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長崎奉行、松平図書頭(ずしょのかみ)墓地訪問 @長崎市鍛冶屋町(2022年1月20日)
NHK「歴史探偵」の下の回を見た翌日、そういえばお参りしたことがなかったと思い立ち、長崎市内の大音寺にある長崎奉行、松平図書頭(ずしょのかみ)康英のお墓に行ってみました。
1808年のフェートン号事件で犠牲となった長崎奉行のお墓です。
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長崎市中心部の寺町にある大音寺の一角、図書頭だけの墓所に立派な五輪塔が立っていました。(お寺は違いますが、我が家のお墓も寺町にあり近くです…)
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1808年8月15日、イギリス軍艦フェートン号がオランダ国旗を掲げオランダ船と偽り長崎港に侵入。商館員2名を人質にとり、薪水と食料を要求。その時、長崎警備当番であった佐賀藩は経費削減のため兵員の数を減らしており、他藩の対応も遅く、強硬策がとり得ずやむなく要求をのむことに。
イギリス船は人質を解放し、翌々日17日には引き上げたものの、長崎奉行であった松平図書頭康英は責任をとって切腹。(享年41歳)
佐賀藩主、鍋島斉直も100日の閉門となり、佐賀藩家老等数名も責任をとって切腹しました。
鎖国政策の下、当時は異国船を打ち払うことが必定だったとはいえ、その責を負い切腹とは苛烈な武士の世界を垣間見る思いです。
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フェートン号は、要求を呑まなければ長崎の町を焼き討ちすると脅迫したため、図書頭自身は初めは強硬策を取る姿勢を示していたのを、オランダ商館長のヘンドリック・ドゥーフが説得し、要求を受け入れることとなったそうです。
この図書頭の遺徳をしのび、長崎の町人たちは諏訪神社の境内に康平社を建てて祭ったとのことです。(現在は祖霊社というそうです。画像なし。)
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泰平の世に起きたこの事件の衝撃は大きく、その後幕府は海防に力をいれることになります。
また、この事件の屈辱により佐賀藩は、次代の鍋島直正の下で近代化に力を入れることになります。
(幕末の佐賀藩のハイテクぶりは素晴らしいので、おいおい取り上げていきたいと思います。個人的には、長崎に近いという地の利を最も活用した人物は幕末の直正公だと考えています・・)
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(追記)
Wikipediaを見たら、松平図書頭康英の墓所は東京の天徳寺となっており、幕府への公式な届け出は「病死」と扱われているそうです。
また、下の外山幹夫先生の著書には図書頭の遺書の大要が記されています。ご興味ある方は是非ご一読下さい。
*この記事は2022年1月20日のFacebookへの投稿を加筆・修正したものです。
*カバー写真とタイトルを変更しました。(2024年11月27日追記)
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