ブルーオーシャン戦略|捨てるから獲られるものがある|マーケティングはこれだけ!コラム⑥
みなさん、こんにちは!Tak@外資流マーケティングです。
マーケティングに携わる人であれば読んだことがある方も多いかと思いますが、『ブルーオーシャン戦略』という本。初めて手に取ったのは10年以上前になりますが、今でも時折見返すことがあります。
ブルーオーシャン戦略とは、既存市場で価格勝負、低利益の血みどろの戦いから抜け出し、自社のシェアを伸ばすこと、または 高利益ビジネスを展開する戦略となります。
そのアプローチとして肝になるのが、自社の製品やサービスから、何かを『減らす、取り除く、増やす、付け加える』という4つのアクションです。
これら4つを実施した上で、描くことができる新しい価値曲線が『戦略キャンバス』となります。
以前、バリュープロポジションの説明の際には、既存美容室に対する1,000円カット店舗のバリュープロポジションをこの『戦略キャンバス』を用いて説明しています。
改めて、戦略キャンバスとは、何なのかというところから見ていきたいと思います。
本書では、フィットネスジムのカーブスのビジネスについて戦略キャンバスを使って説明されていますが、日本ではチョコザップが流行っていますので、これも含めて戦略キャンバス作成しましたので見てみましょう。
■カーブス、チョコザップ、既存のジムの戦略キャンバス
これまでの既存のジムは幅広いターゲットに対する総合フィットネスが主流でした。
老若男女問わず、運動不足解消から高いレベルのフィットネストレーニングまで対応でき、また、水泳やエアロビクスなどさまざまなアクティビティを提供するジムが多く存在していたなか、カーブスが2005年 に参入してきました。
戦略キャンバスとしては、図) ブルーのラインで既存フィットネスジムとの違いを各項目で表しています。
カーブスは、ミドルからシニア女性をターゲットに、1回30分、通いやすい値段設定(通い放題)でサービスを提供する一方、特殊なマシン、スパ、プール、シャワー、ロッカーなどは併設していません。
そう、普通はジムならあるでしょうと思うような設備について取っ払ってしまっているのです。
その代わりに、女性スタッフを中心に30分のサーキットトレーニングを実施できる環境づくりへと投資し、また、店舗コストを最小限に、一気に店舗数を増やし、通いやすい環境を整備していきました。
特に、既存にはない付け加えたベネフィットとしては、女性オンリーの店舗展開という点です。
運動不足のミドル・シニア女性層をターゲットに、男性もいるようなジムだと通いにくいという潜在ニーズを上手く捉えたと言えるでしょう。
Chocozapはどうでしょうか。
グラフでは青色で示しています。
着替えることなく普段着のまま、隙間時間でのトレーニングができ、業界的には破格の月額2,980円(税込3,278円)、24時間365日使い放題というプランで一気に店舗を増やしました。
現在では1700店舗超とカーブスの1900店舗超に近づいている状況です。
お気づきの通り、カーブス同様に、普通のジムではあるべきだと、普通は思うものを取っ払ってます。一番大きいのはスタッフですよね。
マシンの使い方をレクチャーするなどの安全面の管理や衛生面の管理をするためにも必要だと思ってしまいますよね。
それすらを取り除き、増やすものや付け加えるものへフォーカスしています。
限られたトレーニングマシンで無人運営とすることで、店舗設置、運営コストを極限に下げ、スタッフ教育も不要。
会社や自宅の近くで、気軽に通えるコンビニジムという位置づけで店舗数を一気に増やし、ライト層でも通う気になる環境づくりで新たなニーズを掘り起こしたと言えるでしょう。
カーブス、Chocozap共に言えることは、潜在的にはニーズがあった客層をターゲットに、新たなバリュープロポジションで需要を掘り起こし、これまでの競争を無意味のものとし、競争のない世界を創り上げた、まさにブルーオーシャン戦略。
つまり、何かを思い切って無くしたり、減らすからこそ、経営資源が生まれ、その資源を活用して何かを大幅に強化したり、これまで無かったものを付け加えることーー顧客の潜在ニーズとして『今はないけどこうだったらいいのにな』という新たな価値を戦略キャンバスで描くということがブルーオーシャン戦略の 本質 なのです。
捨てるからこそ得られるものがある!
それがブルーオーシャン戦略とも言えますね。
今回もお読みいただきありがとうございました。