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黒澤明「生きる」言葉(著:黒澤和子) 読書感想文
黒澤明「生きる」言葉(著:黒澤和子、PHP研究所)
ここ数年読んできたあらゆる本の中でも特に深い感銘を受けました……!
だいぶ前に読んだことがあり、今回再読してみたら自分がこの本の内容を結構覚えていて無意識的にも意識的にも実践していたことに驚きました。
すばらしい本すぎてまさに座右の書にしたい本です。
映画のこと、芸術のこと、平和のこと、日々の生活のこと、なにより幸せになること、人生で大事なことがたっぷりこの一冊に詰まっています。
映画監督の黒澤明さんがのこした言葉に、
「クヨクヨしてても仕方ない、飯食って寝るだ」
というのがあります。黒澤さんは悲しいことやつらいことがある時に必ずこう言って、
「さぁ、生きてる人間のために働こう。飯食って寝るだ」
と。
この言葉の補足として娘さんの黒澤和子さんが本にこう書いています。
悲しみも悩みも乗り越えるしかないじゃないか、それなら人間の原始的な欲求である食べること眠ることを弾みにして、また明日からいつものように生きようじゃないか。
僕も生きるのがつらい時はこの黒澤明さんの言葉を思い出して実践しています。
さらにまた黒澤さんの言葉をご紹介すると、
「今日はこのまま撮影をサボりたいな、やる気が起こらないなんてことはよくあることだよ。人間はロボットじゃないんだから、疲れれば休みたくなるんだ。そういう時は潔く休めばいい。怠けたい気持ちが湧き上がったら、無理強いしてもいい仕事は出来ないよ。どういう気分になればやる気になるのか、人それぞれつぼがあるからね、自分で自分のこと、うまいことその気にさせる技を持つことさ」
そういう「技」を追求していくのが人生というものなのかもしれません。
「最初はどんな仕事も分からないし、出来なけりゃ面白くないのが当たり前だ。続けていると、ある日突然見えてくるんだ、そうするとやる気が出る。そこでもう一押し頑張ってみると、なるほどそうなんだともっと具体的に何をしたらいいか見えるんだ。繰り返し繰り返しやっていりゃ、パッと目の前が開けて面白いと思えるようになる。そうなれば、めっけもんだ」
繰り返し繰り返し、頑張って生きていこう。頑張りすぎはよくないかもしれないけれど、できる限り粘ってもうダメだと思った時もズカッと踏み込んでいけばきっと何かが見えてくるはずだから。
最後に、黒澤明監督の言葉の中でも特に大事にしたい言葉をあげます。なぜ人間は幸せになろうとしないのか。
「僕が撮ってきた映画は、簡単に言えば、なぜ人間は幸せになろうとしないのか、って言いたかったんだろうと思うよ」
「話し合ってみるとかさ、工夫してみるとか、違う方向から見てみるとか出来ないのかね。何なんだろう人間て。些細なことで不幸せになっているんだよ、それも自分からそうしている。自分が得することばかりにこだわって、セコセコセコセコしてる奴ばかりだ。なるようにしかならないんだ、人生一度だしね。得ばっかりしたいってきりきり舞いするより、味わって生きたらいいのにね」