聖母被昇天
1995年 ヴェネツィア
サンタ・マリア・フラーリ教会
この教会の祭壇をかざる「聖母被昇天」
ヴェネツィア派絵画の
巨匠ティツィアーノの最高傑作だ
聖母マリアの眼差しは天国に向けられ
見る者の視線をも方向づける。
金色の光のなかで
神は身をかたむけ天に召される
マリアを待ちうけている
下では空になった墓から
マリアを見あげて
パウロ、ヨハネらの使徒が
おどろき動揺している
バロック的でダイナミックな構図
全体をつつむ暖かい色彩
神々しい金色のかがやき
赤い衣をまとい歓喜に満ちたマリアの表情
場面を物語る天使のポーズ
すべてティツィアーノの天分を
存分にしめしている
「聖母被昇天」に魅せられた芸術家は多い
ワーグナーも
この絵から啓示を受けて
楽劇「ニュールンベルクのマイスタージンガー」を
完成させた
と自伝「わが生涯」で語っている
祭壇の下で天にのぼる聖母を仰ぎ見て
ああ!ああ!と感嘆する僕
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