スコラ哲学は「三位一体の神」について論争
前回の投稿記事のとおり、ヨーロッパ中世では神学をいかに哲学的に基礎付けるかに関心が払われていました。
スコラ哲学のスコラとは、ラテン語でschola、英語のschoolに由来します。このスコラ哲学は「三位一体の神」の理解について争っていました。「三位一体の神」をプラトン主義的に実在すると説く「実在論」と、名前としてだけ存在すると説く「唯名論」の対立でした。「普遍者」としての「三位一体の神」をめぐって、中世「スコラ哲学」が真っ二つに割れていたのです。これを「普遍論争」と呼んでいます。
「普遍論争」において、唯名論はアベラール(1079〜1142)に始まります。その後イギリスのオッカム(1285〜1347)に引き継がれ、やがてオッカムはイギリス経験論の開祖となっていきます。
スコラ哲学の父はアンセルムス(1033〜1109)。アンセルムスは実在論者であり、その後、実在論は、トマス・アクィナス(1225〜1274)に引き継がれました。アクィナスは、スコラ学の最大の哲学者であり実在論者でもありました。しかし、彼は実在論に限らず、中世における異端まで含めた神学諸派を紹介した「神学大全」を発表したことで知られています。