レモンマンまちがえちゃった「掌の童話」 4
歓声が聞こえる。
なんて曲か知らないけど、運動会でよく聞く音楽も聞こえる。
そっと目を開けて顔を上げてみた。
みんないる。
みんな体育着で笑顔がはじけてる。
観客もいっぱいだ。
運動場には白線に引いてあるし、万国旗がはためいている。
間違いなく、きょうの運動会だ。
ワープして戻って来たんだ。
あいつ、レモンマン、嘘みたいだけど本当だったんだ。
一瞬、
―あ・や・し・い―、って思ったけど、僕も単純だ、
―ヨッシャー!―、ってなって、思わず飛び上がろうとした。
だけど、
―あれえ? ちがうよ、ちがう。体が思うように動かない―
やっぱり夢か?
―わっ! むこうの列に、ボク、がいる。じゃ僕は?―
思わず自分の体育着の名前を見た。
「4C 吉田」って書いてある。
―あの鈍足の「4C 吉田」君?―
鈍足、だなんて失礼なこと、ふだんの僕なら絶対に思ったりしないよ。
混乱してるんだ。
僕は「4A 速田」なんだけど、今の僕は「4C 吉田」で、ボクがむこうの列にいる。
―冷静になるんだ。僕と吉田君が入れ替わってるんだ。あの野郎、レモンマンの野郎・・・・・・―
<以降はAmazon Kindle版
レモンマンまちがえちゃった「掌の童話」、に掲載しています>
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