悟りは待つものではない
禅の世界では、悟りを得ることを大切にしています。それは、「悟を待つを則(のり)と為す」というように、自分の中に純粋で清浄なる仏心に気づくことが大切なのだと言っているのです。
このように書くと、日本曹洞宗の道元は反対のことを言っているとお叱りを受けるかもしれません。確かに、道元は『正法眼蔵』「行持(上)」巻で
「大悟を待つことなかれ、大悟は家常の茶飯なり。不悟を願うことなかれ、不悟は髻中(けいちゅう)の宝珠なり」
と記しています。しかし道元の意図を曲解してはならないのです。道