塩を味方に! 岩塩 vs 海塩にも決着を。
お店に並ぶ塩の種類が多過ぎて、目移りすることはないだろうか。
人気の岩塩だけでも、ピンクやブルーと色とりどり。
だがいくら種類が増えようと、塩はざっくり、
《良い塩》と《避けたい塩》に二分されてしまうのだ。
▼まずは基本。塩は3種類・3分類だけ!
★塩の分類★
① 海の塩の「海塩」
② 山で採れる「岩塩」
③ 湖で採れる「湖塩」
★製造方法★ これが一番大事!
① 天然・自然海塩 《良い塩》
・海水を塩田に導き太陽と風の力で塩の結晶をつくる。
・ミネラルバランスが整っている。
・商品の裏面・製造表記「天日、平釜」
② 再生加工塩 《良い塩》と《避けたい塩》の中間
・天日乾燥した海塩を平釜で煮詰めて塩をつくる。
・ミネラルバランスは精製塩より良いが、天然の海塩には及ばない。
・商品の裏面・製造表記「溶解」
③ 精製塩 《避けたい塩》 食卓塩、食塩など
・輸入海塩や岩塩をイオン交換膜を用いて塩化ナトリウム99%以上の塩にする。
・ミネラルバランスが偏っているため、体に良くない。
・商品の裏面・製造表記「イオン交換膜、立釜」
《良い塩》《避けたい塩》の体への影響などは前回の記事をどうぞ↓
▼岩塩ってそもそも何?
ヒマラヤ山脈などの山で採れる岩塩だが、ミネラルバランスの点では自然の海塩に軍配が上がってしまう。だが肉料理を引き立てるキリッとした食味は捨てがたい。見た目もきれいなピンクソルトは気分も上がる。
★岩塩の特徴★
・太古の地殻変動によって地中に閉じ込められた海水が、数億年の歳月をかけて結晶化したもの。
・主成分はナトリウム。ナトリウムの含有量は、精製塩とそれほど変わらない。
・島国である日本では全く採れない。すなわち日本の風土とは異質の塩。
・溶けにくいため塩味が引き立つが、粒を微粉すると精製塩の味に似てくる。
▼岩塩は、食感・食味のアクセントで使う
岩塩が肉料理に合うのは、溶けにくい粒が食材に絡むからだ。料理のアクセント使いには有効そう。また種類によってミネラル含有量が違うため、使い分けをしているシェフも多いという。
ミネラル含有量の違いによる食味
・マグネシウム含有量が多い……苦みが強い塩
・カルシウム含有量が多い……甘みが強い塩
・カリウムが多い……酸味が強い塩
*海塩など甘みを感じるまろやかな自然塩は、魚や肉はもちろん、野菜との相性がバツグンに良い。
▼人気のピンクソルトのこと
ナトリウム含量が多い岩塩の中で、ピンクソルトのミネラル含有量にはちょっと注目したい。
★ヒマラヤ産ピンク岩塩★
パキスタン・パンジャブの岩塩層から採掘し、鉄分を多く含む。ヒマラヤ岩塩の中ではカリウムが多い。
★ローズソルト★
ボリビアのアンデス山脈から産出される岩塩。鉄分とカルシウムを多く含む。
ちなみにピンクの色は、土壌に含まれる酸化鉄の色である。残念だが、この鉄分は体内に吸収されない。
▼結局、健康面では海塩(自然塩)がベスト
現代人はミネラル不足だ。海水はミネラルの宝庫。海水のミネラルバランスを崩さずに作り出す海塩(自然塩)は、健康に良いだけでなく味も絶品。
しょっぱすぎず、甘さやまろやかささえ舌に残る。食材の味を引き出すので、料理も振り塩だけでバツグンに美味しくなるのだ。
●食材からミネラルを補うのは難しい
日本の土壌は元々ミネラル分の少ない火山灰地である。その上、農薬や化学肥料で土地が痩せ、農作物のミネラル含有量は減少の一途を辿っている。
ちなみに欧州などは、ミネラル分を補うのは塩ではなく水。欧州の水はミネラルが豊富な硬水のため、軟水(ミネラル分ほぼなし)の日本とは事情が違う。
●減塩の必要がないのは、海塩(自然塩)だけ
いや、むしろ積極的に取り入れるべき。
やめなければいけないのは、塩化ナトリウム99%などという薬品レベルの精製塩だ。
大事なことなので繰り返し言おう。
天然の海塩は食材だが、精製塩は工業製品である。
ちょっとコワいことを言って、今回はおしまい。
*今回の記事は、新谷弘実著『水と塩を変えると病気にならない』、細川順讃著『からだに「いい塩・悪い塩」』、青山志穂著『日本と世界の塩の図鑑』の3冊からの情報でまとめた。どれも大変面白くためになる本なのでぜひご一読を。
この3冊は、Kindle Unlimitedに加入していれば、すべて無料の読み放題で利用可能。
*サムネ写真はpixabayよりscym/77imageさんの写真を使用。
*本文中写真はphotoACよりnewginさんの写真を使用。