できないわたしは足で稼ぐしかないのさ、日帰り尾道・研究の旅
あるていど予想はしていたのだけど、4月に入学したばかりなのに早くも大学院の学びに苦戦中。(早すぎん?)
いや〜、やっぱりそうかあ。
人生そんなに甘くはなかった。
3月に通信制大学を卒業し、4月からは仕事をしながら同じく通信制の大学院で文化遺産と繊維製品とのかかわりについて研究しているのだけど、これがなかなか大変で。大変というか、しょっぱなから研究のテーマや方法について考え直さないといけないかんじになってきて、途方に暮れているというのか。
というのも、最初のゼミの自己紹介の時点でできないじぶんを自覚させられ、ぺっこりと凹んでしまったのだ。じぶんの能力のなさにほとほと呆れて。
いやいやわかってたやん! わかってて、得意分野ではない分野(歴史)を選んでしまったのだから、しかたがない。やるしかないのだ。
それにね、じつはここだけの話なんだけどわたし、「あなたにできるんですか?」みたいなことを言われると、「フン、いまに見とれよ、やったるわい」と逆にファイトが湧いてくるという、謎のハングリー精神を持ってるんよね。
かといって、現段階でわたしに能力がないことはまぎれもない事実なわけで。じゃあできないわたしが今できることといったら、
足で稼ぐ
これしかない。
もう、悩んでいるよりも、直接行ってみるしかないでしょう。
というわけで、神戸から尾道まで研究調査のため日帰りで行ってくることに。目的は、広島県の尾道市立美術館で行われた文化遺産セミナー。
広島県出身のわたし、ほんとうならついでに里帰りしたいところだったけれど、いろいろな予定が合わずに日帰りで。しかもこの日はすでにGW期間が始まっていて、新幹線のお安いプランは軒並み適応外。すこしでも旅費を節約するため、片道4時間ほどかかる在来線で日帰り(往復8時間!)というなかなかにハードな行程。学生かよ。学生だよ。
これが青春18きっぷだったらよかったんだけど、それも期間外だったため、ただ乗ってる時間が長いだけっていう。こうなったら列車に乗っている時間も有効活用することにしよう。
旅の行程(行き)
神戸市内より出発
6:57神戸発ー7:57姫路(JR東海道山陽本線快速)
8:01姫路ー9:29岡山(JR山陽本線)
岡山にて取材・昼食(予定)
11:45岡山ー13:08尾道
尾道からバスで長江口まで
ロープウェイで千光寺公園
14:00 尾道市美術館(目的地)
これでJR神戸駅から換算して片道4070円(岡山で途中下車するとなぜか安くなって3980円)+尾道市内バス代150円+ロープウェイ代片道500円
6:57神戸発ー7:57姫路(JR東海道山陽本線快速)
朝早いというのに、思っていたよりも乗客が多かった。連休の初日なので大きな荷物を持った人も多い。神戸から姫路や岡山くらいなら、在来線での帰省や旅行も一般的なんだろうと思う。
列車のなかでは、日記と読書。今回は「時間があるときにもういちど読みたい名作」のなかから、夏目漱石の『こころ』を。
『こころ』は大学の文芸コースの授業でも取り上げられていたし、小説の企み的なことや、人間の罪悪感とか、心理面などで語られることが多い名作だけど、明治の時代性とかその時代の人びとの価値観みたいな、歴史的な切り口で読み返してみたらどうなんだろうと思って。(マジメか)
そういう切り口の歴史系のポッドキャスト(大人の近代史)があって、じかんのあるときに読み返してみたいなと思っていたのだ。せっかく「文芸」を学んだ後で歴史の研究をするのだから、なんかうまいこと融合できたら面白いかもしれない。
そんなことを考えつつ、本を読んだり日記を書いたりしていたら、あっという間に姫路に到着した。
8:01姫路ー9:29岡山(JR山陽本線)
姫路から岡山まではゆっくりどんどん景色が変わっていっておもしろかった。
列車で長く旅すると「境界」みたいなことに敏感になる。県境とか、川とか、分水嶺とか、何かで区切られたものって、景色は変わらないんだけど、そこできっぱり何か空気が変わる、みたいなことがときどきある。でも不思議とそれがまったくないときもある。
わたしはその違いを面白く感じる。それってなんなんだろうって、考えることがたびたびある。土地の空気の、境目みたいなこと。それを面白く思うのは、きっとわたしが県境の町で育ったからなんだろうな。わたしの育った町は豪雪地だったんだけど、よく町の境目に雨や雪のカーテンみたいなのができていた。そこには「ここから先は雪国ですよ」みたいな仕切りがたしかにあった。
そこまでくっきりしていなくても、たとえぼんやりした境界線だったとしても、わたしは「境界線」に惹かれる。
兵庫県と岡山県の県境にはトンネルがあって、その前後ですこし空気が変わったような気がした。
岡山にて取材・昼食(予定)
岡山にて別件の取材。
取材が終わり、途中どこかで昼食を食べるか、何かちょっとした美味しいパンとかでも買おうと思っていたのだけど、時間がなくなって大慌てで駅に戻る。いつもこのパターンだ。
11:45岡山発尾道行きの列車に飛び乗る。わたしの旅は基本的に公共交通機関で移動するので、とにかく乗り物の時間やタイミングが最優先になってしまう。だからいつもこうやって、旅のときには昼食を取りそびれる。旅において、わたしのなかで食べるものの優先順位はとても低い。とはいえお腹が空くので、何か尾道で食べられたらいいのだけど。
11:45岡山ー13:08尾道
尾道到着。お腹ペコペコだったけど、目的の尾道市立美術館はけっこう離れたところにあるみたいなので、まずは近くまで行くことに。
尾道からバスで長江口まで
3分ほどで長江口まで。道がわからないから美術館の案内通りにバスに乗ったけれど、じつは十分歩ける距離だった。
そしてここが問題の、ロープウェイのりば。
ロープウェイで千光寺公園
ここなんだよね、問題は。
ロープウェェェェ、うええええええぇ。
じつはわたし、高いところが大の苦手で。今までロープウェイとかも極力避けて生きてきたんだけど、ロープウェイでしか行けない場所にある美術館が、目当てのセミナーの開催場所で、心のなかで泣きながら震えながらロープウェイに乗ったんだ。
でも、意外と揺れなかったので、なんとか耐えた。
帰りには少し慣れて写真を撮る余裕も。とにかく見晴らしは最高なので、高いところが怖くない人にはおすすめ。
いや〜、苦手なことにも挑戦してみると、見える景色も変わるね。(文字通りの意味で)
ロープウェイは大人往復700円、片道500円。
片道だけロープウェイで登って、下りは文学の小径を散策がてら歩いて降りるのも良さそう。
14:00 尾道市美術館(目的地)
千光寺公園はツツジがきれいだった。
結論から言うと、文化遺産セミナーは素晴らしく、学びが多かった。わたしが研究しようとしている部分とは重ならない部分も多かったけど、ああ、こういう風に調査をすればいいのか、というヒントがたくさんあった。
セミナーが終わって学芸員さんとすこしだけお話をさせてもらった。いくつかの具体的なアドバイスと、とっかかりのようなヒントを教えていただいた。たしかに大変そうではあるけれど、すこし方向性が見えて、「やっぱりこのやり方って難しいのかなあ」とウジウジ考えているより断然良かったと思う。
来てよかった。
やっぱり、足で稼ぐって大事だ。
できないわたしは、能力を行動量でカバーする
動いていたら、必ず何かが変わる。
「あなたにはそれができるの?」と言われて、悔しいから無我夢中で行動して、最後にはいつのまにか「できてしまった」ことがわたしにはたくさんある。
ウェディングドレスだって、最初わたしが「ウェディングドレスをつくる仕事をする」と宣言したとき、「え、あなたにできるの?」って言われたんだった。悔しいから毎日努力して、さすがに10年もたてば、当たり前のようにつくれるようになっている。もちろんその努力のなかにはムダなこともたくさんあったと思うけど、「ムダ」は全部わたしの「引き出しの多さ」となって、結果的にちゃんと仕事に活かされている。
そんなもんだよね。
それに努力していたら、まわりの反応も変わる。そうなったらこっちのもんだ。
能力を行動力でカバーすればよいのだ。
うん、やっぱり、動いてよかった。
結局お昼ごはんは…
なんだかんだで結局セミナーの前にお昼ごはんを食べることは叶わず、帰り道にごはん屋さんを探すことになった。
そのとき16時半くらいで、お店がほとんど空いていない。いちばん中途半端な時間になってしまった。
かろうじて、商店街で一軒だけ空いていたラーメン屋さんで尾道ラーメンを食べた。
おとなの大学生でもラーメン替え玉半額は通用するのか?
お腹ぺこぺこでラーメンを食べていたとき、ふと店内チラシが目に入った。学生さんは替え玉半額…。
中高生は替え玉無料、大学生は替え玉半額。
これって…、大人の大学院生でもいけるのかな?
そんな疑問がわたしのなかに芽生えてしまった。やってみようか。(結果は次回へつづく)
▼つづき
食事のあとは列車の時間まで、ぼーっとする。ベンチがあるので日記を書きながらぼーっとする。いつも思うけど、いい街だなあ。いつか尾道に移住(Jターン)したい。
いい旅だった。
旅のまとめ
できないわたしは足で稼ぐ
列車に乗っている時間も有効活用できる
長時間移動のときはふだん読めない本を読み返すチャンス
長時間移動は考えごとをするのにもぴったり
旅の優先順位はじぶんで決めていい
食べものにしばられなくてもいい
苦手なことにチャレンジすると見える景色が変わる(文字通りの意味で)
足で稼ぐって大事
動くとかならず何かが変わる
旅先ではやったことのないことにも挑戦できる(学割半額)
動くと、見える景色が変わるね。
最後までお読みいただいてありがとうございました!
▼関連note
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