変な読書グセで、困ったことになってる人
あなたには、読書するときのクセはあるだろうか。電車の中でしか読めないとか、1時間以内で切り上げるとか、読書日記をつけているとか等々。
私のクセは、本に書き込みをすることだ。ドッグイヤー(ページの角を折る)に始まり、ライン引き、注釈、感想まで書き込むことも。勿論、自分の本限定である。
本には読む以外のアクションを加える方が、記憶の定着が良いような気がしている。ただし、痛い目にあうこともあるけれど……。
◆読中のページはこんなふうになる
一番多いのがこんな感じ
写真は創元推理文庫 G·K·チェスタトン『ブラウン神父の童心』からのページ。古典ミステリファンにはお馴染みの一冊だ。名言や気になる言い回しが出てきたら、すかさずラインを引いてしまう。
「犯人は独創的な芸術家だが、探偵は批評家にすぎぬのさ」
収録短編『青い十字架』で、怪盗フランボウが名探偵ヴァランタンに言った言葉。こんな名言、さらっと読み飛ばせるわけがない。
私はこのセリフのパクリいやオマージュを、他の小説や映画でたくさん見てきた。『名探偵コナン』でさえ、怪盗キッドがコナンに似たようなセリフを言っていた。それはきっと、多くの読者が私のようにラインを引いたり印を付けて印象を深めたからだ(と思う)。
まあこれくらいの書き込みならば利はあっても害はない。問題は次のようなケースである。
◆トリックのネタバレ、小説の真骨頂部分まで明記
これは創元推理文庫 マーガレット・ミラーの『ミランダ殺し』。ラスト数行の衝撃に凍り付いた作品だ。初読当時の書き込みメモが、最初のページに挿入してある。この踊りたくった汚文字から、読了直後、ほとばしるようにあらすじを書いたと思われる。
だがしかし! なんでラストをそのまま記し、トリックまで書き込むのか! アホか! 写真赤枠の箇所がそうだ。noteに掲載するため、赤枠部分は写真加工で文字を消した。拡大しても読めないのでご安心を。
当時の思考を想像すると、あらすじを書くことでラストまでを反芻し、最後のくだりを文字に起こして興奮に浸ったと思われる。いかにもやりそうなことなのだ。
◆入り組んだ情報を整理をするためのメモ
書き込みはミステリだけではない。
写真は新潮文庫 森見登美彦『四畳半王国見聞録』のページから。この書き込みは、空きスペースが足りないために途中で切り上げた半端もの。収録短編『蝸牛の角』と他の短編との奇想天外な情報を、一覧させようと試みたのだ。
殴り書き=アホの落書きレベルの無残さ。大好きな作品なのでもう1冊買う。
◆悪癖に対する自分なりの対処とルール
・再読に支障がなければ、このまま無視する。
・無残すぎる書き込み本は、2冊買い覚悟。きれいな方は電子書籍でストック。
・人に本は借りない。貸さない。
・図書館で借りて持ち帰らない。館内で読み切る。
そんな私でも絶対にきれいなまま読み切る類いの本がある。
写真集、美術書、画集。これらは絶対に汚さない(当然か)。
◆『まだらの紐』が、悪癖と未来の読書傾向を決定した
普通、本に書き込みをするのは躊躇ものだ。私の場合、過去に派手な落書きをしことでタガが外れたと思われる。問題の本は、小学生時代、手にしたホームズの『まだらの紐』(偕成社版)。
「まだらの紐」のオソロシイ因縁についてはこちら↓
結局、この『まだらの紐』が自分の未来の読書方向を決定づけた。
本への書き込みグセ、そして無類のミステリ好きになったきっかけである。
果たして『まだらの紐』はルーツなのか、トラウマか。
思ったことをすぐ書くクセは、noteのコメント欄でも健在だ。皆様の良き投稿に、間髪入れず書き入れさせていただいている。どうかご容赦くださいませ。
*関係者様 本の掲載について問題があるようでしたらすぐに削除致します。ご一報ください。