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なんで私が謝っているのか、それはともかく枕は……

気圧のせいでしょうか、昨日は比較的早めに寝たようです。朝までぐっすり眠れるかな。

私も少し早めに寝ます。眠いんだって。今日こそたっぷり寝るんだって。

と思ったら娘は私が寝たあとすぐに起きてきて何度もキッチンで冷蔵庫を開けては飲み物を取り出しています。朝になったらコップがシンクにどっさり溜まっているのでしょう。洗うのは私です。娘は飲むだけなので。

それでもいつもよりだいぶ早めに静かになりました。

朝、目覚ましよりも前に目が覚めてしまうのは年齢なのでしょうがないのでしょうか。もっとギリギリまで寝てたいのに。

起きてトイレに行くと娘は自分の部屋で小さめのいびきをかいて寝ていました。よし、寝てるな。

娘の食事を用意します。日曜日に煮た煮物はこれがラストです。甘めの味付け、またやろう。次はゴボウも入れるか。ぬか漬け(ニンジンとキュウリ)、ハムサラダ(ベランダのバジルはまだ収穫できます)、ドライフルーツ入りヨーグルト(今日は冷凍のイチゴをトッピング)、ご飯は三合炊きました。私もサラダとぬか漬けと味噌汁とご飯で軽めの朝食です。

娘は起きてこないので薬と水をテーブルに用意しておきます。幅の狭いラップを使い切ってしまいました。買ってこなければ。

出社。すっかり忘れていた25日締めの作業に手を付ける前に、これも完全に忘れていたパーティションの組み換えを先に済ませます。こういう作業をしていると、若い頃に内装業のバイトで猛烈に褒められて「ウチで働かないか」と言われたことを思い出します。「ウチで働かないか」と言われたのはそこともう一箇所、電気工事のバイトです。「資格取るまで面倒見るよ」とまで言っていただいたんですが当時は学生だったので丁重におことわりしました。もしかしたら自分よりも他人から見て向き不向きがはっきりと見えていたということなのかもしれません。後の祭りですが、あそこで流れに身を任せていたら今とは違う人生だったのかなあ。まあ、今更です。

今日片付けておきたかった仕事は全部片付きませんでした。明日には終わるかなあ。いちおう今週中ぐらいのつもりではあるのですが。

帰りにスーパーに寄ります。色々買い込んで帰宅。娘は起きていました。和室のベッドに寝転がってブツブツ喋っています。私も対抗して「ニャー」とか「塩胡椒」とか言いますがなんの反応もありません。夕食は食べないのかなあ。いや、食べるそうです。じゃ、用意するか。

今日は娘の喋りがものすごく気になります。ひそひそ声で気になる喋り方なのです。なので、あまり言うとまずいと思いつつ何度も「喋るのやめて」と頼みます。

娘は自分の視界に私が入っていないと喋りだします。キッチンにいる私には娘の声が聞こえてきます。

「頼むからやめて」「お願いだからやめて」

言い過ぎると爆発するのはわかっています。でも、今日は私がダメというか本当に娘のひそひそ声の独り言を聞きたくないのです。

キャベツとニンジンとタマネギの塩もみ(チューブニンニクたっぷり、サラダの代わり)、ニンジンのぬか漬け、フリーズドライの味噌汁、お惣菜のカキフライ、メインは角煮丼。

なにやら娘の部屋で激しい物音が。

ドカドカ足音を立てて娘がやってきました。

やられるかと思って身構えます。

娘は奇声を上げながら抱えた布団をゴミ箱に押し込み始めました。

「やめてええええ」

私が止めても娘は止まりません。小さなゴミ箱に羽毛布団を押し込みます。

なんかもう面倒になってそのまま放置。

布団をすっかり押し込んだ娘はドカドカ足音を立ててキッチンから出ていきました。和室かな。

布団をゴミ箱から取り出します。ゴミ箱のゴミ袋は取り替えたばかりでゴミもあまり入っていません。そのおかげで布団は特に汚れてもいません。捨てるの次の行動は切り刻むとかになります。そうなる前に私の部屋に運んでおきました。

淡々と夕食の準備を続けます。出来上がって娘を呼びます。やってきました。目つきが危ない。やられるかも。

やられません。娘は私に箸を置けと言っています。娘の箸をテーブルに置きます。

ここで殴りかかってきました。

「やーめーてー」

娘は無慈悲にコブシを振り下ろし続けます。ものすごい剣幕です。明らかに怒っています。言い過ぎたんだな。マジ失敗した。

「あっち行けッ」

娘に居間から追い出されます。わかったよ、あっち行くよ。あ、でもカキフライは一個でいいから残しておいてほしいのとキャベツの塩もみも少し取り分けておきたいんだけど。

そんな素振りを見せていたら椅子から猛然と立ち上がった娘にまたボコられました。

「いいから、あっち行けッ」

わかったよ、あっち行くよ。

しばらくしてから居間に戻ります。食べ終えた食器はシンクに運んでくれています。それはいいけど、カキフライもキャベツも完食か。しょうがない。

「ちょっと早いけど薬飲んで~」

娘がやってきました。憤怒の表情です。せん妄に近い状態で爆発している時はともかく、通常あまり怒りを外に表さない娘としては珍しいです。本気で怒らせてしまったのか。

「うるさいこと言ってごめんね」

気がつくと娘に謝っていました。でもよく考えるとおかしいのです。妄想独り言をブツブツ喋るのをやめてくれと言った私が悪いというのはおかしい。そんなはずはない。

でも、何度も謝りました。

娘は憤然としています。怒りは収まらないようです。ごめんね、本当に。

その少しあと、和室のベッドに寝転がる娘に今日はどっちで寝るのか聞きました。

「あっち(娘の部屋)で寝る」

「あ、そう」

「いや、やっぱりこっち」

「どっちでもいいけど、こっちで寝るなら枕持ってくね」

「ダメ、持ってかないで」

「えー、ジャこのクッション持ってく」

「いいよ。やっぱりダメ、持ってかないで」

「じゃパパ、枕どうしたらいいの」

「タオル使っていいよ」

「タオルいやだよ」

「タオルいくらでも使っていいから」

「なに言ってんの。タオル沢山使っても洗うのパパじゃん、娘ちゃんは何もしないじゃん」

「いいの」

いいのじゃねえよと思いましたが、これまででしょう。

そのあとうつらうつらと寝始めた娘が枕をベッドから落としたようなので奪取しました。

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高島利行
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