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大好きなスノーピークが気づかせてくれた、世界基準のブランドの作り方。

こんばんは。株式会社PETOKOTOの創業者兼代表取締役CEOの大久保泰介です。

取材で「好きな企業やブランドはどこですか」と聞かれることが増えてきました。

その時に真っ先に頭に浮かぶ企業が「スノーピーク」です。

キャンプ好きということもあり、いちユーザーとしてもスノーピーカーなのですが、経営哲学や戦略が理想型であり、PETOKOTOが目指す方向に非常に近く、いつも参考にしています。

そんな大好きなスノーピークの本社にお邪魔する機会をいただいたので、感謝の気持ちを込めて、帰りの道中にカツ丼を食べながら綴ります。

この記事について
参考になりそうな人:toCサービス、モノ/コトづくりが大好きな人
書いてあること:スノーピークの経営哲学や戦略と感想。5000文字くらい。

1.スノーピークについて

https://ec.snowpeak.co.jp/snowpeak/ja

スノーピークと聞くと、キャンプグッズを扱う企業というイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。しかし、単なるメーカーではありません。

ビジネスレポート2021より
ビジネスレポート2021より

スノーピークは、「The Snow Peak Way」としてミッションステートメントに表現されている通り、「人間性の回復と自然指向のライフバリューの提供」を目指す企業体です。文明の進化が著しい現代社会では、 ストレス増大など人間性の低下が危惧され、 人間性を回復させたい欲求が高まり続けるため、その欲求を満たすモノゴトをソリューションとして提供しています。

ビジネスレポート2021より

事業領域は、「衣食住働遊」を軸に展開し、大きく7つの事業ドメインで構成されています。

・アウトドア事業
・キャンプフィールド事業
・地方創生コンサルティング事業
・アパレル事業
・Snow Peak Eat事業
・ビジネスソリューションズ事業
・アーバンアウトドア事業

ビジネスレポート2021より
ビジネスレポート2021より

PL/BSを見ていくと、2021年度の売上高は257億円(前月比+53.4%)、営業利益38億円(+155.8%)と16期連続で増収を達成しています。

ビジネスレポート2021より
ビジネスレポート2021より

特徴として、広告宣伝費率の低さがあります。FY21累計の広告宣伝費は、4.3億円で売上高に占める広告宣伝費率は1.6%と、広告宣伝がほぼゼロでも16期連続で増収できているのです。一方で販売促進費には4.6億円と投資しています。この点がスノーピークの強さであり、後ほど触れたいと思います。

ビジネスレポート2021より

事業ドメイン別の売上概況を見ると、アウトドアが売上の大半を占めていることが分かります。しかし、その他の事業も着実に成長し、アパレル事業が第二の柱になっています。

ビジネスレポート2021より

直近では海外展開も加速しており、2021年の海外売上は全体の23.9%にあたる61.5億円まで拡大しています。

ビジネスレポート2021より
ビジネスレポート2021より
ビジネスレポート2021より

中長期経営計画では、顧客生涯価値として、誕生してからシニアまでの全てのライフポイントに寄り添うことを目指していることが分かります。海外展開もさらに加速し、2024年には現在のほぼ倍にあたる40%まで海外売上比率を拡大しようとしています。その中で最も興味を持ったスライドが体験消費の深化です。プロダクトオンリーではなく、モノ+コトへのサービス体験のシフトを進めています。

この強さの秘訣を、本社に行ってひしひしと感じたので紹介したいと思います。

2. 世界基準のブランドは、モノもコトも圧倒的に突き抜ける必要がある

ビジネスレポート2021より

スノーピークは、1958年に初代社長である山井幸雄さんが金物問屋として創業した新潟県燕三条発のアウトドアブランドです。当時は、山井幸雄商店という名前でした。

創業当時の看板(ミュージアムより)

登山を趣味とする山井幸雄さんは、当時の登山用品に不満を持ち、オリジナル登山用品を開発します。燕三条は鋳物で有名な街で、品質に優れたギアを開発します。

創業当時のプロダクト(ミュージアムより)
当時スノーピークは企業名ではなくブランド名だった(ミュージアムより)

創業当時から今まで、変わらない信念は「自らがユーザーであるという考えで、自分たちが欲しいものを作ろう」ということ。そしてお客さまをキャンプ仲間として接することを大切にされています。

寄贈された廃盤のローチェア(ミュージアムより)

本ミュージアムで最も驚いたことは、展示されている昔のプロダクトたちがユーザーからの寄贈であるということでした。お客さまとモノやコトを通じた信頼関係があるからこそできることだと、ブランドの歴史と偉大さを感じました。

ペグができるまで(ミュージアムより)

こちらの画像はペグの製造過程です。優れた製造技術で作られたペグは、一生使えるほど頑丈で物持ちが良いです。他社製品と比べると高いですが、それでもスノーピーカーはこの製品を愛用します。

製品化に至るまでにはとても厳しい審査があり、売れると分かっていても、スノーピークがこの製品を作る必要があるかが見出せない限りは製品化しないそうです。また、オフィス併設のキャンプ場を利用して、台風の日に新製品の耐久テストをしたり、徹底したユーザー目線でのプロダクト開発が浸透しています。

ミュージアムでの説明を通しプロダクトに対する情熱を感じ、WHYとWHAT=モノとコトの圧倒的な両立が大事だと改めて学ばさせていただきました。D2Cは世界観が重要と色々な記事で書かれてきましたが、やはりコトだけではなくモノも圧倒的に突き抜けたプロダクトが市場に受け入れられ、生き残るのだと感じました。

ミュージアム全体(ミュージアムより)

3. 世界基準のブランドは、モノとコトの前にヒトがいる

出典:スノーピークコーポレートサイト

スノーピークの本社は、創業した場所である新潟県燕三条にあります。キャンプ場が併設された広大な緑の中に、オフィスはありました。

ガラス張りのオフィス
広大なキャンプ場

この日は快晴に恵まれ、キャンプをするユーザーの方々もいらっしゃいました。

キャンプ場側のオフィスの壁は一面ガラス張りにされています。これは、ユーザーであるお客さまと透明性を持って対話したいからだそうです。

これにより、どんなに仕事が大変でも、ユーザーがスノーピークのプロダクトを使って楽しそうにキャンプをしている顔を見れば、一気にやる気になると仰っていました。

それだけスタッフとユーザーの距離が近いため、オフィスにいるとキャンプ中のコアユーザーの方から呼ばれ、コーヒーを共に飲み、そのままキャンプ泊をすることもあるそうです。

プロダクトに囲まれたオフィス環境

こちらはオフィスの執務室の様子です。プロダクト製品に囲まれた環境です。

会議室に掲げられたThe Snow Peak Way
会議室に掲げられた行動指針・価値観

そして、会議室にはミッションステートメントであるThe Snow Peak Wayや行動指針が掲げられ、いつでも社員が思い出し、再確認できる設計になっていました。

ブランドを作るのはヒトだからこそ、ブランドの価値観とそこで働くヒトの価値観が揃っていることが重要であることを改めて感じました。PETOKOTOは現在シェアオフィスに移転しましたが、今後オフィスを作る際に参考にしたいと思います。

また、当たり前のようで当たり前でないことが強く印象に残りました。

それは、僕たちが通るたびに、すべてのスタッフのみなさんが仕事中でも立って体を向け、顔を見て挨拶いただいたことです。

ユーザーファーストだからこそ、どんなスノーピークに関わる方でも最優先で接する姿勢に感銘を受けました。

ちょうどキャンプ場では、新卒社員のみなさんがテントやタープを組み立てていて、研修をされていました。小売の方々も同様の研修をされるそうです。

このように、プロダクトが生み出すモノ、サービスが生み出すコトだけでなく、生み出し伝えるヒトが素晴らしいからこそ、これだけのグローバルブランドを作れているのだと実感しました。

中長期計画の経営方針・主要戦略を見ても、人材基盤の強化がボトムであり、大きく投資をされていることに表れています。

ビジネスレポート2021より

4.スノーピークとPETOKOTOの未来の接点

ビジネスレポート2021より

スノーピークは、自然指向のライフバリューをすべてのライフステージに向けて拡大を進めています。その一つが2022年4月15日に開業する「Snow Peak FIELD SUITE SPA HEADQUARTERS」です。

建築家である隈 研吾さん建築設計の施設では、衣食住働遊が体現されています。施設内の温浴エリアでは、日本三百名山の一つである粟ヶ岳の絶景が楽しめる開放的な露天風呂と内風呂があります。

露天風呂から見える山は絶景
佐藤と執行役員の吉野さん

サウナエリアは黒を基調としたシックな空間で、一面ガラス張りのパノラマビュー。360度型のサウナヒーターで、サウナを楽しみながら、焚き火を囲むような時間を味わうことができます。

サウナでガラス張りは最高の解放感
室内からの眺めは非日常

宿泊エリアには、新潟の大自然を五感で感じ、新潟の四季折々の風景に溶け込むできる宿泊施設として、「ヴィラ棟」と「住箱-JYUBAKO-」を併設。 ヴィラ棟は合計3棟があり、全棟一面ガラス張りで、非日常の空間を味わうことができました。

見たことのないくらい美しいフローリング

今回、現社長の山井梨沙社長とお話する機会をいただき、PETOKOTOの想いや未来図をお話させていただきました。同い年でもあり、上場企業のトップを率いる姿に心から尊敬します。

出会いに感謝。

PETOKOTOは「ペットを家族として愛せる世界へ」をミッションに掲げ、ペットライフが家族のように濃い時間を過ごせるような体験価値を提供するとともに、ペットという存在を家族として尊重し許容できる社会をつくるため活動しています。

PETOKOTO MISSION
PETOKOTOの事業軸「クオリティ・オブ・ペットライフ」

事業軸は「クオリティ・オブ・ペットライフ」で、ペットライフのQOLを向上するため、ペットウェルネス領域で展開しています。現在は、出逢いのOMUSUBI、情報のMEDIA、食事のFOODSを運営しています。

PETOKOTOの現在

スノーピークが誕生からシニアまで全てのライフステージの体験価値を向上するように、PETOKOTOは生まれてから最期までのすべてのペットと暮らす体験価値の向上を目指しています。

PETOKOTOの未来

また、それぞれのサービスを独立するのではなく、それぞれの点を強化し、きちんと木を作りながら、線で結び、森にすることが未来図です。

PETOKOTOがつくるコアバリュー

その未来図のコアになる価値が、さまざまな蓄積されたデータを生かし、ペットライフ1つ1つに最適な暮らしを提案するコンシェルジュのようなデータプラットフォームです。

このプラットフォームを通し、ミッション実現に向け自社だけではできない体験は、さまざまな事業会社とタッグを組んで実現していきます。

今回、オフィス見学の機会をいただき、もう一つ、視座が高くなりました。

また明日から「ペットを家族として愛せる世界」をつくるために、努力を重ねていきたいと思います。

本当にありがとうございました。

5.一緒に未来を作りましょう。

PETOKOTOは、メンバー全員が犬猫の飼育経験者であり、獣医師からIT企業出身者まで幅広いバックグラウンドが集まる、愛に溢れた組織です。

PETOKOTOはOMUSUBIで命と出逢い、PETOKOTO FOODSで最後の一食まで寄り添います。まさに一生に寄り添います。だからこそ、喜びや悲しみなどの声をお客様からいただき、自然と涙が流れるシーンが多々あります。

僕はスポーツが大好きで、スポーツを通して人の行動で感動し涙を流すように、僕たちの仕事ではそういったことが多々起きます。
こんなにも愛で溢れ、涙を流せる仕事はなかなかないのではと思います。

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・コロナでの変化をきっかけに犬や猫を迎えた譲渡者の話(紹介も可能)
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・コロナで犬と出かける回数が減り、肥満になりやすい犬が多い現状を解決する獣医師やトレーナーなど専門家の話(紹介も可能)
・コロナで料理需要が増え、人間同様の食事を犬や猫にあげたい飼い主の話(紹介も可能)
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大久保泰介|ペットウェルネスカンパニー PETOKOTO代表
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