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役に立たない僕は不要ですか?【エッセイ】

 社会に出たら役に立つ人間になりましょうね。僕らは、小さい頃から先生にこんなことを言われて育ってきた。実際には言われてないのかもしれないけれど、世の中からそんなメッセージを受け取ったのは確かだ。

 役に立ったらその分、お金がもらえるんだよ。僕らは、母からそう教えられて育ってきた。実際に言葉で教わったわけではないのかもしれないけれど、そんな風に教育するのが正しいという空気が漂っていたのは確かだ。

 役に立つってなんだろう。働くってことなのかもしれない。僕はもうすぐ働く。会社のために自分を偽って、人間をお金に変える。それは役に立っていると言えるのか。

 昔は、働くことが役に立っていたと思う。車を持っていない人に、安く手に入れてもらおうと努力するとか。今もそうなら、僕は喜んで働こう。

 しかし、今は違う。みんなに車が行き渡り、不便だという人はほとんどいない。それにもかかわらず、新型のSUVを発表し続ける。これのどこが役に立っていると言えるのだろうか。

 じゃあいっそのこと、会社のためではなく、社会のために働くとするとどうだろう。現代ではボランティアとか社会貢献とか言われるようだ。世の中はこれらを仕事と認めない。認めないというのは言い過ぎかもしれないが、少なくとも社会的地位は低い。

 僕らはどうやって生きていけば。ずっと悩んで、答えは出ない。

 魂を売って、会社のために働くか。自分を売って、社会のために働くか。一体どうしたら。教えてほしい。

 僕が小学生のころ、先生は言った。分からないことは何でも聞いてねって。

 先生、僕はどう生きていけばいいですか?

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