研修とワークショップ③熊川宿のとりくみから学ぶ
【日時】
11月27日(月)18:30~20:30
【場所】
あけぼのパーク多賀 大会議室
【テーマ】
熊川宿のとりくみから学ぶ
【講師】
時岡 壮太 さん
株式会社デキタ代表取締役
【内容】
福井県若狭町熊川の宿場町は、国の伝統的建造物群に指定されています。
文化庁は、民間と地域の成功例として紹介しており、昨年多賀町でもお話いただきました。
福井県若狭町、一番滋賀県寄りに熊川宿という宿場町があって、高島市と接しているエリアにある宿場。小浜から高島市を通って、京都に魚や物を運んでいた街道の一部になりまして、今日はそこで実際にやっている事業の話をちょっとご紹介させてもらいます。多賀町の事業のヒントになればと思ってしゃべります。
自己紹介
僕自身は、Uターンしています。 元々、福井県小浜市にある若狭高校を出て東京に行き、建築の大学を出て、 先生に弟子入りさせていただいて、それから 3年ほど働いて、その後、株式会社デキタを立ち上げています。
株式会社デキタは、東京にいる間は建築の開発をやっていた会社で、漁業市場や産直市場などの開発や、被災地の流されてしまったエリアに商業施設っていうのもやらせてもらったり。設計もやっていました。
設計もやるんですけど、 実際、建築を作る時に大切なのは、事業作りですね。事業を担当する人間がとっても重要で、お金の計算をしたりとか、テナントリーシングしたりとか、商店街の合意形成をしたり、やることが多くて、設計の部分っていうのは、実は本当ちっちゃいんです。その前に計画策定が色々あって。工事進んいでる間もテナントリーシングとか銀行関係したり、開発コンサルトというジャンルがあって、僕はその設計も、一部やったことはあるんですけど、 どっちかというと開発コンサルが長かったキャリアになります。
35歳ぐらいになった時にちょっと悩み始めます。このまま東京でやっていていいのかしらっていう風に考えてくる。
仕事は一巡二巡してくると、大体客観的に見られるようになってきて、 挑戦したくなってくるんですね。このままでいいのかしら、気持ちがちょっとあって。他の地域もやらないか、みたいな、色々相談いただいたんですけど、 あんまりこうテンションが上がらなくて、もう1件施設開発やってやろうみたいな気がちょっと起きなくてですね。やっぱり元々やりたかった、田舎の文化財を使った事業に取り込んでいこうというので、ほぼ第2次総業みたいな形で、35歳の時に地元若狭エリアの熊川宿にも関わり始めて、今に至るという。
いっちゃなんですけど、若狭町は僕の生まれ故郷ではなくて、隣のおおい町が生まれ故郷なんです。おおい町からは、はよ帰ってこいよ、裏切り者と。ほぼ一緒だと思うのですけれど、若狭町に帰ってきたのはおおい町から見ると帰ってないだろという感じになるので、Jターン。完全に地元ではない。
若狭エリアについて
さっきから出ている若狭エリアなんですけども、この赤いエリア(パワポ)、人口的に言うと福井県の中でもとても少ないです。どっちかっていうと経済的には縮小エリアと呼ばれているようなエリアです。全然土地がないエリアで、土地がないところの間に5集落があって、皆さん間に住んでいる。
ただ、僕はこの綺麗な風景、景観にすごい可能性を感じていて、東京にいる時から、若狭はこれから観光と集客する上でとても可能性を感じていました。山が近いんで、湧き水が豊富なんですね。
ほとんど平地がない、山と海が近くて、いろんなところで湧き水が湧いてる、そんなエリアなんです。
特徴は、京都まで1時間ぐらいの距離で行ける。ちょっと鯖読んでいまして、京都駅まで行くと1時間半ですね、京都の出町柳まで行くと1時間ぐらいのエリアなんで。 本当かなという数字なんですけども、大体これぐらいの距離からの生活をしておりますので、文化圏的に言っても、ほとんど関西文化圏に近いところにあります。
熊川宿について
熊川宿は、谷の1番奥なんですけども、船とか馬が入ってこれたんで、荷物を運び込んで、ここで荷物を人に背負い変える、荷継ぎ場として栄えました。ここから先は山に入る、今でいうトレードインです、人力で山に入るためのエリアだったというので、こういう街並みが栄え、今までも残っている。
熊川地区、熊川集落全体で 130軒あって、今、空き家が40件ぐらいと言われています。3分の1ぐらいが空き家になって、高齢化率も今6割に達しているので、数値だけ見ると、限界集落になっておりました。
シェア オフィス オープン
35歳って言ったんですけど、今から6年ほど前です。僕、若狭町で活動を始めまして、 2018年4月、シェア オフィス オープンしていますね。まず、東京から会社を移さないと何も始まらない、自分たちの活動拠点が問題だったんで。始め大きい家屋を買い上げました。こんな状態だったんですけども(パワポ)、これを1個1個掃除して回って。 これ皆さんも経験されているかもしれない。空き家を使っていく上で1番の問題は、前所有者さんの持ち物が1番問題で。我々は、ポストイットをいっぱい作って、捨てる、残す、鑑定に出すっていうのを所有者と一緒に貼りまくりまして。鑑定に出すって言ったやつは、古道具鑑定士さんを呼んできて、その場で全部値段を出してもらって、 どうしますかって、結論を迫るというようなやり方をして、捨てる荷物は2tトラックで回収してしまうっていうの、 何か月もかけて、荷物整理から入りました。その上で、持ち主さんの合意を取って、改修をして、本拠地として今も使っている建物に蘇らせました。
2階に我々事務所構えているんですけど、大きすぎたので4社入っています。こういう、トレイルのバイトさんだったり、 あとデザイナーさんだったりが入ってくださって、我々も2階の一間を使っているので、会社だけで3社入っているシェアオフィス。その後、カフェの誘致を始めまして。東京の蔵前っていう、今コーヒーでとても有名なエリアになっているんですけども、そこのコーヒー屋さんを誘致して、テナントさんとして今カフェをやってもらっています。SOL’S COFFEEさんというお店です。なんと、熊川に出店した次の店舗はスカイツリーに出店されたので、すごい組み合わせですね。熊川、スカイツリーっていう順番に出店をされたお店なんです。出店してくださったのが、この焼き場で。コーヒーのサードウェブ系のお店が流行ると、山梨とか埼玉とか焼き場を設けるらしいです、ただそれもある程度数が増えてきたので、面白くない。福井県 の山間部で焼いていますっていうこと自体がやっぱり面白いブランディングになるんじゃないかっていうので、SOL’S COFFEEさんも実際に出店して。工場としても持ってくださっている状態です。 なので、海外の豆がここに届いて、ここで焼いて、スカイツリーに出荷しているって面白い状況になっていますね。ここまで、SOL’S COFFEEさんに入っていただいたところまでやって、その後に宿を始めるんです。
八百熊川
八百熊川という宿を開始しました。今から 4年ほど前ですね。八百(はっぴゃく)熊川と書くんですけれども、八百万の神です。八百万の神的なものを感じてほしいとの思いで、ロゴも、デイダラボッチをデザインして、あと、おおい熊川、神霊の地というので、八百熊川というのをいただいて、という名前にして運営をしています。
タイプで言うと、分散型宿泊施設というものになって、皆さんお聞きされたかもしれないんですけど、村の中が 1kmに古民家があって、空き家がたくさんある状態なので、借りられる。また宿に向いてる空き家をどうにかお借りして、もしくは、取得させていただいて、このような空き家を大改修して、これ改修前(パワポ)、こういう改修して、 こんな感じでおしゃれなホテルにして、運営をしているというのを展開しながらやっている状態になります。
この1棟目「ほたる」という建物で、八百熊川の下に部屋名が入る、ひらがなで。熊川地区にある植物、動物の名前をあてがっているんです。水回りこんな感じで、ベッド周りもこんな(パワポ)。
これ2棟目(「ひばり」と「つぐみ」)です。とても大きいお宅だったので、真ん中で防音壁を立てて、2つのユニットに分けています。お客さん2組にご利用いただけるような作りになっていまして。先ほど湧き水がとても豊かなって言ったんですが、逆に言うと、床下がすごい湿気の多い部屋で、我々床下からも全部やり直し。基礎から打ち直すみたいな工事をして再生させます。 これが向かって左側のユニット(ひばり)です。こんな感じのエントランスで、入るとリビングルームがあって、 これは向かって右側のユニット(つぐみ)で、キッチンアイランドにこだわって作っていますね。こういうリビング、ダイニングルームがあって、上がベッドルームになっております。
あと縁側をつけて、楽しんでもらえるような仕様で今運営をしています。我々は、ベンチャー企業でございますので、あまりお金なくて、これが、大工さん、これがうちの奥さんと(パワポ)、身内で出演してもらって、やっているというような感じの営業をしています。
これが、昨年オープンしたやつなんですけど、穴が開いているんです。これ、完全に壁が崩れてしまって、ちょっと湾曲してるの、 この構造を割られて、屋根が下がり始めている状態だったんです(パワポ)。一般的に蔵の改修って結構難しいんで、湿気も溜まりやすいし、改修も高いしで、どうしようか悩んだんですけど、これやらないと多分残せないと話しまして、急遽、クライアントがやるというので、これを差し込みましてしました。今はこんな感じで再生して運用をしています。 ヤマネという建物になりまして。初めてダブルベッドを入れたり、前にある庭を整理をしたり。今までと違った作りにして運営をしています。
ご利用の流れなんですけども。先ほど1番初めに整備したシェアオフィスの1階が、受付になっておりまして、宿の受付を、 ここに来ていただいて、鍵を受け取ってもらうんですけども、お客さんと村のルールを決めています。人の家の駐車場に止めたとか、都会の人が、線香花火を 路上で始めようとしたことが、トラブルが起こりうるので。ここで村のルールをちゃんと説明して、トラブルのないようにお願いし鍵を渡す。鍵渡してしまうと、あとは自分の別荘というような形で、我々との接点はほとんどない状態になります。連絡取れない、困るだろっていうのがあるんですけども、今、スマホが発達しておりまして、公式LINEとかにチェック時に登録してもらうと、このショートメール、 メッセージでやり取りができるんで、基本的にチェックインした後の連絡は、これを使って、お客さんからもメッセージをいただいているっていう状態になります。
今年の10月、昨月なんか、インバウンドの方がとにかく増えてきていまして。全体の今30%、インバウンド。昨月の結果で30%。 稼働率が4割5割なので、10、8組とか20組ぐらいの外国のお客さんが来ています。国関係なく、アジアもいればヨーロッパもいるし、北米北欧もいらっしゃるし、世界各国から来ている。共通しているのは旅慣れた人です。ほとんどレンタカーで来られるんですよ。僕、海外でレンタカーしたことないんで、すごいなと思っているんですけど、自分で京都とかで、 車を借りてわざわざ来てくださって。この後どうするんですかっていうと、金沢、みたいな、結構旅慣れた方がわざわざ。京都と金沢がちょうど間になるんで。シティで、間の山村は楽しかったですみたいな感想をいただくことがある場所になっております。これまた後で質問あるんですけど、 お客さん、どうやって入れてたかっていうと、やっぱりgoogleの口コミが大きいですよ。googleマップに書き込み機能があるんですけど、あそこに外国の方が生の声書いてくれるんです、それがね、 とても、多分いい効果を見ていて、皆さん行きたい、京都の周りのgoogleマップで調べてるみたいなんです。そこで、コメント多かったり、いい評判のあとに、直接の自社のサイトから ほとんど予約してくださっているので、googleマップ見て、インスタでチェックして、自社サイトから予約をしてくれるっていうのが今多い。
香港の方が、素晴らしい宿でした。 ファンタスティックだ。みたいなこと言ってくれたら、増え始めて、集まって、みたいな感じで徐々に増えていったような感じの広がりになります。
食事
夕食の提供も頑張っておりまして、宿がちょっと田舎にある。周りにレストランはないですよ。夜までやっているところがないので、基本運び込みのサービスを我々のパターンとしております。1番人気が、地元のお母さん方が部屋まで入っていって料理を並べてくれる、熊川もてなし御膳っていうの。本当に田舎料理なんで。これはちょっと東京の飲食店とかに入ってもらって、味を変えています。田舎だと濃い味好きで、 田舎って意外と濃いですよ、味付けが。パワフルなんで、ただ、本来の味も美味しい。ちょっと薄味に直して、これを部屋まで、持っていって並べてもらうスタイルで提供しています。それがとても人気で、外国の人にはもっと受けていまして。 お金の話をするのも何なんですけど、多い月だと30万ぐらいからお母さん方に、サービス費を落としている。ちょっとした現金収入。海外の方もこれとてもたくさん頼まれるんで、言葉は大丈夫なのかと思うんですけど、手元に全部英訳した文章が置いてあって、食材の説明が全部英語を読めばわかる。
お母さん方は気兼ねなく日本語でやりきってくれます。わかってないけど、この間もドイツ人来た時に、 最後まで日本語で喋りきって拍手が起きるって、やっぱりこう、パフォーマンスの一環じゃないけど、触れ合いの一環としてなっている感じのオペレーションになっております。
これが朝ごはんなんですけども、朝ごはん、結構面倒じゃないですか。朝サービス、早いし、お客さんの時間もわかんないし、大変なんで、 我々は、冷蔵庫に仕込んどく作戦を取っておりまして、これが朝ごはん頼んだから部屋に行くと、冷蔵庫に入っています。例えば米がオリジナルパックであって、これらを自分で料理してこんな感じで(スライド)。とても質素に見えるんですけどね、贅沢なんです。朝から湧き水で作る、土鍋で作る、部屋でゆっくり食べられるって、これは意外と受けていて。 なんか、普段料理をしない人が、この時だけは俺がやる。 なんかこう、やりたい。これ自体がちょっと文化体験やっているんですよ。ちょっと楽しんでもらって、古民家で、かっこいい土鍋で、湧き水で料理してる俺かっこいい、みたいな世界、楽しんでもらえているサービスです。
物販
並行して、八尾熊川ストアっていう物販も始めております。宿始めて1年ぐらいだったんですけども、初めは先ほどのお米の方と、パックを作ったり、ご飯のお供に使っていたやつを、小規模パッケージ。買いにくいですよね。ちょっと味見しようか、買い物に、切り身を、詰め替えて売ったり、梅干しも。お酢屋さんと一緒に、ポン酢のオリジナルの瓶を作ったりする、ちょっと手軽にできるのから物販をスタートしてきまして、若狭箸がレンガの赤だったり、灰色とか、山椒の緑色だったりとか、熊川の色を使ってオリジナルで作ったりで、だんだん製品の幅が増えてきていました。
昨年10月に、すでに、古民家の食品加工所も新しく設置しまして、オリジナル商品の製造を始めております。
カブラが伝統野菜として京都から入って根付いているんですけども、使ってなかった種いただいてきて、カブの種をすりつぶしたマスタードの製造販売しております。カブの種から粒マスタードを作って、製造販売をしています。道の駅を中心に売り始めたんですけど、今は雑貨屋さんに色々置いてもらっていまして、アウトドアショップ、キャンパーが買ってくれる人がいたり、あと、東京の二子玉にある高島屋さんも力になってくださっていて、ちょっとずつ今販売が広がっております。
また、葛ですね、熊川で昔から作っている熊川葛、根を踏んで、冬にしか作れない伝統的な工法でやっているんですが、冬以外、製品に作れないかっていうので、葛の花を使った、お茶を作って販売をしています。
古民家を、活用しちゃダメなんじゃないか、商売すると叱られるんじゃないかって。なんかこう、キリッとした空気があったのは確かで、保存の町ってイメージがあったんですけど、僕らが活用させてもらって、地元の方と一緒に動いて、業界の動いてるのを見ると、評価していいんだと。 若い方も飛び込んで大丈夫なんだ、みたいな感じで、エリアイメージが変わったから、ハード的には変わってないんですけど、活用の上では重要で、やっていいんだみたいな方が、こういう感じに続いてくださってるような状態になってるなと感じています。
そうなると、僕らだけじゃなくて、地元の方が行政とからみやすくなってきまして、一度、計画物を作ろうというので、熊川地区ブランドデザインっていうのを3年前にしてみました。細かい点は触れないんですけども、この期待は何年度に何やるかっていうのをちゃんと決めとかないと結構混乱するんで。
大きな方針として、サインとか、あと土木が共に合うトレイルの開発と、そういうのを、 地元だけではできない部分を行政に相談してやっていこうっていうので、こういうブランドデザインというのを作って、今、順次それを実現してきている。もうすでにサインが全部新しくなっていたり、熊川トレイルっていう山道ができています。トレイルループができたりとかっていうのは、ここ3年ぐらい新しい成果としてできております。この熊川トレイルを作った理由は、山の街作りをしたかった。熊川宿って、 元々は山村の間の村だったのが、宿場として活かされて発展してきたんですけども、今の宿場じゃないですね、車社会が発達すると、宿場の機能が失われるので、やっぱりこれからもっと山村の魅力を強く出していかなきゃいけないので、山村としてのまちづくりっていうのが当時の、先ほどのテーマになっておりまして、トレイルルートを作ったり。
山座熊川
これ我々で今やっているんですけども、山の上にキャンプ施設新しく建設したいというのが、これ昨年なかった。山に座まわると書くので、山と向き合おうみたいな。
「座」って神々が座るっていう意味です。神様が座ってらっしゃるっていうので、山は、座って数えるんですが、向き合おうみたいな意味で名前をつけて。
こんな感じで(パワポ)素晴らしい山ぐらしというテーマですけど、土鍋で地元の 地鶏をこうセットやったり、あと、バーベキュー場も接しているんですけど、いわゆるバーベキューって感じじゃなくて、 こんな感じですね。これはまだ言葉ちゃんとワーディングできてないんですけど、お惣菜がついていて、白米を卓上で炊いてもらったりとか、醤油の一夜干しみたいな海産物が入ったりで、田舎の感じとか若狭モノが食べられるような。今、開発して、これから販売を始めるということになっております。これが中身ですね。
キャンプ施設って言ったらちょっと表現難しくて、総合アウトドア施設って言い方をしています。メインは、このポペル仕様の建物が6棟並んでいて、それぞれ5人ずつ宿泊ができる、屋内あります。その向かいに、オートキャンプサイトがある。これが1つ1つが水回りユニットで、シャワーとトイレとキッチンがついているんです。 人によって、なんでなんちゃらって言われるんですけど、快適なキャンプができる仕様になっていて、女性の方も安心してキャンプしていただきたいので、水回りとセットでこちらも足しております。
これは12サイト分ぐらいあるので、7、8名ぐらいの受け入れが可能な施設となっているのが、この開発で、素晴らしい山暮らしというのがコンセプトになっています。
近年、我々のような事業者が入ってきて、宿泊施設とかシェアオフィスなんかを整備すると、 ちょっとエリアのイメージが変わってきて、いろんな方がこういう出店をしてくれる状態になっています。今まさにこの状態ですね。
そうなると、行政、地元の方も色々議論がしやすくなってきて、もうちょっと町づくりしようよっていうので、こういうトレイルルートが開発されたり、 実際ここに開発されたりっていうのが進んでおります。前まではここだけ(熊川宿)のまちづくりやったんですね。今はこの範囲で考えておりまして(スライド)、 これだけだとなかなかこう全てが全て宿を増やせるわけではないので、ベッド数も限られていたんですけども、こういう施設入れることで、全体として今80何名宿泊できるエリアにできておりまして、これとても重要ですね。経済規模を作り出す上でも、いろんな企画を受け入れる上でも、エリア全体でお客さんを埋めていこうっていうのが今進んでおります。
事業の目標としている部分で、これ福井県内の事業所数ですね、事業所数って、法人数よりもちょっと多いんですよ。工場を何軒か持ってるところは1法人に4営業所とかっていうのもあり得るので、事業所の数ってね、経済の動きと連動する、 この1980年以降、福井県で半減しております。どんどん、どんどん小さくなってしまっている。
なんだけど、この従業員数ってね、一次産業者増えているんです。で、これ何が起きているかっていうと、福井県内の中で、 10名未満、10名以上、30名未満の会社数がずっと減り続けています。
小さい会社がどんどん増え続けていて、30年以上、100名以上っていう会社はね、減少しているんです。
これ面白くて、小さくて集落に密着したとか。 生活商品を担っていたお店がどんどん減ってっていて、大きいナショナルチェーンが増え、大型の工場が増えては、ここ数十年で起きてきたことです。
我々ずっと実験していて。事業を成り立てないと文化財は守れない。集落に密着した事業を成り立たせるかっていうのが、今デキタが挑戦していることかなと思っておりまして。
ナショナルチェーンになっていくと、なかなか熊川の集落で日常生活を含む商売が成り立つってどんどん難しい時代になっているんですけども、なんとかこれを成り立たせて、地元の古民家とか、お野菜とか、文化的なものを残せないかっていうものにチャレンジしております。
ポイント
1つ目 限りある文化資源を生かし、事業を効果的に組み合わせる。
古民家の数は限られているんですよ。宿にできるものも限られていて、村の空き家を全て宿にするわけにはいかないんで、宿業の経済的な広がりってね、知れているんです。
人が5名雇用できる、6名雇用できるぐらい止まってしまいますね。しかも冬は激減します。雪のエリアなんで、 季節変動がとても大きい。商売としては、全然安定しないんです。
一方、くず粉なんかは冬にしか作れないんです。ただ、量はとても限られる、普通に売っていると300万とか400万ぐらいしか売れないですね。しかも2か月しか作れない。 これでどっかに特化して集落で生き残ってくっていうのは、やっぱ実際無理なんですよね。 重要なのは、夏は夏に儲かることして、冬は冬に儲かることとして、1個1個の事業は何百万の単位かもしれないけど、うまく組み合わせることで、その土地でずっと商売できる状態を頑張って作ろうっていうのが1つポイントになるなという風に感じています。この効果的な部分ですが、面白いのが、物販していると宿のお客さんも増えたりするんですね。 物販をいろんなところでイベントに持っていったりして物を販売するんですけど、チラシ配りまくるんです。我々チームなんだから。宿も物販と一緒にやっているっていうと、物販を通じて宿のお客さんが増えたり、宿に泊まってくださった方がものを買ってくれたりとかっていうので、やっぱ相乗効果っていうのが発生するんで。これもとても重要なポイントかなっていうのを感じております。
2つ目 提供価値を明確に伝える
田舎の商売って、ここがとても苦手なんです。この宿がどういう価値がありますかっていうのをね、なかなか言えてないんです。ほとんどがね、お国自慢みたいな話ですね。この建物は300年間続いて、まあ、1番の建物だって言うんですけど、 それはね、お客様への提供価値にはならないです。お客様への提供価値って、この場所でどういう時間が過ごせるかとか、どういう料理がいただけるかとか、どういう気持ちにさせてくれるかっていう、明確にこう、お客さんに価値を伝えていかないといけないんですけど、これ、なかなかで、インナーバリューっていうね、逆に内側の価値って言うんですが、インナーバリューに空き家が埋まるとか、雇用が生まれるとか、 地域の都合の話なんですよ。で、これ、お客さんにとってはどうでもいい話で、関係ない。
田舎の議論ってね、インナーの話ばっかり周知しちゃうんですよ。こうすると人が入ってくる、若者が増える。特にこれから、古民家は今どんどん増えてきています。田舎の物品もどんどん増えてくる時代なんで、単純にかっこいいもん作るだけでは売れないんです。やっぱりここをね、どういう価値を我々が提供しているんだっていうのをうまく伝え続けなきゃいけないっていうのがポイントかなと思っています。最後、人の話ですね。 働きやすい環境作りをこれから田舎の我々の最重要です。
今は12名の会社なんですけども、30名程度の中小企業を出そうかなと思っていて。10人、11人ってね、営業していく上で難しいですね。部局分けがなかなかできない。だから有休消化率が低かったり、産休が取れなかったりっていうのが、どうしてもぶつかる壁があるんです。
で、それを超えるために、いくつかの事業を組み合わせて働きやすい環境作りで30名程度を見ていると、部が分かれて、人の出入りがしやすくなって、有給消化率、産休なんか取りやすくなって、どうしてもこの数の理論に重要な部分があるんで、 これを最近は意識しながら、会社作りを進めております。
最後 ウエルネスツアーを作ってます
町づくりのための取り組みなんですけども、山岳、川に泊まっていただいて、トレイルで熊川宿来てもらって、マインドフルネスをして、これがですね、今、ストレス計測機(スマートウォッチの一機能)になっていて、今も僕のストレスが、測られていますね。これ、なんかAIに送られる仕組みわかってないですけど、送られていて、これを見ると、僕のストレス値が今どんどん分かる状態になっています。実際僕らはこの山に活動してもらって、プログラムやってもらって、食事を取ったりするとストレスが減るっていうエビデンスで、これは激減します。 東京の人が、がっとストレスが減るトレーニング数字取ってるとこです。今週末ツアーやって、ストレスがとても高そうな福井新聞社さんに来てもらうんですけども、体験し、これまたエビデンス取ろうかなと思ってるんです、これがね、もう明確な価値ですね。
やっぱり山の暮らしって、お客さん来ないんだけど、我々の村で過ごしてもらうと、ストレス値が減って、教育ができますよっていうのは明確な提供価値であって、単なるキャンプを作るだけじゃなくて、このプログラムを合わせてPRに使うってのを取り組んでいることです。実際、これまた見に来てください、面白いんで。ストレス値、ついつい見ちゃうんですね。こういうチームで山に行って測定しているなやり方をしています(スライド)。
もう1つが、さっきの季節変動に対して、どういうチームで臨んでいくかっていう部分で、どうしてもクリアできない部分があり、 売り上げです。やっぱり十分な売り上げを地元の野菜で確保できるかって難しい部分があって、最近これ農水省と総務省が相次いで取り組んでいるんですけども。
総務省の特定地域づくり事業協同組合という制度始めておりまして、 これは、お豆腐や馬の牧場、炭作り農業豆腐作り、しま豆腐作り、観光みたいなのをやってる事業者さんがみんなで共同組合を作る。そこで雇用して派遣するんです。夏は、こう、冬は、じゃあ豆腐作り行ってくれって、いくつかの事業者さんが作った共同組合から人を派遣すると総務省から人件費が出るっていう制度が始まっておりまして。全国的に動きが色々出てきています。集落で1個1個は独立して食えないけど、固めれば食えるじゃんっていうのはやっぱりどの地域にもあって、最近農水省も総務省もそこのてこ入れに動いております。
熊川で言うと、キャンプ施設で夏場繁忙期を働いてもらって、秋は例えば山内かぶらの会の部分に参加してもらって、冬になると熊川葛をやってもらおうっていうような、マルチワーカーの働き方を後押ししようということでやっています。
我々デキタ宿泊業、食品加工と観光業をやっています。
もう1社、説明したあの山座熊川のハード整備は、開発会社を作っているんですよ。他町と我々と民間3社が入って、お金を出し合って開発会社を作って、山座熊川を開発して運営はできたらいいっていう、この不動産業ですね。山座熊川で利益が上がると、そのお金をまた宿場の方に戻そうと思っていて、キャンプ場で利益を上げて古民家を再生させるっていう役割、不動産業をやろうと思っています。再生した古民家にまた新しいテナントさんとかに入ってもらうのが、熊川まちづくりで重要だろうというのでやっているんですが、この2つに加えて、 地域作り事業協同組合を来年に設立しようと思って今動いております。これから、人材の部分とか、農業部分ですね、 この3つの不動産とかプレイヤーとか農業をやれる団体揃うことで、熊川まちづくりの基盤が揃うんじゃないかなっていうのが今我々はやっている。その上で、地域全体で 30人、40人雇用で文化財を守っていこうというのは、まず狙いとしてやっております。
以上が今日のプレゼンでございまして、山座熊川、八百熊川の方は、インスタなんか見て世界観を見ていただければ幸いでございます。
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