![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/165248835/rectangle_large_type_2_d558a024c0b65c779e06716477c80d69.png?width=1200)
利益を稼ぐマーケッターになるために必要な視点とは | マーケティングはこれだけ コラム⑧
こんにちは、Tak@外資流マーケティングです。
マーケティングとは『お金』を生むこと、という観点でこれまでもお話してきましたが、マーケティングは、稼がなければ自分自身の存在価値を表すことができません。そうなると、会社にとってマーケティングがコストになってしまいます。
『お金を稼ぐ』ということは、トップラインの売上だけ伸ばしていれば良いのではなく、ボトムラインの利益を追求しなくてはなりません。それを考察するために必要になるのが、プロフィットロス(P/L)についてです。会社の帳簿がどうなっているのかということになります。
マーケティングで必要な4Pのうち、プライシングをする上でもこの考察が無ければ利益を残すことができないでしょう。
当たり前ですが、いくらで販売したらどれだけ利益を残せるのかが分からずにプライシングは不可能です。
一方で、営業しているなかでは顧客の要求は厳しく、値下げして数量増加を検討することも出てくるかと思います。もちろん、製品価値を高めて価格競争から抜け出すような施策を打つこともマーケッターにとって重要ですが、短期的には価格戦略で売上と利益を確保することも考えなくては事業を回すことができません。
ではさっそく、価格戦略がどのように利益に対してインパクトを与えるのかということを見ていきましょう。
■既存の販売先へ10%値下げして10%販売量を伸ばすと儲かるのか
製造業では、固定費を回収するために販売量を増やした方がよいという理論があります。確かにその通りではありますが、値下げしてまで販売量を増やすべきかということについては、ケースバイケースです。
少しその前に、言葉の定義についても触れておきますと、売上から変動費を引いたものが限界利益となります。そこから固定費を引いたものが営業利益となり、この営業利益をいかに残すのかということがここでのポイントになっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1733492584-tjQX0iulYyK2LbRamNJZBc4V.png?width=1200)
それでは、事例で考察してみましょう。
月あたり、既存A社へ500円/個、700個販売し、既存B社へも500円/個、300個販売し、トータル平均単価500円/個、1000個販売しているケースにおいて、この会社の売上は500,000円となります。
1個あたりの変動費(製造業の場合、その多くは原料費)が200円/個の場合、変動費は200,000円(200円×1000個)となり、限界利益は300,000円となります。(売上500,000円ー変動費200,000円)
1個あたりの固定費は200円/個とし、1200個まで生産可能な設備や人員体制という場合、月あたりの固定費は240,000円となります。
限界利益300,000円から固定費240,000円を差し引いたものが営業利益となり、この場合は60,000円です。利益率は12%の商売となっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1733494449-87LN2YxBuRaHnit1U3CloesG.png?width=1200)
ここで、A社に対して10%値引き(50円値下げ)を行い、10%販売増加(70個)という施策を打った場合、どうなるでしょうか。
下記図の通り、A社への販売では、値引きをしたため利益が低下していますが、値引きをしなかったB社では、全体生産量が上昇したことによって1個あたり固定費価格が下がり、利益は増えています。全体販売量が1000個から1070個に増え、240,000円の固定費を割り返すと1個あたりの固定費が安くなったのです。
しかしながら、会社全体で見てみると利益は42,500円となり、利益率は9%に低下してしまいました。
![](https://assets.st-note.com/img/1733494364-U3hCRLj9cef50VvE8gKAWnHm.png?width=1200)
また、さらにその価格が既存B社に波及してしまった場合は、さらに利益低下を招き、会社全体の利益率は6%になっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1733494386-OVNtA4n3J8YQmqdwgrR7MElv.png?width=1200)
数量を増やして固定費削減を試みたのですが、結果として利益を大幅に減らすことになってしまうという事例となります。
■値下げしても全体利益が増えるのは新規開拓
では、新規開拓でC社への販売を行い、C社に対して平均売価より10%下げて、会社全体の販売量10%増加(100個販売)とした場合はどうでしょうか。
この場合は、以下の図の通り、利益率17%となっています。
全体数量が増加したことによって1個あたりの固定費削減効果が働き、既存顧客のところでの利益が改善し、新規顧客では安売りになっていますが、これまでなかった利益が純増で入ってきますので、売上・利益共に増加となります。
![](https://assets.st-note.com/img/1733494474-rfY24CH0Lhx8OlNGyEgnMmAz.png?width=1200)
もちろん、この場合でも、既存A社やB社への低価格が波及してしまった場合は全体利益低下になりますので注意が必要です。
■マーケティング施策でプロフィットロス(P/L)を考える
マーケティングとは、たくさん数量が売れれば良いというものではなく、様々なマーケティング施策を打ち込みながら、如何に利益を残すかということが使命となります。
一方で、競争原理も働き、日々、顧客からも厳しい要求があることでしょう。その中で、利益を残すようにしていくためには、数量、価格、変動費、固定費、利益の関係性、つまりプロフィットロス(P/L)について理解しながら、4Pを設計していく必要があります。
最後に使用したエクセルもダウンロードできますので数式で確認されたい場合は、ご確認ください。
お読みいただきましてありがとうございました!
以上