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ポジションペーパーの発行を通じて社内の業務改善を促す

ポジションペーパーとは、PR担当者が組織が陥りがちな非常識感を、外部の事例や動向を解説することを通じてさまざまな修正を促す意見書です。PR部門に実行の責任はなく、主に経営陣に向けて社会課題がなんであるかを客観的に伝え、意志決定の材料にしてもらうものです。内容のまとめ方によっては事業部単位、部署単位でなんらかの議題を提出する目的を有するものもあります。

シェアリングエコノミー会社で社長提言をした事例

営業部門でのセールストーク内容が安定しない問題が見えたので、その原因を探っていたところ、経営理念を社員が理解しておらず、経営ミッションがそれにかわって浸透している状態を観察しました。そこで、経営戦略がどのような経緯で作られたのかを検証し、以下の5つに課題をまとめたものを作りました。

1.経営ビジョンを改めて定義しなおし、社内浸透を図る宣言を
2.経営ビジョン達成の結果、日本の会議室シーンを引っ張る存在としているので、その達成のけん引役となる部署「日本会議室研究所」を作ってはどうか
3.法律的なグレーゾーンを活用して参入してくる低価格帯の貸会議室に対抗策を取るなど、具体的なアクションを決めよう
4.予約を受け付けるしくみでスタッフの負担が厳しすぎる問題の解決は、AI導入などの自動化を大幅に進める大改革が必要
5.組織改編や業務改革、理念の再共有など、情報の流れが大きく変わる今、社内外のコミュニケーション方針のかじ取りをするPR室を作れ

ポジションペーパーは議論を促すもの、と解説しましたが、
このペーパーの裏に、私は複数の具体的改善案をまとめたものを用意しました。その相関図は以下の通りです。

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新規事業
事業強化
事業提携

この3つのテーマと連動した改善が必要だと判断しました。

★重要なポイント

ポジションペーパーは、社会の視点や一般常識をまとめるだけでなく、組織がかかえる課題がどのように外部に影響を将来及ぼすのかも指摘することになります。情報を発信するというイメージが強い「広報職」ですが、それは日本だけのもので、本来の広報・パブリックリレーションズは経営に沿って情報をいかに効率よく効果的に伝えるかをデザインする職種です。

今回のポジションペーパーは、業務の抜本的改革にまで踏み込んだ挑戦的な提案になりましたが、その基本は課題1にある「企業理念を再度定義してください」ということから発しています。この整備をしていくと、どうしても組織や制度を変更しなければならない(=本来掲げた企業理念とはまったく違うことを会社は行っていた、ということ)と判断したからで、経営を抜本的にかえてほしいとは、検討時には夢にも思っていませんでした。しかし、情報発信の観点から考えると、どうしてもこの提案がさまざまな課題を一気に解決するものであると確信したので、まとめに踏み切りました。

きわめて実現可能な提案でないと、意味がない

提案をしておしまい、というポジション上、その内容は現実感満載でなければ意味がありません。私がまとめた5つの提案は、すべて実現可能なもので、一部は事業計画書に転用できるレベルでまとめています。実際にやってみないとわからないのが経営ですが、提案を採用することで何が改善するのか、ということの指摘はそれぞれでちゃんと行うのは当然のことです。

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