AIは言語の世界に閉じこもっている
人工知能(AI)の領域で長年議論されている課題として、記号接地問題というものがある。これは、どれだけ優れた回答を出そうとも、言語の世界に閉じこもっており、実の世界と結びついていない以上、その内容を理解していることにはならないというAIの弱点である。これは、カントが明らかにしたように、言語上の抽象的な思考だけでなく、五感も含めた感覚的な要素があって初めて人間の認識が成り立つことを示している。したがって、AIへの依存は、そのまま直観的な認識を抛棄することにもなりかねないのである。