坂本図書 読書感想文
坂本図書(選書・語り:坂本龍一、バリューブックス・パブリッシング、2023)
音楽家・坂本龍一が高谷史郎と制作していたオペラ『TIME』のことから時間についての記述が多い本である。
坂本が自身の好きな本を紹介していくというコンセプトだが、前述した通り、時間についての本が多い。
例えば夏目漱石では『夢十夜』、九鬼周造では『時間論 他二篇』、アンドレイ・タルコフスキー『Sculpting in Time: Reflections on the Cinema』、そしてカルロ・ロヴェッリ『時間は存在しない』など。
それと、交流があった方々との思い出とそれにまつわる本。大島渚。李禹煥。福岡伸一。武満徹。中上健次、など。
さらに特別対談が二つあり、ウスビ・サコと安彦良和の二人と坂本がそれぞれ一対一で話している。
あとは坂本が会ってはいないが憧れの存在の人の本も紹介している。
前述した、夏目漱石、アンドレイ・タルコフスキー、それと黒澤明、小津安二郎、ジョン・ケージ、ミヒャエル・エンデ、個人的には石川淳の『西游日録』と富沢赤黄男の『黙示』が大変気になった。
実はこの『坂本図書』を読んで興味を持ち既に読書感想文にしている本もいくつかある。
『武満徹著作集1』
『ジョン・ケージ 作曲家の告白』
ただ内容が難しそうな本(坂本自身ですら難しいと言っている本もある)、そもそも入手困難の本も多いので、なかなかこの『坂本図書』に紹介されている本をコンプリートは難しそうであるがなんとかして全部読んでみたい。
この本は、しばらくは僕の読書の羅針盤になってくれそうな大切な本だ。
余談:
実は自分は生前の坂本龍一さんに大林宣彦監督の著書『大林宣彦 戦争などいらない‐未来を紡ぐ映画を』をファンレターとともに贈りました。その時、「大林さんの著書ありがとう!」というお返事が来ました。『坂本図書』は、本だけでなく実際にとある場所に書庫として設置して予約制で入れるプロジェクトも始まっています。
もしかして自分の送った本が書庫にあれば……さらに言えばもしかしてこの本に載っているんじゃないかと思ったが、まあそれはさすがに高望みでした💦