マガジンのカバー画像

物語

14
自作の物語をまとめています。
運営しているクリエイター

#私の作品紹介

掌編小説:ツン

掌編小説:ツン

父が風邪をひいた。
寝ていれば治るさと父は明るく振る舞う。
その影に、死の匂いが、ツン。
数日後、結局父は風邪を平然と治した。あの死の匂いはなんだったのか。
思えば父が風邪をひくたびに、死の匂いを感じていた。
思えば父のみならず、家族や友人や知人、誰かが風邪をひけば、死の匂いを感じていた。
思えば私は死の匂いをありとあらゆるものに感じていた。
家族が出かけると、事故に遭うんじゃないか、ツン。地震に

もっとみる
童話:鳩とドーナツ

童話:鳩とドーナツ



1、

学校に行きたくないな。
そう思っていた清はドーナツ屋に向かっていました。
ドーナツは、オールドファッション、クリームドーナツ、もちもちリング、抹茶ドーナツ、富士山ドーナツ、粉雪ドーナツ、ジェリードーナツたくさん種類がありました。
清は迷わずチョコオールドファッションを一つ買いました。
理由は特にありません。
これを食べれば元気が出るかもしれない。
嫌な学校に行けるかもしれない。
そう思

もっとみる

『劇詩というか: お母さんの「呪い」』というものを書きました。明日公開予定。
短い劇詩でもあり回想録になります。
劇詩はこんな一行で始まります。

お母さん、ぼく死にたいよ。

…母のかけた「呪い」とは何か。自分のことを曝け出すようで恥ずかしいですが読んでいただけると嬉しいです。

『風』メイキング という名の反省文(2024.1.5追記)

『風』メイキング という名の反省文(2024.1.5追記)


『劇詩のようなもの:風』を読んでくださった皆様ありがとうございました!

『風』は実は『詩:風(前後編)』

をベースに書きました。

書いているうちにこれは長編小説になるんじゃないかと思い、書き足していったら短編ほどの長さにしかならず。

しかも詩の文体で書いたので自分でも小説なのか詩なのかよくわからないものができてしまったと戸惑いました。

そのうち調べていくとちょうど「劇詩」という戯曲の形

もっとみる
劇詩のようなもの: 風

劇詩のようなもの: 風

『風』をご覧いただきありがとうございます。
読まれてもしお気に召したり気になったことがあれば是非↓のメイキング…という名の反省文もご覧ください。
よろしくお願いします。

第一章

大風が吹く中ぼくは立てなかった。

時はたっていくのにぼくは立てなかった。

悔しさと悲しさが入り混じり、ぼくは涙した。

死を司るものが草原からすくっと立つ。

時間を司るものが草原からすくっと立つ。

運命を司るも

もっとみる