見出し画像

(8)公私ともに、円熟期に突入する。(2024.11改)

自動車部品を積んだ船舶が名古屋港、富山港からイランへ向かい、イランからやってきた石油タンカーが名古屋港へ到着する。モリがイランへ単身訪問した結果が現れた。   
 石油調達を請け負うプルシアンブルー傘下のエネルギー関連会社PB Enagy社は、配給契約を交わしたガソリンスタンドに対して卸売値の低減を伝える。各県のスタンド「PB Enagy」が一斉に、リッターあたりの各種ガソリン・軽油・灯油の販売価格を10円下げる。更に富山・岐阜の2県、そして名古屋市のしらさぎ経済圏では、安価なイラン産原油を潤沢に利用でき、化学メーカーを初め、中小の町工場に至る全ての事業者に石油を供給すると社会党・共栄党とPB Enagy社が連名で発表された。太陽光発電による電力量が増える5月以降、富山で発電した安価な電力を岐阜と名古屋への供給も計画されており、しらさぎ経済圏下にある企業・事業者はもれなく恩恵を受ける「今後」が示された状況にある。    
前政権期、訪日した前イラン大統領に塩対応してイランの機嫌を損ねた過去との対比となり、与党との格の違いを改めて示した好例となっていた。  
既に失墜している与党の株は最低以下まで暴落し、国内選挙で立候補を予定している者は、与党の推薦を軒並み拒否する事態にまで追い込まれていた。与党の推薦を拒否したところで、落選は確実な状況なのだが。

しらさぎ経済圏内と社会党知事県内で、イラン産原油供給開始による影響が広がりつつある今、富山市長選と名古屋市長選に立候補を表明している杜 蛍と小式木クリムトン瑠偉は、「当確確定」とする見方が大勢を占める様になった。
共に無所属立候補だが、社会党と共栄党両党の推薦を受けた小此木 瑠衣名古屋市長候補が、富山県庁を表敬訪問した。庁舎前で金森知事と金森の秘書で富山市長選に立候補している娘の蛍が、小此木を出迎える。金森知事を中心にして3人が交互に握手を交わした後、金森が瑠衣と蛍の2人の肩に双方の腕を回し、抱き寄せる姿を富山のメディアや在京メディアが映像に収める。        知名度を買われた小此木瑠衣は、社会党知事・市長グループ内で広報的な立場を担う事になると金森知事が明かす。アジアビジョン社の記者として数多のニュースを配給し、艶やかな容姿と共に番組内で活躍してきた小此木は、社会党の報道官・スポークスマンとして適任であり、党のフロントマンの役割を将来的に担うだろうと誰もが期待する。一方、モリの妻としての立場を全面に掲げて、公の場で「第6子」を身籠っている旨を明かして選挙選に挑んでいる杜 蛍は、新市長として党の守りを固めながら「夫の後衛役」を母の金森富山県知事とママ友の幸乃岐阜県知事と共に担う。
国際舞台で頭角を現し始め、今後外交活動が主流となる夫を内政面で支える方針を打ち出し、チームとしての社会党・共栄党を母娘で支える図式を打ち出す事に成功していた。党の内政面全てを金森知事が担っていた社会党は、これまでは会見も控えめで、情報発信を効果的に出来ずに成果を淡々と報告する傾向にあった。新たに小此木 瑠衣を戦力として加えた社会党は、以降は過度な情報発信も可能となる。大都市名古屋という太平洋側の重要都市を新たに担う社会党にとっても小此木瑠衣と杜 蛍がコマとして加わる状況は、党勢を拡大する上でプラスとなる。         

記者やカメラマン達が見ている状況下で、社会党広報担当の幹部職の座を与え、名古屋市長の立場で党をアナウンスするポジションとなると金森富山県知事が小此木に伝える茶番劇の場で、小此木瑠衣も金森の提案を即座に受け入れる。
次期名古屋市長に最も近づいた小此木にとっては党の広報担当以上に、元上司の「大奥」へ加入する方がよほど重要な点なのだが、微塵も本心は見せない。小此木 瑠衣だけでなく、大奥を構成する現在の女性陣全員の総意は、ビルマの影の当となり世界の表舞台で暗躍し始めたモリを支えるのが全てだ。それが大奥の結束ポイントでもあるのだが、表向きは社会党・共栄党が強化し、拡充された様にしか外野には見えないだろう。

富山県庁に続いて、岐阜県庁を訪れた小此木は、村井幸乃知事と知事秘書の村井志乃の姉妹と面会をし、富山と岐阜そして太平洋側の名古屋市までの”しらさぎ経済圏”の構築と成功を誓い合う。”しらさぎ経済圏”が目指す方向性は、ビルマ政府が始めた「All for one」体制の模倣とも言える。

「ビルマ版国家総動員法」とも揶揄されているAll for oneは、アフガニスタン内のタリバン掃討と台湾の2カ国防衛に傾注した国内経済シフトであり、ビルマの経済高揚策でもある。
アフガンでのタリバン掃討作戦における顕著な例を上げると、軍事兵器と燃料などの兵站と兵士とアフガン難民用の食糧を配送を国内の7つのビルマ内の航空会社に委託している。そもそも、アフガニスタン内に相応の航空戦力が存在しないので、迎撃される心配は無い。ソ連と米軍による侵略期に、地上から放たれるスティンガーでヘリを破壊・墜落したが、現在のタリバン地上部隊は既に壊滅状態となっており、旧ソ連軍と米軍のヘリを無力化した過去の再現は不可能に等しい。且つ、万が一のゲリラ活動を想定して、輸送中の航空機には護衛機としてUAVとS2000 AI哨戒機が伴走しているので、撃墜されることも無かった。       
また、ビルマは豊かな農業生産国でもある。しかしミャンマー期の軍政権の経済政策の名残で農作物の輸出は制限されてきた。新生ビルマ国となり、制裁が解除された今、ビルマの農林水産省が国防省の求めに応じて国内の食料品メーカーと発足したばかりのビルマ各県の農協、漁協に食料品物資の供給を要請し、ビルマ国内の農民・漁師が国内価格以上の金額での糧食の提供に応じている。        
このように、アフガン侵攻と台湾防衛による多額の費用を民間企業と民衆に分配することで、ビルマ国内の経済力を活性化させ、経済成長を促す構図を確立するのが陰の国家顧問であり軍の最高権力者の狙いだった。    
1950年に勃発した朝鮮戦争が荒廃した戦後の日本経済に特需を齎したが、その再現を狙った「All for one」「しらさぎ経済圏構想」を何者が画策したのか、誰もが容易に想像する。
翻って、富山と岐阜そして名古屋市のケースで言えば、2県1政令指定都市内の全ての企業に、しらさぎ経済圏内活性化の為の参加権が与えられる。 案件毎の入札で事業参画が可能となった企業は相応の利益を得ることが出来るハズだ。安価なエネルギーと電力が安定的に供給されるのだから。

ーーー

小此木クリムトン瑠衣はモリの従者であり、公私に渡るパートナーの様にイラン滞在中は振る舞っていた。記者の名刺を出しながら、モリの元部下である過去を伝えて、秘書でありブレーン役として行動し、イランの権力者や政治家とのパイプを作りを少なからず支えた。
小此木が市長選出された暁には、名古屋市長としてイランを再訪し、テヘラン市との友好都市提携を結ぶ約束を既に交わしている。5月になると名古屋の新市長となった小此木瑠衣が団長となり、富山県・岐阜県・岡山県・栃木県の社会党知事を引き連れてイランに再訪する予定となっている。同時に、副団長役を務める杜 亮磨が台湾総督と外務大臣を伴って、イラン政府に台湾を紹介する。イランにしてみれば石油を中国と台湾の双方に供給することで、国際舞台で政治的な立場で中立の姿勢を示す格好となる。 

想定した様に、今後中台の双方にイラン産石油が安定的に供給されるようになると、イランを敵視しているアメリカ・イスラエル等の国がモリと日本共栄党の行動にクレームを上げ辛くなると見ている。
更に、初代スポークスマンとなった小此木瑠衣が、共栄党・社会党のそもそものスタンスは無資源国家・日本の状況を踏まえた資源確保が主であり、共栄党・社会党を支持してくれる人々への施策であり対価で、選挙が続くのでその対策に過ぎないと公言する。 また、イランに石油供給の提案を持ち掛け、中国政府をその気にさせたのはモリのファインプレーなのだが、それを小此木が明かすことは無い。あくまでもイラン政府の判断によるものだと強調した上で、「イランが中台双方の陣営に公平に石油を提供することで、国際間のバランスを維持するのを狙っているのではないか?」と、したり顔でブレーン役を気取って小此木が発言する。モリの判断で全てが動いている事実を覆い隠すのも、小此木の役割の一つでもある。

岐阜県庁舎を訪れた小此木は、マタニティ姿の村井幸乃知事と妊娠初期で得意顔をした源 翔子と、知事の妹の村井志乃の動じない表情に感心していた。モリの愛人であり、公私に渡ってパートナーとしてのポジションを既に確立している3人は、小此木の参画に対して全く揺らいで居ないように見える。特筆すべきは今回、源 翔子が小此木次期市長の秘書のポジションを命じられた事だろう。北朝鮮とビルマの政変劇で常にモリと行動を共にし、支えた。その舞台を通じて寵愛を得たが故に初めて通常な手段で身籠った翔子と、ビルマから連れてきた護衛役のシャン族の元女性兵士2人を翔子の配下に据えた上で、小此木に差し向けてきた。護衛の2人はビルマでのモリ家のメイドのサラとセーラの母親にあたり、名字の無いビルマ人に「ミナモト」の姓を付加した上で、社会党職員として国内在住資格を取得している。護衛を初めて社会党が配置した理由は、党のフロントマンとしてメディア露出する小此木を守る為であり、妊娠中の翔子を日常面で支える役割を担う為だった。                     

岐阜県庁を訪問中の小此木の背後で、ネイビースーツで身を固めたマーサとドナは少なからずメディアとニュースの視聴者を騒がせる。唯でさえ目立つ小此木と秘書の翔子のツートップの背後に、一見しただけでは屈強さを全く見せないオリエンタル系美女のSPが控えているのだから当然かもしれない。その後、岐阜県庁を辞した小此木が岐阜駅前で暴漢に襲われるのだが、マーサとドナのコンビが暴漢を難なく取り押さえる映像が、SNS上で拡散することになる。

富山県の五箇山集落でアジアビジョン社のテレビニュースを見ていたサラとセーラも美しい母を垣間見れたので、したり顔だった。サラもセーラも母親と同時に「源」姓を受け、日本での滞在資格を得ている。 
"センセイ"から最も寵愛を受けており、モリ家の筆頭家老の様な扱いとなっている源家に加わった事で、母親同様に娘たちも満足していた。服飾手当が支給され、着飾り、化粧をするようになった母親をサラとセーラは誇らしく感じていた。 
 小此木と翔子よりも5つ以上若い、30代後半に差し掛かった母親たちは、翔子から妊娠を促されたと嬉しそうに語っていた。シャン族の兵士として内戦で散った父親には申し訳無く思いながらも、国の英雄の子を宿す資格を得た母親に対して、今まで以上の愛情を感じていた。シャン族のリーダーであるアリアも、シャン族の未来の為として積極的にモリとの接触を勧めている。それもあって、2人の母親もメイドとして国会議員となるモリを支える娘達を誇らしく思い、国の英雄を四六時中ケアする様、娘に指示を下した。

ーーー

富山市内各所で市長選に立候補している杜 蛍の応援演説をしていた一行が帰宅すると、サラとセーラも忙しくなる。 学校から帰ってきたモリの実娘のあゆみと養女の彩乃とマイと共に、食卓に調理したものを並べて、一行を労う。今宵は性力絶倫男が源家に宿泊する順番となっており、翔子の従妹で筆頭秘書の屋崎由真と共に、サラとセーラも寝所を共にする。シャン族のサラとセーラは、自分達より年下のあゆみ、彩乃、マイ、それからブルネイ第5王女の4人に申し訳無く思いながらも、モリに数日ぶりに抱かれる期待感を隠しきれない程、高揚していた。           

源家の当主の翔子が名古屋市長秘書として拠点を代えるので、五箇山の源家の合掌作りの邸宅の仮主はモリの秘書の一人、屋崎由真となっている。岐阜駅前で小此木 瑠衣を襲おうとした暴漢を母達が取り押さえたと由真から聞き、サラとセーラは驚く。日本国内で暴漢が出るとは2人も母達も想像もしていなかったし、母親の腕っぷしの強さを日本国内で披露する場は無いだろうと高をくくっていたからだ。            
この拘束劇はまだメディアで公開されていないが、愛知県警の調査報告によると、暴漢は与党の名古屋市議の元秘書との事で、市議は元秘書の犯行を陳謝するだけでは済まずに、犯人の自供で同罪となり、後日、市議を失職することになる。 この一件からサラとセーラの母譲りの護身術がモリ家の中で注目を集め、休日はサラとセーラの指導を仰いで、女性達が訓練を始めるようになる。適度な運動が膣の締まり具合にプラスに作用するのを知っているモリは、各自がトレーニングに取り組み始めたのを俗な部分で好意的に受け止めることになる。

夕食はシャン料理と五箇山の郷土料理を中心に据えたもので、シャン族の発酵食品に初めて遭遇した日本人妻たちの称賛を、サラとセーラはこの日も受けていた。沖縄の諸島部でシャン料理の店をオープンする計画でいたのだが、「富山市内でも出店してみては?」と蛍が気軽に発言すると、母の金森 鮎もママ友の3人の秘書たちも賛同する。シャン族を富山に配置する計画をしていなかったモリは困窮する。五箇山にもメイド兼秘書を配置する必要が出てくるのだが、富山にはインターナショナルスクールは無い。英語学習が可能な公的な学校が無いのだ。            
「凄く簡単な話。公立英語教育学校を作ればいいんでしょ?富山にもシャン族の美人さん達をどんどん連れてきなさい。淫行常習犯の元教師の為にもなるでしょ。プルシアンブルー社の工場勤務の需要もあるし、富山県内の留学生の増加にも繋がるでしょ?」       
昨夜、乱交状態で絡み合っていたので眠気を滲ませ始めたのか、金森知事が酔っているのか虚ろな目で言うと、知事と共に乱れまくった時間を共有しあったバツイチ3人組がヤンヤと騒ぎ出し、本妻の蛍が心から呆れた顔をしている。
酔った大人たちが不適切な発言をし始めたので、実娘のあゆみと養女の彩乃は困り顔となるが、在日のシャン族の同胞が増える可能性を想像した養女のマイとモリの専属メイドのサラとセーラは、喜んだ顔をしている。

「鮎先生、蛍先生、我がセンセイはシャン族だけでなく、カレン族とモン族のシングルマザーと孤児達を日本に連れてくる事を考えています。インターナショナルスクールのような英語教育の場を富山だけでなく社会党知事県内に設けるのは必須だと進言いたします」  
モリの筆頭秘書の由真がモリを見ながら、笑みを浮かべて言うと、愛人の増加を懸念する本妻の蛍だけでなく、先程は同胞が増えるかもしれないと期待したシャン族の3人も動揺する。日本でもビルマの少数民族間の抗争というか、駆け引き的な要素が必要になるのかな?と、シャン族の娘達は懸念したのだった。

「ビルマの少数民族は3つだけで済まないけど、取り敢えず人口の比較的多い民族をプルシアンブルー社・レッドスター社の従業員として、各県ごとに滞在する部族を決めて配置しようと考えている。当然ながら部族間の争いを避けるためだ。
まだ仮のプランだけど、シャン族は沖縄と工場のある宮城北部へ。シャン族より比較的人数の多いカレン族は、出雲に建設中の家電品工場とタイとベトナムの工場へ配置する。一番人数の多いモン族は、名古屋を始めとする都市部の社会党と共栄党支部に配置するイメージでいるんだ・・」  
由真に私案を暴露されて、いたたまれなくなったモリが発言すると、鮎がツッコミを入れる。 

「確かに部族間の争いに繋がりかねない。ビルマの英雄の子供を身籠る競争が加速するかもね。部族間対抗、モリ淫行大臣の争奪戦勃発。第13回ウタマロ・カップ争奪戦とか、運動会みたいなイベントにしちゃうのも面白いかもね、勝った部族が淫行大臣を村で次の大会まで自由に使えるみたいな・・」

「母さん!子供達の前だってば・・・」蛍が言うと、鮎が孫娘を抱きよせながら言う。
「父親兼養父がモテ過ぎちゃってる状況を、あゆみも彩乃ちゃんもよーく知っている。マイもサラもセーラも、自分達の母親が淫行大臣と寝てるのも当然知ってる。父ちゃんのハーレムを真似しかねない、歩と海斗そして圭吾が合宿でこの場に居ないのを踏まえて、発言しているつもりなんだけどなぁ」 

4月の朝晩はまだ寒い五箇山では炬燵を仕舞っていない。向かいに座っている娘に挑むように鮎が言うと、蛍も言い返そうとするので、炬燵布団の中で内腿を優しく擦って反論しないよう制する。実際、この場に居る18歳以上の女性はモリの愛人でもある。相当数の愛人の存在を認めた正妻の2人が、今更のように愛人や種馬状態について論争するのに相応しい場ではなかった。夫へ愛人取得を勧め、主導してきた蛍がモリに恭順する姿勢を見せると、母である鮎も沈黙する。家長として、母としてマウントを取る場では無いと鮎は判断した。 この群れとチームを率いているのは、自分ではなく、己の生物学的な特徴を褒美の様に女達に与えられるオスであり、突出した政治力とアイディアを持つ、この男なのだと鮎は改めて受容する。

この場と母娘間の空気を察した由真が、酒を飲んでいない未成人の娘たちに宿題をするように命じ、サラとセーラに対しては「後片付けは私達がやるから」と源家の建屋に戻るように伝える。それが合図となって、源家の建屋にサラとセーラと共に、モリも便乗して帰っていった。  
「翔子さんに似てきたなぁ」と、30代になったばかりの若い由真を見て蛍が羨んでいると、
「身重の正妻の相手代わりに、あの絶倫男に4人纏めて昨夜は相手をして貰って私達は満足してるの。由真ちゃんも性力絶倫のウタマロ野郎に抱いて貰いに早く帰りなよ」と鮎が明け透けに言う。由真はニッコリと微笑みながら熱燗をお猪口に注いで、酒宴の場に居続けようとする。
カレン族とモン族を持ち出した手前、口にした罪悪感から居残っているのだろうと女性陣に思わせながらも、まだ経験の少ないサラとセーラの若い肉体と真っ向から張り合う必要はない、と由真は達観していた。
逆に、時間を置いて参画することで「経験値の高さ」をモリに改めて認識させ、自らのスキルを駆使して”大人の女”の良さを再認識させるつもりでいた。 

女子大生の養女達、そして母親達が束になっても翔子と翔子の母の由紀子には叶わなかった「謎」を、つい最近まで由真も理解出来ていなかった。今回、翔子が名古屋市長秘書へ転ずるにあたり、長時間モリと行動を共にして、翔子が会得したノウハウを由真だけに特別に伝授した。ママ友と養女達にモリの寵愛を受けるポジションを奪われるよりも、源家の女の順列の維持を優先しようと、翔子は判断したのだ。翔子の助言とノウハウの伝授は「センセイの欲求を先んじて汲み取り、ベッドの上で受け入れ続けるべし」という内容だった。   
娘の玲子には「時期尚早」と判断して、教えていないと翔子が言うのだが、頭の良い玲子は母と祖母が寵愛を受けている状況を既に汲み取って、自ら実践しているのでは?と由真は勘ぐっていた。玲子と2人でモリと相対しても、玲子と絡み合っている時間の方が圧倒的に長く、翔子とペアを組んだ時と同じ様に、由真はややおざなりの対応を受けている様に思っていたからだ・・。
しかし、ノウハウ伝授後はモリとの相性も格段に向上し、サラとセーラの若い肢体や鍛え上げた体力差に負けはしないと自負していた。だからこそ、「先発役」を2人に譲る余裕を持つ事が出来たとも言える。              

そろそろ頃合いだろうと1時間ほど遅れて、金森家の母屋を辞して源家の合掌作りの邸宅に移動する。鍵を開けて家に入ると、耳慣れない喘ぎ声が聞こえるので由真は驚いた。サラとセーラの声では無いと再認識した由真は、恐る恐る寝室のドアを開ける。
シャン族の2人よりも更に白い肌の少女が男に跨り、下から容赦なく突かれて絶頂に達しようとしていた。サラとセーラはベッド上の左右で全裸姿で横たわり、失神状態にある様に見える。 
跨っている少女が極限の域に達して歓喜の歌を奏でると、少女の絶頂域を維持しつつ、モリが精を放つ体制に転じたので、由真は嫉妬する。
「そこは私の領域」と目論んでいたからだ。行為に没頭している2人は、由真が盗み見している事すら気づいていないのだろう、口惜しいまでに波長の合った動きを続けていた。明らかに何度か性交に及んだが故の男女の動きだった。 

体力が遂に果てたのか、背中が汗まみれの少女はモリに覆い被さり、モリの口を吸い始める。少女の舐めまくるような接吻に応えながらも、それでも下部からの挿入運動を止めようとはしない。「若々しい綺麗な臀部を力強く揉みながら、ドス黒く変色した男の突起物が少女の秘所を蹂躙し続けている・・」その状況を羨んでいることに由真は気付く。既に自身が濡れ出しているのも理解していた。
やがて激しい挿入運動が止まり、3度、根本まで男根が深く貫くと、少女の型の良い臀部が痙攣したように微振動しているので、精が放たれている最中であるのが由真にも分かった。
「神器」と女子大生達が呼んでいる性器を膣から抜き取ると、精液が膣の外に溢れ出る。いつもの如く、征服した女の口に自身の性器を宛てがって舐めさせ始めるので、ボブカットで顔が見えなかった娘が誰なのか漸くにして分かった。 
由真は声を上げるのを必死になって留めた。熟練した腰の動きをしていた少女は、中3になったばかりの彩乃だったからだ・・。

「由真、覗いていないでコッチにおいで」
彩乃に性器を咬えさせたまま、背中越しにモリが声を掛けて来る。背後から恐る恐る近寄ると、愛おしそうに性器を舐め回している、とても中学生には見えない彩乃と目が合った。
「これは、私のモノ」女になった少女の目がそう告げているように由真は感じた。実際、彩乃の舌の動きにより、男性器は暴力的な状態に転じている。
由真は彩乃の挑戦的な視線に耐えられず、視線を外してひと呼吸する。そして、纏っている衣服を彩乃と視線を交わしながら脱ぎはじめる。
「彩乃ちゃん、これが毎日の様にセンセイが貪っている私のカラダだよ。あなたのボディラインは残念ながらまだ幼さが残り、完成の域には達していない・・勿論まだ中学生だから、慌てる必要はないんだけどね」   
自慢の体を彩乃に晒しながら由真が言い、彩乃の挑戦に応じる為に幅広いダブルベッドに自身の裸体を載せる。攻め立てられて突っ伏していたサラが目を開け始めているが、その焦点は合ってはいなかった。セーラはまだ深い眠りに落ちているようだ。「必要ない」と2人には言ったのに、アンダーヘアを剃毛した二人の性器が、腫れたような色をしている。まだ彼の男性器のサイズに適合しきれていないのかもしれないと由真は察する。自身と妹の真麻も最初の頃はそうだったからだ。 

彩乃の頭や撫でて、胸を揉み、振り返ろうともしないモリの背中に、由真は乳房を押し付けて抱きつくと、男の首筋を舐め始める。
「Ok,Round Two Start」モリが言うとその右手が後ろに伸びてきて、由真の性器を弄り始める。「あれ?もう濡れてるんだ・・」そう口にするので、愛する男の耳を由真は甘噛みする。
耳をイジられるのを殊の外喜ぶので、男性器がビクッと口内で動いたのだろう。イマラチオ状態で、喉奥まで咥えていた彩乃が突然ゴホッと咳き込んだ。「それ」を教えたのも、どうせ淫行条例違反男の仕業だろうと思いながら、耳穴に舌を入れて丹念に舐めあげ始めると、男性器の硬度とサイズが増したのだろう。「かはっ」と彩乃の咽た声が聞こえてきた。
「まずはご挨拶だよ。お嬢ちゃん」と由真は溜飲を下げた。

***

「翔子さんに何でも教えて貰うといい」と彼は言ったが、瑠衣には少なからずショックだった。モリの女性陣の中で自分が下層位にあるのを薄々察してはいた。ビルマから帯同している身辺警護とメイド兼務のマーサとドナが、源 翔子に対して最大級の為の恭順の姿勢を示している状況も瑠衣を少々凹ませた。マーサとドナにしてみれば、救国の英雄であるモリを隣で支えた人物であり、「彼女から学び、盗むといい」と敬愛するご主人様から何度も聞かされているらしい。閨での夜伽に加わったばかりの2人にとっては、ご主人様の寵愛を受けたいが故に、愛人の頂点に位置する翔子に様々なテクニック学びたいのも分からなくはないのだが。                 

「私だって、アレコレ教えて貰いたいわよ・・」と、3人の会話から外れてハブんちょになった瑠衣が独りブーたれていると、瑠衣の心情をいち早く察するのも翔子だった。   
「マーサとドナから聞いているのは、昨日の暴漢への対応です。男が持っていたサバイバルナイフを臆せず蹴り落としてからの2人の流れるような動きに興味があってですね・・」  
護身術には全く関心を示さ無い瑠衣に詫てから、再びシャン族の2人に向き合っていた。

社会党・共栄党の愛知県の共同事務所が名古屋駅の北側にある。その一室を選挙事務所として利用していた。既に勝ち戦なので、無駄な出費を費やさない方針を源 翔子が進言し、党とモリの了解を取り付けていた。
ただ、新市長の官舎となる住居だけはセキュリティの施されたPB建設が施工・販売した最新鋭のマンションを2部屋確保したので、相応の出費となった。仮に”要人”が忍び脚で訪ねて来ても、他の部屋の住民は要人に接触すらせず、気付きもしないという徹底ぶりだった。

富山から由真というより自動運転走行で北陸道経由でやって来るモリ一行が、名古屋市内に達したと瑠衣と翔子のAIが知らせる。翔子がマーサとドナに娘のサラとセーラが間もなく到着すると伝えると、「センセイも御一緒ですよね?」とドナが顔を赤らめて言うので、翔子は笑みを浮かべて頷いた。
数回寝ただけなのに、ドナを虜にしてしまう罪なヒトだと翔子は思う。ドナが今、最も重きを置いているのはモリとの逢瀬であり、愛娘のセーラが蚊帳の外に追いやられてしまっていると翔子は察する。自身も娘の玲子よりも、モリに早く会いたいと思っていた輩だったと思い出したからだ。 

「あの・・、ショウコさんはお嬢さん、もしくはお母様と閨を共にしたことがありますか?」
”親子丼”への懸念が有るのか、マーサが顔を赤らめながら言うので落ち着かせる為に翔子が言う。
「先生はそういう比較行為をしない人だよ。私は里子の次女の樹里と従妹の由真、そして里子、幸乃のママ友との組合せしか知らないの。
樹里は、性に奥手だった私の指導教官みたいな位置付けだったし、由真はビルマのクーデター阻止時に一緒に居たから、流れでそうなっただけだし・・それじゃあさ、試しに今夜はマーサとドナと私で組んで見よっか?」  
翔子が笑いながら言うとマーサとドナが嬉しそうに頷く。

「ちょっと待ってよ。その場に私は加われないの?」
人の話を盗み聞きしていた瑠衣が割り込んでくる。マーサとドナが困った顔をする。2人が仕えている主と閨を共にするなど、聞いたことが無いのだろうと翔子は察した。

「瑠衣先生はまだ不馴れなサラとセーラをご指導頂けないでしょうか?」
翔子に言われて、当面はそちら側に付いて、徐々に始めたほうが良いだろうと瑠依も判断する。
モリが他の女性を抱いている場を初めて見る事になるのだが、いきなり翔子とのプレイを見てしまうと自己嫌悪に苛まれるかもしれないと咄嗟に判断した。

その時、部屋をノックして社会党の職員が一礼して部屋へ入ってきた。モリたちが到着した知らせか?と思ったら違った。

「報告です。海外メディアが一斉にタリバンのパキスタン内への撤退と、内戦の終結を報じ始めました。まだ取引時間内のシンガポール市場では、プルシアンブルー社の株価が急騰しています。党が定めた同社株売却の水準点を軽く超える伸びとなっています」

「34%を超えたのでしょうか?」翔子が問い返すと職員が頷く。
「はい、過去最高の上昇値で61%です。NY市場ではおそらく更に上回ります」    

「米軍が失敗した上での勝利だもの、当然かもしれないわね」
瑠依がしたり顔で言うと職員と翔子が微笑んだ。そう、ビルマの影の支配者は、また大事業を成し遂げたのだ。

(つづく)


いいなと思ったら応援しよう!