【読書記録#14】新インナーゲーム‐心で勝つ!集中の科学‐
僕たちが試合で勝負する相手は通常
僕たちと違うユニフォームを着ていて、
僕たちのプレーに対して抵抗してくる人です。
でもそんな相手以上に試合中に厄介な者がいます。
自分です。
僕たちの中には、
自分(セルフ1:命令者たる者)と 自身(セルフ2:実行者たる者)が
存在します。
このセルフ1が厄介なんです。
「おい!しっかりしろ!」
「なんでうまくいってないんだ!」
「ほらみろ、また失敗した!」
「ここしっかり決めろよ!まあ外しそうだけどなお前は」
なんて言葉が試合中にセルフ1から飛び交います。
やかましい上司に似ている特徴があるのがセルフ1です。
試合で最大限の力が発揮できる時、このセルフ1は何も叫びません。
そして、セルフ1とセルフ2は互いを信頼し合っています。
僕がプレーヤーの時は良く活躍していたのはこのセルフ1だったことを思い出しながら読んでいました。(笑)
セルフ2を信じ切れてなかったなと…。
ではどうすればいいかと言うことも添えて以下まとめようと思います。
※本書はメンタルコーチングに近い内容になっていて選手が読むと技術習得が書かれた本より効果があるように思います。ですが指導者やご家庭にプレーヤーがいる保護者の方が読まれても育成の時に大切になるヒントが掴める一冊です。
インナーゲームとは
インナーゲームは、プレーヤーの内側のスポーツ。
集中力の突然の途切れや、緊張、自信喪失、自己批難といった、内なる障害を克服するゲームのこと。
そう踏まえた上で、インナーゲームを実践して感じることができると、
外側の技術よりも、リラックスした集中状態の大切さを知るようになる。自信の本当の基盤がどこにあるかを発見する。勝つためのキーが「力まないこと」だと知るだけでなく、それを身体で理解するようになる。勝つぞというギラギラした欲望に燃え上がるのではなく、自分の心が静かに肉体と調和する状態に置こうとする。
個人的に大切なのは、心と肉体の調和だと思いました。
抽象的なので「???」となりますが、
要するに序盤に書いたセルフ1とセルフ2が信頼し合っている状態です。
ではどうすれば自分自身を信頼し合えるかという内容がテニスを事例に書いてあります。
セルフ1とセルフ2の関係性
本来、
子どもが自然と自転車に乗れるように、言語を自然と習得できるように
セルフ2には自然習得の力があり、能力を秘めているものなんです。
花の種と同じで、種から芽がでて葉が成り花が咲くように、セルフ2はパワーを持っています。
だけどセルフ2を信じ切れていないと、セルフ1は妨害してしまいます。
セルフ1は評論家でもあるため考えすぎたり、判断しすぎたりするからです。
だからまずは、
◆セルフ1の口数を静かにさせる
これが重要だそうです。そのためには、
①裁判癖を失くす
プレーに対する良し悪しをつけない。良し悪しをつけるから感覚が鈍る。
②現実を感じとる
あるがままの自分を観察する。自分のプレーそのものを知る。
の2つが肝心です。難しそうですが、本書には詳しく記載されてます。
次に
◆セルフ2を信頼する
ことがあげられます。キーワードは「Let it happen」。
見守りながら、任せてあげることです。方法は、
①セルフ2には記憶バンクがあると知る
すべて動作は自転車と同じように記憶されます。
②「やってくれないか」と頼む
命令はしない。上からではなく対等なコミュニケーションで。
③結果を依頼する
プロセスは身体の記憶が知っている。結果を鮮明なイメージで依頼する。
④役になりきる
プロの試合を観ただけで翌日うまくプレーできることがある。
こうしてセルフ1とセルフ2の関係性をより良くして、内なる障害を未然に防ぐことが可能になります。
簡単に言うと、ー判断しない、イメージを与える、自然に発生させるーこれがインナーゲームの3原則でした。
プレーヤーに関わる大人ができること
本書でカバの事例が書かれていました。
これが大人の関わり方の本質だろうと思います。以下要約。
生まれて初めて泳ぐことを教える場面。カバの呼吸運動は水中に入って20秒、地面を後ろ足で押して浮かびあがってきます。それを母親が先にお手本で示します。その後、子どもを鼻先で水中へ押しやります。そのまま沈み、浮いてきませんが、ゆっくり見守ります。それから落ち着いた様子で、母親も水中に入り、浅瀬の方から鼻先で子どもを押し上げ、浮かして、水面に出しました。その間ちょうど20秒。
子どもは大きく息をしてまた沈んでしまったが、また約20秒くらいのところで鼻先で子どもを浮かせて上げます。でももうそれのみで子どもを構わなくなりました。すると子どもはまた沈んでしまいましたが、今度は自力で地面を蹴って再び浮上してきました…
母親カバは、泳ぎ方を教えるためには、どこまで面倒を見て、どこまで以上は不要かを、正確にわきまえているように見えた。
動物には自然習得の本能があると分かる事例です。
たくさん技術指導のことが言われますが、実はそうすることで本来持っている感覚を妨げてしまう原因にもなります。
古来「経験に勝る師はいない」と言われるように、
教えすぎないことが大切です。
けれども技術指導は決してだめだというものでは勿論なくて、
「近似的な」ヒントを与えることが重要です。
※近似的にとは、「おおよそこういうものだ」と伝える意味です。
まとめ
本書にはスポーツをプレーすることに関わらず、何か対して力を発揮したい時に大切な本質がたくさん書いてありました。
原則的な部分、どの点においても重要な部分を上記でまとめましたが
本書の核心を迫るところは実は他にもありました。
※試合での「競争(アウター・ゲーム)」をどう意味づけるのか
※インナーに目を向ける効果的なアプローチ など
プレーヤーと関わる自分にとっても、
関わり方の引き出しが広がり、また、自然的な成長を促すヒントを多く得ることができました。
またどんな形かで詳しくお伝えできたらと思います。
では