第2章 日本橋川の変遷(第3節・4節・5節)
第3節 水運の衰微期(第2期)1)鉄道の開通と河川交通による都市間輸送 江戸時代以来、河川交通(以下、水運とする)は都市内だけでなく、都市間の人や物資の輸送の重要な担い手であった。それは、利根川を中心として川沿いに多くの河岸を有し発展していた。明治期に入って鉄道が開通してからも、水運はそれと競合しながら貨物輸送を受け持ちつづけていた。しかしながら、都市間の水運は新しい治水技術*5)の導入により大きな打撃を受けた。河川の両側には高い堤防が築かれ、河岸の機能が失われたためである。