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冬の心

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1993年に日本で公開されたフランス映画『愛を弾く女』についてのマガジンです。同名のノベライズもこの映画の公開に合わせて出版されました。ノベライズを書くにあたって苦労したこと、刺…
月に2本ほどのペースで更新しますが、全10本以上になる予定ですのでマガジンで購読したほうがお得です。
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2024年9月の記事一覧

冬の心(その6)——ピアノ三重奏曲、あるいは「郷愁」。

冬の心(その6)——ピアノ三重奏曲、あるいは「郷愁」。

 これはステファンが、カミーユ愛用のヴァイオリンを調整し直した直後に彼女が弾くピアノ三重奏曲の冒頭の描写です。ビデオを探し求めて——あるいは買い求めて——この場面を確認するのはむずかしいでしょうが、さまざまな音楽専門のプラットフォームがありますから、この曲をストリーミングして聴くのはそんなにむずかしいことではないでしょう。
 これを書いている今、わが家のオーディオで鳴っているのもこの曲です(ストリ

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冬の心(その5)——ラヴェルのヴァイオリン・ソナタ。

冬の心(その5)——ラヴェルのヴァイオリン・ソナタ。

 カミーユから修理を託されたヴァイオリンを前にして、ステファンの頭で鳴る曲の描写。しかし、今、自分で書いたものを読み直し、あらためてラヴェルのヴァイオリン・ソナタについて調べていくと、自分がとんでもない勘違い、あるいは確信犯的ともいえるアクロバット的な小説化をやってのけていることがわかる。冒頭の引用は次のように続く。

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