海洋堂から学んだ、障がい者支援の視点
こんにちは!
当店は障がいのある方が織った反物を使って作品に仕立てています。
その他にも、糸作りや、製品のタグだったり、取り扱い説明書や、アクセサリーの台紙など、小さな作業もお手伝いして貰っているんですよ~
・・・・と言うと、
「その作業を出来る人が、なかなかいないんだよね~」
「出来る人がいていいね~」
「それ、誰が出来るの?」
「うちじゃ出来ないわ~」
これは、働きはじめた方や、支援の現場でよく聞く言葉。
私は、あまりそこで悩むことがありません。
通っている方が作業出来る人ばかり、という訳でもありません。
そこには、海洋堂が教えてくれた、あるひとつの考え方があるんです。
海洋堂って?
海洋堂を知っていますか?
水族館などでとってもリアルな海洋生物のガチャガチャ、見たことないでしょうか?
ああいう飾る樹脂製の人形などのことをフィギュアというのですが、
形も彩色もとっても高いクォリティを保ったまま量産を可能にした先駆者が海洋堂です。
すっごくリアルで、形の美しさもさることながら、色も凄く細かく塗り分けられているんですよね。
昔はこういう精巧なフィギュアは全て職人さんの手仕事によるもので、生産数は少なくとても高価なものでした。
それを安価で大量生産を可能にしたのは、海洋堂の社長さんの発想の転換があります。
なるほど!そうか!の発想の転換
「1人で職人になるのは難しいけれど、だったら100人で職人になればいい」
1人の高い技術を持った職人の技を全て同じように出来るようになるのは、とても大変。経験も才能もいることです。
でも、職人の作業を細かく分けて、一か所だけだったら何回もやれば職人と同じように出来るようになる。そうして沢山の人で塗っていったら再現はできるんじゃないか。
海洋堂の工場では、土台だけ塗る人、模様の点だけ塗る人、黒目だけ塗る人など、作業工程がとても細かく分けられています。
筆ではなく注射器を使うことで塗料の出方を一定にしたり、型を使ったり、道具にも工夫をしています。
フィギュア全てを美しく塗るのは才能も経験も必要ですが、たった1つの作業だったら、出来るようになると思いませんか?
私はそれと同じように見れば、障がいのある方のみならず、苦手な作業がある人でも、もっともっと多くの人が活躍できる場所が出来るんじゃないか?と考えます。
一人で出来なくてもいい!
当店や当施設でも、例えば端切れの糸を結ぶのにも、糸を結べる人に結んでもらい、糸を巻き取れる人に巻いてもらう、糸の色を組み合わせるのが得意な人には色を組み合わせることだけを頼んだり、作業を細かく分けています。
道具も考えます。封筒の同じ個所にハンコを押してもらいたい場合、押してもらいたい場所だけくり抜いた封筒と同じサイズの厚紙を作り、封筒の上にのせて穴の開いたところにハンコを押してもらえば、だいたい同じところに押してもらえます。
他にも、台紙に穴あけをしてもらいたい場合、穴位置を合わせる人と、穴あけパンチを押す人を別にしたりします。
一人で全部出来なくてもいい、と考えると、肩の力が抜けて、何かするのがとっても楽しくならないですか?
そして、たった少しのお手伝いでも「誰かの役に立った」「出来た」という経験は、必ず皆の宝物になっていく筈です。
私たちはつい出来ないことに注目してしまいます。
特に同僚にはそう考えがちですね。私と同じように出来て当たり前だと。
無意識に「全部出来る」ということを前提にしてしまっているんですね。
自分が職人のように、何もかも全部出来るわけがないように、
誰にだって出来ることと、出来ないことがあるんです。
だったら、出来ないところよりも、どうしたら皆で職人になれるか考えていきませんか?
それがきっと、多様性のある楽しい社会のヒントにもなるはずです!
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