社会の嘘つき。【エッセイ】
中学3年生のとき、僕は社会と約束した。大人になったら僕は働く。その代わりに、社会は僕に自由をくれると。
社会は僕を裏切ったんだ。自由なんてものは偽物だし、大人たちは楽しそうに見えて、本当は欲しくもない商品を買って見栄を張っているだけじゃないか。僕は知らなかった。こんなにも働くことが辛いなんて。
大体おかしいじゃないか。1日8時間も働かなきゃいけないなんて。フリーターになればいいじゃないかって? そんなことは僕も考えたさ。でも、同じだけ稼ごうと思ったら正社員よりも労働時間が長いんじゃ割に合わないだろ?
僕は別に、高級車が欲しいわけでもなければ、ブランド品もいらない。ただ、寝て起きて、本が読めればそれでいいんだよ。こんな生活をするのすら辛いだなんて、言ってなかったじゃないか。
あのころ僕がちょうど習っていた、エネルギー保存の法則は正しかったんだって、今になって思うよ。だってそうだろ? 寿命が延びて、表面上は便利にもなった。だけど、僕たちは幸せになっていない。人間の幸せの総量は決まっている。きっとそうだ。
おい、社会。責任取れよ。代理人は誰なんだ。誰に文句を言えばいい。総理大臣か。大企業の社長か。そうか、やっと分かった。そんな奴はいないんだ。
僕らみんなが社会なんだ。僕らみんなが嘘つきなんだ。