風が吹いても月は動じない(887)
台風一過で雨があがって風が吹いて雲がなくなって、上空を見るといつもと同じ場所に月が見えます。月は、どんなに風が吹こうが動ずることなく、ただ無心に輝き続けています。
このことを表す禅語に、「風吹けども動ぜず、天辺の月」というものがあります。風は、世間に漂う誘惑や扇動のようなものです。そのような誘惑などに惑わされず、どんな艱難困苦に会おうとも負けずに、耐え忍ぶことを表す禅語です。
実は禅の世界では、月を私たちが生来持っている純粋で清浄なる心(仏心)にたとえます。どのような強風でも、私たちの仏心は動かないのです。決して、仏心が消え去ったり、壊れたり、汚れたりはしないのです。
問題となるのは、仏心を表す月を雲が多い被(かく)して、純粋で清浄なるはたらきができないようにしていることです。雲の例としては、百八と言われる煩悩があります。
なぜ煩悩が起きるかと言うと、無知から生じる「貪瞋痴(とん・じん・ち)」が原因で起きるのです。貪は自分の好むものを貪(むさぼ)る欲のこと、瞋は自分の嫌いなものを憎み嫌悪する(怒る)こと、痴は正しい判断ができずに迷うことを意味しています。「貪瞋痴」は人間がぶつかる根源的な迷いと言えます。その迷いが起こるということは、真理に疎(うと)いからです。もしも、世の中は無常(常に変化している)であるという真理をはっきりと認識できていれば、貪りの名誉欲や所有欲は減じられ、忌み嫌う怒りの対象も無くなっていくと分かるのです。
私たちは、「無常」に代表される根本的真理に光を当てて、しっかりと認識し、体得することが必要です。痴としての無知・無明から脱却しようではありませんか。
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