさは生まず、逆にそのローンの支払いのために働き続けなければならず、経済的に苦しい思いをする人生を歩むことになる、という、たしかに学校では習う事は出来ない痛烈な考え方である。

〜自己啓発としての本書〜

しかし、この本からは残念ながら会計学的な知識や投資のノウハウなどを得る事は出来ない。

自己啓発本としての面が強く、ある程度お金についての勉強をした人にとっては、あまり得るものはないだろう。

本当に、マジメに働く以外のお金の作り方が全くわからないという人の意識改革を狙った本だと感じた。

お金に関する勉強を始めている人にとっては、新しい気づきや発見は少ないだろう。

〜まずはインテリジェンスを〜

本書に触れた人にとっては、この本は薬にも毒にもなる本だ。

というのも、この本は、マジメに働く事を美徳としている人を徹底的に否定して、リスクをとり投資や起業を勧めている、ように感じてしまう。
読む人によっては、この本に怒りすら覚える人もいるかもしれない。
読む人によっては、この本に感化され、自分のお金に関する現状をハッキリと認識せず無謀な投資を始めてしまうかもしれない。

それだけ、刺激的な事を書いている。

この本は、あくまで、すぐに投資や起業を始めよう、と言っているわけではない。
「お金の勉強」を始めよう、と言っているのだ。

すぐに大金を稼いで経済的自由を手に入れる事はほぼ不可能だ。
ファイナンス・インテリジェンスの無い人は、宝くじが当たって急に大金を手に入れたとしても、すぐにお金に困る生活に戻る。

経済的自由を得る未来にむけて、時間をかけて、今からお金の勉強を始めよう、というのが著者の主張なのだろう。

ところどころに刺激の強い言葉が出てくるが、冷静に本全体のテーマを読み取り、自分の現状を見定め、出来る事から始めるきっかけにするといいかもしれない。

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