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3年のリモートワークの中で見えた「事業成長と働きがいの両立」のために整えるべき4つの仕組み

株式会社ベーシック執行役員 CAOの角田(@takeshisumida_)です。
私は現在コーポレート部門の管掌役員として、経営企画、人事、広報、経理、財務、法務、総務など、バックオフィス周りの機能全般に幅広く関わっています。

先日ご縁があり、WorkstyleOSを提供されているACALL株式会社さんが主催するウェビナーに登壇させていただきました。
テーマとしては大きくは「働き方」ということで、特に"リモートワーク"を軸とした、ベーシックにおける現在の働き方についてお話しさせていただきました。

2020年2月頃から始まったコロナ禍から約3年、ご存知の通り、先日にはついに5類感染症への移行が決定されています。
それに伴い、これまではリモートワークを中心としていた会社の「オフィス回帰」が一層加速し始めているように思います。完全なフル出社ではないにしても、出社曜日の固定や、月or週における出社回数の縛りが出てきているという方も多いのではないでしょうか。

そのような流れの中、ベーシックでは、今のリモートワークを中心とした働き方をこれから変える予定は現状ありません。
我々としては今の時代においては決して珍しくないことだと思っていたのですが、今回のイベントでいただいた反応も踏まえ、世間的には必ずしも一般的ではないことを改めて認識しました。

そこで、「なぜそのように考えているのか?」「なぜ成り立っているのか?」等、リモートワークを中心としたベーシックの働き方の全体像について、改めてnoteとしてまとめて皆様にお伝えできればと思います。特に以下に当てはまる方にご覧いただけますと幸いです。

・リモートワークでの働き方に課題を感じていた、経営陣や人事の方
・リモートワークでも"成果"を出すポイントを知りたい、経営陣や人事の方
・アフターコロナの働き方全般について検討中の、経営陣や人事の方


ベーシックの働き方の現状

まずはベーシックの働き方の現状について、改めて概要をまとめます。

・コロナ禍を機に2020年2月からリモートワーク開始 (それまでは完全出社)
・在宅勤務率は約9割 (=出社率1割)
・全社としての固定の出社義務は無し (運用は部/グループごとに任意)
・東京以外の在住者が全社員の約4割 (地方への移住者も多数)

リモートワークを開始してから約3年が経過、出社するかどうかの判断は、個人や部署に委ねており、総じて9割くらいの社員が日々リモートワークにて働いています。
元々はオフィス近郊に居住していたものの、この流れの中で地方移住を決めた社員も多く、結果的には、社員の約4割が東京以外に在住しているという状態でもあります。

この状態自体は、そこまで珍しいことではないかと思いますが、1つのポイントは、その上で、「事業及び会社が、しっかりと成長しているのか」ということだと考えています。

ようは、「出社しなくていいから社員が楽、家族との時間が取れるようになったのでワークライフバランスが取れている、でも事業の状態はガタガタ」では、特に我々のようなベンチャー企業の場合は当然のことながら本末転倒です。

まずはこの点において、ベーシックはリモートワークを本格化した以降も、着実に業績を伸ばし続けています。

そしてもう1つのポイントが、「社員が"働きがい"を持って働いてくれているか」ということだと考えています。

社員がリモートワーク下において、寂しさを感じたり、会社に対する帰属意識が高まらなかったり、精神状態を崩したり、場合によってはそれらが休職や退職に繋がるというケースは、一般的にも決して少なくないと思っています。業績がいくら伸びていても、内部はボロボロという状態は、それはそれで当然良いわけがありません。

この点においても、ベーシックでは一定の好水準を保てていると考えています。"働きがい"に関する社内スコアはリモートワーク開始以降右肩上がりに上昇、また"離職率"については、昨年2022年が創業以来最も低い数値となりました。(※ベーシックの創業は2004年)

リモートワークから享受するメリット自体は、恐らく多くの方が認識しているかとは思いますが、ただ働く場所をどうするのかという単純な問題ではなく、「何を目的としてその働き方を選択するのか」ということが重要だと思っています。
その観点において、上記のポイントで言及しましたように、ベーシックでは「事業成長と働きがいの両立」を目的と置いています。

そして合わせて重要なのが、その目的を達成し得る仕組みを構築することです。言い換えると、この仕組みの構築ができない中で、全ての会社に対して、手放しで「リモートワークはお勧めの働き方です」とは言えないと考えています。

ではそのような"仕組み"とはどのようなものなのか、次以降で深掘っていきたいと思います。

リモートワーク成功のために抑えるべき4つの仕組み

さっそくですが、ベーシックとしては、以下の4つが、「リモートワークを成功させるための肝」だと考えています。こちらについて1つずつ説明していきます。

1.評価制度

あくまで"成果"に基づいた評価を行う仕組みが備わっていること、またその評価を適正に行うための"目標設定"が徹底されているということは、大前提として非常に重要です。

リモートワークだとプロセスが見えないので出社させる、プロセスの見える化のために監視ツールを導入する、などの考え方が会社によってはあるかと思いますが、そもそも全ての評価の軸が"成果"であれば、そのようなものは必要ないと考えています。
特に年功序列などの旧来型の評価制度で運用している会社は、成果での評価という考え方が希薄なため、リモートワーク=サボるのではという発想に、ある意味安直にいきがちのため、上記のようにプロセスに目を向けるパターンが多いように感じます。

またその成果を正確に測る上でということになりますが、"目標設定"を綿密に行うことは極めて重要です。たとえ成果主義を取り入れている会社であっても、この目標設定の粒度や徹底度には、会社ごとに大きな差があると感じています。
これは我々のようなベンチャー企業であればなおさらという観点も入るのですが、確実に個人として成果を出してもらうために、その結果事業及び会社を確実に成長させるためには、組織・個人それぞれに適した目標設定が必要になります。

そのためにベーシックでは、以下のようにまずは組織のミッションを"ミッションツリー"という形で分解、そのミッションツリーに基づき個人のミッションを作成することで、各個人の成果の積み上げが、確実に事業成長に結びつく形で目標の設計をおこなっています。

その上で、個人のミッションは5段階の"達成基準"まで設け、それぞれの達成状態までも定義することで、期が締まった時の"成果"をより明確にできるようにしています。

特にこのような目標設定は、コーポレート組織において曖昧になりがちだと考えており、そちらの考え方についても先日noteにまとめてみましたので、よろしければ合わせてご覧ください。

2.行動規範

2つ目は、社員にとって欲しい"行動規範"が統一されており、その浸透がなされる仕組みが備わっていることです。
バリューやクレド等、何かしらの行動規範を設定している会社は多いかと思いますが、ベーシックにおいてはそれを"コンピテンシー"として定義しています。

このコンピテンシー自体は、コロナ禍前から運用していたのですが、改めて今回のテーマであるリモートワークが働き方の主流の会社においては、この重要さを改めて感じています。

なぜなら、コンピテンシーという言葉の定義が「成果を出すための行動特性」であり、以下の図にもあるように、前述で設定した目標に基づいた成果の最大化のためには、まさにこの"行動"が重要だとベーシックでは位置付けているからです。

またそのようなコンピテンシーを設定している上で合わせて重要なのが、それを浸透させる仕組みです。
コンピテンシーが成果最大化のために必要な以上、当然のことながら、それをただ掲げただけでは何の意味もありません。それが全社に浸透し各社員が体現できてこそ、はじめて意味があります。
しかし、このような行動規範は何かしら設定してはいるものの、本質的に社員に浸透させる取り組みまでは行えていないという会社は意外と多いと感じます。

それに対してベーシックでは、"浸透の仕組み"を体系化しています。
前述のようにコンピテンシーは成果を最大化するものであるというその特性上、組織の状態に応じて適宜進化・変化するべきものだと考えています。ゆえに、仮にコンピテンシーがまた変わった時でも再度浸透させられる"再現性"が必要だと考えているためです。(実際にベーシックでは、コンピテンシーを制定以降一度見直しをおこなっています。)

この浸透に向けた取り組みについても、noteで情報を公開していますので、よろしければ合わせてご覧ください。

3.コミュニケーション設計

3つ目は、社員同士のコミュニケーションが円滑に行われるための、仕組み・制度が整備されているということです。

ベーシックにおいてはリモートワークが中心のため、普段は、Slack(テキスト)もしくはGoogle Meet(Web会議)を使用してコミュニケーションを取りつつ、会議や業務に応じて適宜出社も行っているという社員が多いです。
その前提の上で、以下4つの観点に基づきコミュニケーション設計を行っています。

制度の設計
出社と比べると、リモートワークでは偶発的な会話が発生しにくいため、相対的にはどうしてもコミュニケーションは減りがちです。
それを意識して社員が自主的にコミュニケーションを取ってくれるに越したことはないですが、概してそううまくいくとは限りません。

そこで、金銭の補助にて背中を押してあげるのが、こちらの仕組みになります。
そんなところにお金を、と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、前述の「事業成長と働きがいの両立」という目的を考えた時に、社員同士のコミュニケーションが増えることは双方に意味があることであり、その促進のためには会社として投資を厭わないべきであると考えています。

機会の創出
前述の金銭の補助により、自主的にコミュニケーション機会を作る社員は一定増えるのは確かです。それに加えて、会社としても明示的に"機会"を作っていくのがこの取り組みです。

ベーシックでは、特に入社後の"オンボーディング"活動の一環として、主に以下の9つの切り口にて、会社から機会を設けるようにしています。

① 配属部署
② 社長
③ 同期入社
④ 同年代
⑤ 先輩社員(≒メンター)
⑥ 同郷
⑦ 同職種
⑧ 勤務場所(地方勤務者)
⑨ 趣味(コミュニティ)

特にポイントとなるのは、仕事以外の繋がりを意識して作ることだと考えています。
皆様も経験があるかと思いますが、ただ仕事で同じ時間を過ごすよりも、プライベートな共通性を見つけることで、社員同士の距離は一気に縮まるものです。上記括りで言うと、"同年代"、"同郷"、"趣味"、などがそれに当たります。

このような情報を人事で極力把握し、新入社員が入った際には、共通項を持つ社員とランチなどを通じて引き合わせることにより、ある意味組織に対しての"粘着性"を高めるようにしているのです。

このようなコミュニケーション設計の仕組みについても、以下のnoteで情報を公開していますので、よろしければ合わせてご覧ください。

場所の提供
ここで言う場所とは、"オフライン"での場所のことになります。今回はあくまでリモートワークを主軸とする働き方の話なので、少し矛盾を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、誤解がないよう改めてお伝えすると、我々ベーシックも、オフラインの意義を否定している訳では全くなく、オフラインならではの有益性も同時に認識しています。

だからこそ、改めてこの状況におけるオフラインの意義、より具体的には"オフィスの意義"を再定義し、それに基づいたレイアウト変更まで行っています。

コロナ禍真っ只中の中、社長から社員に共有されたメッセージ

一言で言うとベーシックの場合は、オフィスを「コミュニケーションの場」と位置付けています。
そのために、大きくは複数人数で議論・交流できる場所の割合を増加させています。また、リモートワークと同等もしくはそれ以上の利便性をオフィスでも実現するために、あえてコワーキングスペースにあるような個人用の集中ブースも増やしています。
結果的に、長いテーブルが並んでいてというようないわゆる旧来のワーキングスペースの面積は大きく減らすという変更を行っています。

このような"オフィスのあり方"に関しても、以下のnoteで情報を公開していますので、よろしければ合わせてご覧ください。

異変の察知
仕事に悩んでいたり、精神的に疲れていたりというような社員の状態は、必ずしも社員本人から上長や人事にタイムリーに伝わるものではありません。
むしろどちらかと言うと、休職や退職のような大きな意思決定をした後に伝わってくる場合が多いのではないでしょうか。「少しでも事前に知っていれば何かしら手が打てたのに…」と思ったことがある人事担当者の方もいらっしゃるかと思います。

そのためには、上述3つの"コミュニケーションを深める側の取り組み"は行いつつ、同時に"社員の異変を察知する仕組み"が必要だと考えています。
ベーシックにおいては、シンプルではありますが、そのために人事と社員との接点を多く持つようにしています。大きくは以下の3つです。

・新入社員に対する人事面談の継続実施 (1ヶ月目、3ヶ月目、6ヶ月目、10ヶ月目)
・社員に対する月次アンケートに、体調/精神面に関する質問事項を盛り込み吸い上げる
・人事×各部統括者の定期ミーティングを実施する (上記で吸い上げた状況もここで確認)

人事面談については、試用期間が終了する入社後3ヶ月に行っているという会社は比較的多いかと思いますが、特にリモートワーク下においては、少なくとも1年間は継続的にコンディションを確認した方がいいと思っています。
これは実際にベーシックにおいて、1年以内の早期離職が比較的多い時期があったことを踏まえてのことでもあります。

メンバーのケアは所属部署のマネージャーの仕事という大前提はもちろんありますが、人事のような少し横の立場であるからこそ、普段現場では話していないことも率直に話してくれ、そのことにより異変を察知できるという効果は大いにあると感じています。

4.環境整備

4つ目は、出社しなくても業務を完結させられるように、アナログな作業が排除され、SaaSなどの必要なシステムが社内で整備されていることです。
これはある意味当然ではありますが、言い換えると、リモートワークでも生産性高く業務が遂行できるということです。ポイントは大きく2つ、"デジタル化"と"外部の活用"だと考えています。

デジタル化はすぐに目がいくことかと思いますが、外部の活用については意外と見落とされがちかと思っています。しかし、働き方を検討する上で、そもそも社員が行うべきか(=内製にこだわるべきか)は、改めて検討すべき大きなポイントです。
特に時間を大きく取られる割に作業内容としてはオペレーショナルな、いわゆるノンコア業務については、しっかりとコア業務と切り分けて、外部の活用も含めて検討すべきだと考えています。ベーシックでも複数の業務において、リモートでは完結しないアナログな作業を外部の方に委託しています。

またデジタル化については、アナログな作業が残りがちな、"コーポレート"周りにどのように対応するのかが特に肝となります。
捺印のために、請求書処理のために、印刷のために等々、労務、総務、経理などの職種の社員だけが、出社し続けているという会社もまだまだ存在すると思っています。

他の社員がリモートワーク中心の中、一部社員だけが出社をある意味強いられている状態は、精神的に疲弊したり、組織に歪みを生みかねません。
例えばツールマップのようなものを作って、デジタル化されているプロセス、アナログな作業が残っているプロセスを見える化した上で、最適な環境を整備することが必要だと考えています。

実際のベーシックのコーポレートの例

より良い働き方を選択できる会社が増えるために

以上が、ベーシックが行ってきた、リモートワークを中心とした働き方に関する取り組みのご紹介でした。

改めてですが、働き方を検討する上で、大上段として「何を重視する会社であるか」を設定し、それを社内に明示的に伝え続けることは大事です。

その観点において、繰り返しとはなりますが、ベーシックの場合は「事業成長と働きがいの両立」を実現することを重視しています。
事業と言うと少し自分達軸に聞こえるかもしれませんが、ベーシックは「世の中の問題を解決すること」を会社のミッションとしているので、事業が成長すればするほど、世の中が良くなることに繋がると考えているためです。

事業成長のためには、とにかく与えられたミッションの達成が必要であり、それを促進するための、"評価制度"の運用と"行動規範の浸透"に力を入れている。
その上で、継続的に働きがいを持って働いてもらうために、リモートでも生産性が落ちない"働きやすい環境を整備"した上で、合わせて社員同士の"コミュニケーション設計"を念入りに行ってる。

そのような構造だと考えています。

何を命題とおくかは会社によってそれぞれだと思いますが、これをはっきりとさせておくことで、何かを決める際の会社のスタンスがはっきりとします。
今回もいくつかご紹介したような、何かしら費用が必要な施策について判断する場合は特にそうです。世の中の会社が色々な施策を行なっている中、会社のスタンスがはっきりしていないと、とにかくなんでもかんでも闇雲に取り入れるということになりがちだからです。

途中でも触れました通り、リモートワークは、それを支える仕組み・体制がセットでしっかりと整っていれば、確実にメリットを得られる働き方だと思っています。

(リモートワークの主なメリット)
生産性の向上 (移動時間の削減、集中環境での業務)
・ 多様な働き方を望む優秀人材のリテンション
・ 地方の優秀人材の採用拡大

この中の1つに「地方の優秀人材の採用拡大」が挙げられますが、ベーシックでも、このメリットを大きく享受できていると感じています。

我々のようなベンチャー企業においては、こちらが求める採用要件の人材がいくらでも簡単に採れる、という状況では当然のことながらありません。
そのような中、オフィスの所在地に関わらず、地方まで含めてベーシックで活躍してくれる優秀な人材を採用できるということは、それこそ急速な事業成長を目指す上では欠かせません。

また、結果的には、地方の雇用創出という形で、地方創生の文脈でも貢献できているのではと考えています。

今回ご紹介した内容は、全ての企業に適用できるほど汎用的なものではないかもしれませんが、リモートワークを中心とした働き方を考えている会社にとって、少しでもご参考になっていましたら幸いです。
そして、よりよい社会、ひいてはよりよい日本となるため、リモートワークのメリットを享受しながら、「事業成長と働きがいの両立」が実現できる会社が1社でも増えることを願っています。

そんな働き方をしているベーシックでは、随時一緒に働いてくれるメンバーも絶賛募集中です。
今回のnoteをご覧いただき、こんな環境で働いてみたいと感じていただいた方、ぜひ採用サイトも覗いてみてください!

(※2023年5月追記)
より簡単に内容をご覧いただけるように、スライド版を作成しましたので、よろしければこちらも合わせてご覧ください。

コーポレートの運営にまつわることを中心に、これからもnoteやTwitterで発信していきたいと思いますので、それぞれフォローしてもらえるととても嬉しいです。

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note:https://note.com/takeshisumida_

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