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歴史ある佐賀の町で現代美術と鍋島家のお宝を楽しんだ話 ①ー 特別展「ジパング」と「さがヲほる」@佐賀県佐賀市

先日のことですが、国民スポーツ大会(2024/10/5~6)の時期は混雑することを見越して、その数日前に佐賀市内に潜入し、念願の特別展「ジパング」、発掘成果速報展「さがヲほる」と「徴古館通常展示」を観てきました。以下、2回に分けてレポートします。

Ⅰ 特別展「ジパングー平成を駆け抜けた現代アーティストたち」 @佐賀県立美術館

現代アートです。以前は”見てもよくわからない”と敬遠気味だった現代アートですが、美術館に行く機会が増えたことで「わからなくても何かを感じてみよう!」と思うようになりました。古典絵画を観ても印象派を観ても、どのみち私は素人。専門的な感想を述べることはできないのは、現代美術を観ても同じですからね。

以前つぶやき投稿にもあげたように、本展は草間彌生、奈良美智、村上隆など、九州の田舎ではあまりお目にかかれない有名な現代アート作品が来ているので、やっぱり見たいという、ややミーハーチックな気持ちもありました。


看板の絵は村上隆の「黄色い麦藁帽子の女の子」。普通に可愛い絵。


会場内は写真撮影可、ブログアップ可、当日再入場可の太っ腹!
以下、印象に残った作品をいくつかあげます。

①石田徹也「ひまわり」「Untitled」

ひまわり
Untitled

ネットで知り、いつか見たいと思っていた作家。2005年に31才で早逝。
私がネットで初めて見た作品は「飛べなくなった人」だったかな。一度見たら忘れられないような強いインパクトを残す作品ですが、展示されていた2点は予想以上に小さかったです。この方の作品は虚無的な男性の顔がちょっと不気味だったり悲しかったりで、あまり大量に見ると私は辛くなるかもしれない・・2点くらいがちょうどよかったのかも。
「ひまわり」は日本の美術館での初展示だそうです。


*石田徹也については公式サイトがあったので貼っておきます。


②山口晃「馬からやヲ射る」

馬からやヲ射る


2020東京パラリンピックアートポスターの原画。実は知らなかったのです、これがポスターだったことを。当時は私、ブラック企業でパートしていて疲弊し、アートへの関心も薄れていた時期でして・・。
中央の、矢を射る女性の表情が良いなぁ。
このポスターを作るまでの顛末を山口晃氏自身が独特のタッチで描いている「当世壁の落書き 五輪パラ輪」も展示されており、大変興味深く思いまし
た。

当世壁の落書き 五輪パラ輪


③森淳一「Untitled」

Untitled


この造型で、長崎出身の私は一目で何かわかってしまいました・・マリア像ですね。作者は1965年長崎生まれ。この作品は長崎・浦上天主堂被爆マリア像がモデルだそうで、素材は、島原の海に生息する石灰藻、リソサムニウムだそうです。
島原・天草一揆で南島原のキリシタンが全滅した原城跡沖に現れるリソサムニウムで作られたマリア像。象徴的であります。


*リソサムニウムについては、島原半島情報WEBサイトに詳細が出ていたので、リンクを貼ります。見学ツアーなども行われているようです。


④会田誠「灰色の山」

灰色の山

山に見えるのは折り重なった人なんです。スーツを着たサラリーマン。折り重なった人人人・・とても怖い作品。2019年に長崎で観たクリスチャン・ボルタンスキー展「Lifetime」で黒い洋服を山のように積み上げた「ぼた山」という作品があって、凄く怖かったのを思い出しました。長崎生まれである私は、このような作品を見ると”死体を山のように積み上げて荼毘にふした”という原爆被爆者の体験記が思い浮かんで、とても怖くなります。

⑤塩田千春「State of Being (Dress)」

State of Being (Dress)


有名な現代アーティストですが、作品は初めて目にしたかも。
張り巡らされた細い糸の奥に白いドレス。「蜘蛛の巣に捕らわれ身体が無くなったお姫様」というイメージが浮かびました。怖いといえば怖いのですが、背景の壁の赤色とのコントラストが見事で美しい。展示も魅せる作品ですね。



この塩田千春の作品のある部屋には村上隆、草間彌生、奈良美智など人気アーティストの作品が並んでいたので、部屋全体の写真を載せます。

左から、村上隆「黄色い麦藁帽子の女の子」、草間彌生「太陽は旅に出たい」「PUMPKIN」、
奈良美智「Through the Break in the Rain」。




おっと、忘れちゃいけない、team Lab「世界は、統合されつつ、分割もされ、繰り返しつつ、いつも違う」。伊藤若冲の「鳥獣花木図屏風」「樹花鳥獣図屏風」をモチーフとした作品。若冲の「鳥獣花木図屏風」は今出光美術館に出ているので、今度観に行く予定です。

世界は、統合されつつ、分割もされ、繰り返しつつ、いつも違う


展示のラストを飾るのは、佐賀県多久市の出身の池田学の作品「誕生」。
これは凄い。凄い迫力!でした。

誕生


以上、素人のおばさんが語る特別展「ジパング」ですが、44点という比較的少ない展示数なので展示空間も余裕があり、一つ一つをじっくり見ることで何かを感じることができれば上等!と(個人的に)思いました。感性の豊かな、若い方に是非見ていただきたい展示です。



Ⅱ さがヲほる @佐賀県立博物館

続いて、美術館に隣接している佐賀県立博物館の佐賀県発掘成果速報展「さがヲほる」へ。
こちらには今回、龍造寺隆信の隠居城であった須古城跡の発掘で出土した瓦が展示されていると聞き寄ってみました。観覧無料の太っ腹!
(佐賀県立博物館の通常展示はたいてい無料です。アリガタヤ・・)



須古城跡から出土した軒平瓦(左)と勝尾城筑紫氏遺跡遺跡から出土した軒平瓦(右)。
模様、型が同じ(同范)の瓦が並んで展示されていて感激!


「同范」の説明。


6月に「龍造寺隆信を再検討する」バスツアーで白石町で見せていただいた軒平瓦。勝尾城との関連もあり、今後の調査研究が楽しみですね。


*「龍造寺隆信を再検討する」バスツアーの須古城跡関連の記事はこちら。


徴古館の記事は②へ続けたいと思います。


*特別展「ジパング」についてはこちら。10/20㈰まで。


*発掘成果速報展「さがヲほる」についてはこちら。10/14(月祝)まで。
6日に開催された「一番通るはずない企画」埴輪チェキ会に実は行きたかった・・。




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