noteの記事タイトルの付け方について、コピーライターが真面目に考えたら、13の技にたどり着いた。
記事タイトル。
そいつは、今日もどこかで誰かを悩ませている。
一ヶ月かけて綴った渾身の10,000文字も、記事タイトルがイマイチだとあっけなくタイムラインの底なし沼に沈んでしまう。記事タイトルが優れていればスキ数やビュー数が大きく伸びることもある。すべてのnoteは記事タイトルに命運を握られていると言っても過言ではないだろう(敢えて大袈裟に言う)。
noteは、会員登録者者数500万人(2022年4月時点)。これは2021年に比べて30%も増えている計算だ。日本人の約4%はnoteをやってるんだね。
noteで収入を得ている人の数10万人、noteのコンテンツ購入総数3600万件、noteの法人アカウント12000、noteの累計総スキ数2.6億。(2022年4月時点)
月間アクティブユーザー数6300万人(2020年5月時点)、総記事本数1500万件(2020年5月時点)。日本においては既にFacebookやInstagramやTwitterの月間アクティブユーザー数を超えているそうだ。えっ、主要なSNSよりも上なの!?
さらに、1日あたりどれくらいの記事が投稿されてるのか調べてみたら・・・・・・ええっそれマジっすか〜となった。なんと、noteでは1日平均26,000本もの記事が投稿されているというのだ。1日で、ですよ。ライバル多すぎやしないか。
月間アクティブユーザー数、総記事本数、1日平均投稿数は、3年前のデータなので、2023年の今はさらに増えている計算だ。
厳しい競争に晒されているこの成長著しいnoteという都市国家において、ちょっと強引だけど、記事タイトルの重要性がますます高まっているとみて間違いなさそうだ。
読み手のほとんどが、限られた隙間時間を使って記事を読んでいる。タイムラインを眺めている時間だって一瞬。しょぼいタイトルの記事は優先順位も低くなりがちだし、見向きもされないことだってある。
自分がnoteを始めて間もない頃の話だけど、本文が書き終わった後、記事タイトルとカバー画像だけで3時間以上悩んだことがある。必要以上に自意識過剰になって時間がかかってしまった。だから、悩んでいるあなたの気持ちはわかるつもりだ。(その記事は公開後24時間でスキが2個しかつかず、深夜に湖池屋のポテチをヤケ食いして、ふて寝した)
よくありそうなのが、良い記事が書けたのに良い記事タイトルが浮かんでこず、無難な普通っぽいタイトルを付けてしまうパターン。わかるなあ。大事にしたい時はなぜか無難な方に引っ張られる。あれはなんでだろうか。
「やべえ、これマジ自信あるわ。タイムライン席巻するわ、スキの嵐やわ」と胸を高鳴らせて張り切っていたのに・・・・・・。「どうしよどうしよ、ええいっ、公開ボタン押しちゃえ私、もうどうにでもなれ〜」と指先をぷるぷる震わせながら勇気を振り絞ったのに・・・・・・。「共感されまくってバズったらそれはそれで面倒くさいかもなあ」と要らぬ心配をしていたのに・・・・・・。「自分史上最高傑作ができた」と思って公開したのに・・・・・・。
投稿前の思惑はだいたい外れる。その大きな原因が記事タイトルだったとしたら!?
記事タイトルのせいで、せっかくの良記事が台無しになっているかもしれない。日の目を見ることなく暗闇に沈んでしまった作品たちがいるかもしれない。本当はスキが1000個くらいつくポテンシャルがあるのに、3個(自分がつけたスキ含む)くらいで終わっている記事があるかもしれない。
ああ、それは由々しき問題ではないか(涙)。
記事タイトルとは、記事の第一印象だ。
恋愛でもそう。初対面で恋愛対象としてアリかナシか瞬時にして見極める人だっている。最初にナシの烙印を押されてしまうと恋人候補に再浮上するのは難しい。
たくさんの記事が並ぶタイムラインは、さながら合コン会場。その他大勢キャラで終わらないためにも、第一印象でいかにアピールするかが重要だ。ううむ。そういう意味で、生まれつきのイケメンと美女は有利だ。イケメンは黙っててもイケメン。美女は黙ってても美女。余計な小細工なんてしなくても・・・・・・。あれ、何の話をしてたっけ。あ、そうだった、記事タイトルの話だった。人の顔は生まれつきなので変えられないが、記事タイトルは指先一つで変えられる。うほっ。
タイムラインで最初に見られるのは、記事タイトルまたはカバー画像。それは間違いない。そういうわけで、やっぱり記事タイトルって、note記事を書く人にとっても、おざなりにはできない存在なのだ。
前置きが長くなりすぎてしまった。
でも、前置き(予防線)はまだまだ続く。
この記事は、tagoが「記事タイトルの効果的なつけ方」について研究し、一コピーライターの視点でまとめたもの。その技(技術)を13パターンに整理分類してみた。
対象となるジャンルは、エッセイ、コラム、漫画、日記、レポート、批評文など。もちろん、それら以外でも幅広く使えるかもしれない。
やっぱり、「俺の記事はここに存在してるんだっ! 」「 私の文章はここに生きてるんだっ! 」ってちょっと大きめの声で主張した方が、見つけてもらいやすい。
ああ、わかってるよ。わかってるんだ。キミの言いたいことはわかってる。そう。これは小手先のテクニック的なアレだ。「誰が書くか」「何を書くか」ではなく「どう書くか」に焦点を当てている。書き手のキャラクターや主義主張や価値観などをどう伝えるのかという前提には一切触れていない。
なので、「記事タイトルをひねっても、肝心の中身(本文・作品)がダメなら無意味」や、「タイトル詐欺を誘発して書き手も読み手も不幸になる」といったツッコミもあるかもしれない。
誤解しないでほしい。
この記事で目ざしたいのは、ネットニュースにありがちな「ノーバン始球式」や「閲覧注意!」のような釣りタイトルではない。記事本来の価値を最大限に引き出すタイトルだ。
・・・・・・と自分では思っている。思いたい。アドバイスする立場というよりは、一緒に学ぶ感じで書きたい。
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【よく見かけるキジタイ文法】
13の技を紹介する前に、まず先に、よく見かけるキジタイ文法のパターンをおさえておきたい。これらの文法を使うだけで、ちょっとした“こなれ感”が出る。みんなも見かけたことがあるはず。ありがちな文法を把握しておくだけでも、記事タイトルの書き方がちょっと変わると思う。
ただし、よく使われているということは、これらの書き方にはライバルも多いってことだ。この文法を使いつつ、もう一工夫ほしいところ。超絶雑な例文も入れておいたので参考にどうぞ。
■ ◎◎した話
(記事内容がしっかりまとまっている印象になる)
「可愛がって育ててきた後輩がある日、上司になった話」
「ニューヨーク留学から帰ってきたら日本が外国に見えた話」
「LINEで好きな人に告白したら予想外の返事をされた話」
「スペインの某ヌーディストビーチで海水浴をした話」
■ ◎◎したら◎◎になった
(前半の◎◎と後半の◎◎の間に落差があると良い)
「ダンゴムシについて書き始めたら、気がつけば10000文字になった」
「普通のサラリーマンがnoteを2年続けたら、ウェブライターになった」
「某人気ラーメン店に通ってたら、無愛想な店長とアイコンタクトする仲になった」
「服装や髪型でかっこつけるのをやめたら、かっこいいと言われた」
「上司の教えと逆のことばかりしてたら、社長になった」
「noteの記事タイトルの付け方について、コピーライターが真剣に考えたら、13の技にたどり着いた」(この記事)
■ ◎◎について語らせてほしい
(書き手の熱意が伝わる)
「冷凍炒飯の奥深さについて大声で語らせてくれ」
「私が愛してやまないルクセンブルクの切手について語らせてほしい」
「映画グリーンブックのトニーの優しさについて語らせてくれないか」
「崖の上のポニョと死後の世界の関係について僕の考察を聞いてくれ」
■ ◎◎をしてみた
(トライする内容が面白かったり珍しかったりすると良い)
「人目もはばからず夕暮れの砂浜で海に向かってバカヤローと叫んでみた」
「愛犬の目の前で死んだフリをしてみた」
「勤め先の空気を一生吸いたくないので退職代行サービスを使ってみた」
「回転寿司で全種類制覇にチャレンジしてみた」
■ なぜ◎◎なのか
(みんなが気になってそうな疑問を勝手に解決する)
「なぜあの人は、まわりに聞こえる大きな声で電話するのか」
「ネットで仲良しだったのに、なぜリアルで初めて会うのは緊張するのか」
「なぜ全く読んでないのに躊躇なくスキを押せるのか」
「なぜ私のツイートは反応が薄いのか」
「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか」(山口周)
上記以外にも、「◎◎について」「◎◎した理由」「◎◎だった件」など、多用されているキジタイ文法がある。これらの傾向がわかると、書き手の癖のようなものもわかってきて面白い。
【ゆるく読んで、ゆるく参考にしてほしい】
この記事で紹介する技術は、ひたすらnote内の人気記事やツイートや広告キャッチコピーなどを横断的に読みまくるというゆるいリサーチによって抽出した。少しずつ分析を重ねて浮かび上がった記事タイトルの作り方を13パターンに整理分類した。
同時に、tagoがコピーライターとして生きてきた中で得た貧弱なノウハウも少し織り交ぜた。つまり、tagoの主観や偏見などが多分に混ざっている可能性もある。
ビールをちびちび飲みながらでもいいし、ソファで寝っ転がりながらでもいいし、なんなら鼻くそをほじりながらでもいい。できることなら、肩の力を抜いて読んでね。
なお、参考にしたnote記事は一切紹介しないことにした。なぜなら、その記事が「中身はつまらないのにタイトルが良いから人気である」というような悪意ある解釈をされたら辛いためだ。その代わり、tago自身が書いた記事タイトルやツイートは(善し悪しは別として)たまに例示することがある。
「有料マガジンにしたら月2回更新で既に半年分ある。1つの技が100円の設定なら14の技で1400円。1つの技が50円の設定でも14の技で700円。よしっ、ぐふふ・・・」。
そんな皮算用が頭をよぎったこともあったけれど、やめた。もし自分が読み手の立場ならバラバラより一つにまとまっている方が読む気になりそうだし、その方が読み返しやすいと思ったから。
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