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日記のようなもの。

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みじかくて、かんたんな、ちいさな言葉。
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2024年10月の記事一覧

積読について語るときに僕の語ること。

 僕の本棚は、九割以上が積読で埋め尽くされている。その理由は、僕の読書方法にある。  まず、僕はとにかく量を読む。だいたい月に少なくとも30冊くらい。多いときは100冊とか。もちろん、全てに目を通しているわけじゃない。小説は全部読むけど。  ざっと目を通して面白そうだと思った本は、一次審査を突破する。これはかなり狭き門だ。だいたい十冊に一冊くらい。これでも精度が高くなった方で、数年前までは二十冊に一冊あれば良い方だった。審査で落とされた本たちは、売りに出されることになる。

役に立たない僕は不要ですか?【エッセイ】

 社会に出たら役に立つ人間になりましょうね。僕らは、小さい頃から先生にこんなことを言われて育ってきた。実際には言われてないのかもしれないけれど、世の中からそんなメッセージを受け取ったのは確かだ。  役に立ったらその分、お金がもらえるんだよ。僕らは、母からそう教えられて育ってきた。実際に言葉で教わったわけではないのかもしれないけれど、そんな風に教育するのが正しいという空気が漂っていたのは確かだ。  役に立つってなんだろう。働くってことなのかもしれない。僕はもうすぐ働く。会社

社会の嘘つき。【エッセイ】

 中学3年生のとき、僕は社会と約束した。大人になったら僕は働く。その代わりに、社会は僕に自由をくれると。  社会は僕を裏切ったんだ。自由なんてものは偽物だし、大人たちは楽しそうに見えて、本当は欲しくもない商品を買って見栄を張っているだけじゃないか。僕は知らなかった。こんなにも働くことが辛いなんて。  大体おかしいじゃないか。1日8時間も働かなきゃいけないなんて。フリーターになればいいじゃないかって? そんなことは僕も考えたさ。でも、同じだけ稼ごうと思ったら正社員よりも労働

愛してるなんて、言わないで。【エッセイ】

 愛してる。なんとなく観ていた音楽番組は、そんな曲ばかり流していた。その後に始まった番組は、若者に人気らしいインフルエンサーを映している。「長続きの秘訣は、やっぱり言葉で愛情表現することですね。私たちですか? 私たちは——」  隣にいる彼女が、真剣な眼差しでテレビを見つめている。そういえば、以前このインフルエンサーの動画を見せてくれたことがあった。たぶんファンなのだろう。  僕は飲み物を取りに、冷蔵庫の方に向かった。テレビの内容を思い出してみる。考えてみると、彼女から「愛

死ぬのがダメだと言うのなら。【エッセイ】

「死にたい」僕がそう言うと、今まで笑ってテーブルを囲んでいた友達が、急に真剣な眼差しで「死ぬなんて言うなよ」と止めてくる。 「死にたい」僕がそう思うと、気を利かせたブラウザが、広告や動画で一生懸命に「死ぬなんていけません」と止めてくる。 「死にたい」僕がそう聞くと、いつもはあまり人に興味のない僕が、相手のことが心配になって「死ぬのはやめといた方が」と止めている。  死ぬことってそんなに悪いことなのだろうか。「生物学的に……」とかっていう説明は聞き飽きた。そんなことは分か

【エッセイ】「コク」ってなに?

 友達とカレーを食べに行った。友達は言う。「コクがあっておいしいね」どこで習ったわけでもないのに、世界はコクという言葉であふれている。それは言い過ぎかもしれないけれど、少なくとも食リポの世界ではそうだろう。コクってなんだろう。  ぼくはコクがあると感じたことは今までない。でも周りの人はコクを知っている。それはぼくだけが「まだ」なのか、ぼくはもうコクを体験してる(コクってる)のか。  悩んでいても仕方がない。調べてみた。  うーん。わからない。余計にわからなくなってしまった