書評『行動経済学が最強の学問である』
オススメ度:★★★★
【本書の概要】
現在世界中の名だたる企業で取り入れられている行動経済学について解説された本書。
ページ数がそれなりにあり読むのは大変だが、得られるものは多かった。
特にマクドナルドのヘルシーメニューの話は大変面白かった。
B to Cマーケティングに従事している方には活かせるものが多いと思うので大変オススメの一冊。
自分はB to Bマーケティングを生業としているが、どうにか行動経済学を業務に活かせないか模索したいと思った。
【自分が付箋をつけた箇所】
・システム1とは直感的で瞬時な判断、システム2は注意深く考えたり分析したりと時間をかける判断
・下記の場合に人はシステム1を使いがち
-疲れている時
-情報量、選択肢が多い時
-時間がない時
-モチベーションが低い時
-情報が簡単で見慣れすぎている時
-気力、意志の力がない時
・顧客へのアンケートの結果、「健康的なメニューを増やしてほしい」という声が非常に多かった為、2013年アメリカのマクドナルドはサイドメニューにサラダとフルーツを加えた
しかしメニュー導入後実際に顧客が買い求めていたものは健康的なメニューではなく、こってりした揚げ物、従来のファストフードだった
なぜならアメリカ人がマクドナルドにドライブスルーを利用して行く際は「忙しい時、または疲れている時」で、すなわちシステム1でメニュー選びの意思決定をしていたから(一方で人がアンケートに答える際は、じっくり考えてシステム2で回答している)
やはりマーケティングに関する会議室での議論もシステム1の観点を考慮すべき
・フットインザドア
→小さなお願いから始めよ
・ジョブズを見習い「どうでもいいことはテキトーに」決めた方が脳が疲れにくい上、機会損失を防げる
(例えば出張先のホテル等)
・YoutubeやTikTokで動画が終わったら次の動画が勝手に流れるのは、人の現状維持バイアスを利用したもの
その為人は時間を溶かすように見続けてしまう
・選択アーキテクチャーとは選択肢をどのように設計したらいいか、最適な方法を探る概念で、顧客が選択オーバーロードに陥るのを防ぐのに利用されている
アルゴリズムを使用してオススメ商品を出しているAmazonや、オススメ動画が自動で流れるNetflixやYoutube等で利用されている
・選択オーバーロードに陥らないよう顧客へ掲示する選択肢は10個がベスト
・楽天のメルマガで購読する方にデフォルトでチェックが付いているのは、人の「変更することを面倒に思う」という習性を利用したもの
→誘導したい方をデフォルトにすると良い
・アンカリング効果とは「最初に掲示された数値などが基準となり、その後に続くものに対する判断が非合理に歪んでいく」というもの
例えばアマゾンはセール中の商品価格を、「取消し線の定価」「割引価格」の2つで表示している