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【首のたるみが気になるの】ラブコメ女王によるユーモアたっぷりのエッセイ
オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆
〜女性の作るものが好きだ〜
僕は女性の作るものが好きだ。
音楽、小説、映画…女性が作る作品は、男性の作るものとは間違いなく違うと思っている。
男性のつくるものはなんとなく先が読めるし想像の範疇に収まる事が多いが、女性が作るものには僕の想像がつかないような驚きがある事が多い。
この感覚を理解してもらえない可能性もあるが、これは僕の女性に縁のなかった人生に原因がある。
男性が何を考えてどういう思考で行動しているのか、同じ男の友人などと話をしていればヒントは散りばめられている。
しかし、女性と会話する経験が同年代の10代の時と比べれば圧倒的に少なかった。それはつまり、女性が何を考えているか、女性がどのような思考で行動しているのか、手かがりが全くなく、さっぱりわからなかったのだ。
そんな僕にとって女性の考えを知るヒントになるのは、女性の作る作品であった。
小説や音楽や映画など、作り手の内面が幾ばくか反映されている作品には、女性の内面を知る手掛かりが潜んでいる。
そして、ヒットする作品には、それに共感する人も多いということだ。
そんなこんなで、僕が大人になるまで「女性とは何だろう?」という問いの答えは、全て女性たちが作った作品から得たものなのである。
まぁ何が言いたいかというと、本書の著者であるノーラ・エフロンさんが脚本をつとめた「恋人たちの予感」や「ユーガットメール」は楽しく見させていただいたし、このエッセイも大いに楽しめた、ということだ。
〜真正面から自分を見つめた1人の女性の姿〜
さて、本書はアメリカで大ヒットしたエッセイ集で、著者は先述したようなラブコメ映画の名手として知られるノーラ・エフロンさんである。
ノーラ・エフロンさんが本書を執筆したのは65歳の時だそうで、タイトルからおもわず「年齢を重ねた女性の苦悩や愚痴」を想像するのだが、単にそれだけのエッセイではない。
書かれていることは確かに苦悩や愚痴なのだが、阿川佐和子さんの絶妙な和訳も相まって、その軽妙な語り口に思わず笑みがこぼれてしまう。
過度な自虐はなく、鼻につくような感じもない。その姿は、だらしなくていい加減なのだが、ものすごくカッコいい。
真正面から自分を見つめ続けて真っ直ぐ生きてきた強い1人の人間の姿がここにはあったのだ。
〜「すべてはネタなのよ」〜
ノーラ・エフロンさんが母親から言われた言葉に印象的なものがある。
「すべてはネタなのよ」
この言葉をエフロンさんが、自分の笑い話を自分ですれば、自分がジョークの主役になれる、と解釈しているのが、このエッセイの全てのように思える。
物語の中を僕たちは生きているのだ。失敗であれ成功であれ、どんな出来事も自分の物語として語れば笑い話にもできるし、誰かを救う話にも出来る。
自分の身に起こる事をネタとして物語にして、自分の中に落とし込む。そうして語るものが自分の人生なのだ。
人生の真理をこのエピソードから得られたように思う。