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「もしどこかで順正が死んだら、私にはきっとそれがわかると思う」
■感想文『冷静と情熱のあいだ Rosso』/著者・江國香織さん
ミラノのジュエリーショップで週に3日ほど働くあおいは、アメリカ人のマーヴと暮らしている。ワインの輸入の仕事をしているその男は、リッチで紳士で誠実で胸板も厚い。しかし、イタリアで生まれ育ったあおいにとって、慣れ親しんだ場所でその完璧な男と暮らしていても、心の中にはずっと、満たされることのない部分があった。
原因は、阿形順正だ。
本書は、完璧な男との完璧な日常に決して満たされない女性が、不完全で危うい男との恋をくすぶらせ、その恋を一瞬だけ満たすまでの物語である。大変月並みだが、とてもロマンティックでドラマティックで、もろく、はかなく、悲しい恋の話だ。
・悲恋に心を焦がしたい人
・恋に恋したい人
・江國さんの小説が好きな人
には、まらない一冊となることと思う。
物語の舞台がミラノやフィレンツェなので、イタリアに土地勘のある人にとっては、懐かしい思い出を味わうことのできる、そんな小説でもあるのだろう。
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