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個別顧客の視点と全体市場視点の両方を持つこと| マーケティングはこれだけ| コラム⑭
こんにちは、Tak です。
成功するマーケッターの条件として、これまで私のNoteでは『2つの視点を同時に持つことの意義』についてお話してきましたが、その続きになります。
2つの視点で同時に見る力、これをマーケティングのバイフォーカルレンズ(二重焦点)と呼んでいます。
↓過去の記事はコチラ
さて、今回は、個別顧客の視点と市場全体の視点、両方を見ることの重要性についてです。
・営業部では個別顧客視点になりやすい
スタートアップを除く、多くの企業の営業担当では、個別の顧客視点に偏りがちで市場全体視点を持つことが出来ていません。これがダメなことというわけではありません。マーケッターとしては、なぜ営業では顧客視点になってしまうのかということを知り、それを踏まえて情報を集約し、戦略を持たなくてはならないということをお伝えしたいと思います。
営業部ではアカウント、地域割り振りになっていることが多い
多くの企業の営業部では、アカウントごと、エリアごと、あるいは製品群ごとに担当が割り振られることが多く、いずれの場合も各担当が受け持っている範囲は限定的となっています。
その代わりに、アカウントごとの割り振りの場合では、その顧客について一番良く知っているのが営業担当であり、エリアごとの割り振りの場合は、営業担当が当該エリアのプロフェッショナルと言えるでしょう。その弊害として、割り当てられた顧客や地域の担当が長くなるほど、愛着を持ち、ビジネスでの視野は狭まります。担当顧客に気に入られることを考え、顧客の言われることを叶えてあげたくなるのが営業の性です。他の営業担当が持っている顧客や市場についての関心がない人も出てくるでしょう。
営業の基本は既存市場×既存顧客になることが多い
アンゾフの成長マトリックス(図参照)に照らして見た場合、営業部が担っている業務範囲の中心は『既存市場』×『既存製品』或いは『新規製品』になっている組織は多いと思います。特に新規市場開発や新規製品開発は営業の能力やセンスに任せになっていることがあり、『これまではベテランの〇〇さんがいたので実施していたけど退職してしまったので今は・・・』という話を聞くことも多く、組織的に出来ていたわけではない企業が多く存在していると思います。
<アンゾフの成長マトリクス>
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上記2つにあるような営業組織の場合、顧客のニーズに関する情報が点在し、集約した情報になっていないことがあります。そのような状況において、個々の営業采配に任せて仕事を進めていくと、きわめて非効率なことがあります。例えば、営業担当が自分の顧客だけのために新製品を作ってしまった場合、他では売りにくい、長期在庫のロングテール製品を生み出してしまう可能性があります。そんなことは無いだろうと思うかもしれませんが、製造業の場合、このような話はどの事業でも大なり小なり必ずある話です。『開発当時、顧客の〇〇は大口顧客で、ニーズに合わせて新製品を作れば、たくさん買ってくれるという話でしたが、蓋を開けて見ると、それほどの需要がなく長期在庫になってしまっている』という話です。
マーケッターに求められるのは『木を見て森も見る』という二重焦点:バイフォーカルレンズです。他の似たような顧客で同じニーズがあるのかどうか、新製品が受け入れられる市場規模はどれぐらいなのか、市場トレンドはどうなっているのかという多角的な視点で3CにおけるCustomerを分析していくことが森を見る作業になります。
・マーケッターが木の情報を収集するためにはどうすべきか
一方で、マーケッターが木の情報を得るためには、同行営業、営業会議への参加が重要になります。マーケッター自身が足を使い、営業と同じ目線で情報を得ていくことで議論が深まり、情報精度が高まります。また、日々の情報については、日報や週報の回覧、あるいは、最近ではSFA(Sales Force Automation:営業支援システム)を導入するのも一つの方法です。例えば、最も有名なところではセールスフォースがあります。クラウドシステムのなかで顧客情報、商談状況、予実状況など、全ての営業状況を把握し、顧客ニーズ、市場動向の情報を収集していくことが可能になります。
マーケッターのバイフォーカルレンズを持って計画すれば、ひとつの顧客ニーズだけではなく、顧客セグメントごとのニーズを把握し、自社の経営資源や競合状況を踏まえ、市場での価値を最大化させる事業を推進することが可能になるでしょう。
もちろん、顧客ニーズを集約していくことでセグメント化され、それが広いセグメントになるほどポジショニングが曖昧になっていくため、自社にとって適切なセグメント条件を見出すことが重要になってきます。
これらはSTP(セグメンテーション、ターゲッティング、ポジショニング)とバリュープロポジションについて纏めているNoteを参照頂ければと思います。
お読みいただきましてありがとうございました。