「私、馬鹿だからわかりません」
「私、馬鹿だからわかりません」──これを謙遜の言葉と取るのは大きな間違いである。実際はその逆で、尊大さ、他責性などを詰め込んだものだ。
そして何よりこの台詞は、相互理解を抛棄し、一切の対話を拒絶する不寛容の表れである。自らの凡庸さを棚に上げ、いやむしろその凡庸さを誇り、凡庸さを強制しさえする。それは、かつてオルテガが嫌悪した「大衆」の姿を髣髴とさせる。
記事はこちら
参考文献
ホセ・オルテガ・イ・ガセット(神吉敬三訳)『大衆の反逆』(ちくま学芸文庫)、筑摩書房、1995年
いいなと思ったら応援しよう!
皆様からの尊いご寄付は、今後の執筆活動に活用させていただきます。なにとぞご支援を賜りますようお願い申し上げます。