「よよっ日本一!」歌舞伎を盛り上げる掛け声を、いつも心に。(1237文字)
*英国王のスピーチのモデルになったジョージ6世って、実物みたらめっちゃ男前やったわ~!
*たくとが初めて後ろ回りできたで!
*ホットプレートって波型、平型あるやん。あわせて波平やん。
*徹子の部屋見たら、ソーシャルディスタンスでゲストと徹子のソファの位置がめっちゃ離れてたで!
あら。
へー。
んー。まぁまぁかな。
オ、よかったやん。
そーなんや。
あ~まぁそやな。
夫のリアクションはおしなべて薄い。見たことないけど、フグ刺しより多分薄い。たわいもない話だけでなく、自分にとって重要な話をしたところで大して変わらない。目を見開くことも、声の抑揚も、眉が上がることもない。
「聞いてる?」と、両肩をゆっさゆっさ揺さぶりたくなる時もあるくらい、打ってもひびかない。叩いても鳴らない。笛吹けども踊らない。なんともいえない歯がゆい反応が返ってくるばかり。
多少の強弱はあれ、いかんせん感情表現が僅少。口はだいたい真一文字に結ばれていて、彼の無言のコマに吹き出しをつけるとすると、セリフは「ム…」
徹底的に表現の無駄をそぎ落としたミニマリストか。
はたまた、静かに工夫を凝らすことに美を見出す侘び寂びか、枯淡の境地か。
自分もそんなにポップな反応をする方ではないけれど、「私のテンションって高すぎる?!」と、その対比では思ってしまうほど、なんせ夫は反応が薄い。豆腐。トコロテン。つけ汁のない素麺。
それでも、落ち着いていて冷静沈着。気分にムラもあまりなく、穏やかで平常心。そんなところにどうしようもない安心感と居心地の良さを覚える。
体にはやっぱり減塩薄味食よね。健康ってイイね!それでも時には薄味に辟易し、塩分や油分、化学調味料やスパイスを渇望する。
「ウイルスに感染しました!2分いないにこのアプリを入れてください!」って突然携帯画面にメッセージが出たんけど、偽物らしいわ。無視したらいいみたい。
ほー。
出た出た。こんなときには、
よっ 待ってました!
名人!
3代目!
たっぷりと!
心の中で、大向こう(おおむこう)さながらに声をかけてみることした。
きっと、「待っていたとはありがてぇ」と夫の気分もますます盛り上がるってもの。
そもそも自分と同じ反応をしない、価値観が違う。そんなところがあるからこそ夫婦は面白いし、飽きないのだろう。圧倒的に価値観を広げてくれる、ありがたき存在。やっぱりさっぱりあっさりが一番落ち着いて安らぎを覚えるもの。
そんな夫とは対照的に、息子はこちらの予想をはるかにこえた反応をする。
食べたかった素麺をたべると、一口ごとに「う~~ん最高だよ~!感動する~!」
私に月一の生理がくると、「おめでとうっ!!」と拍手喝采。
そんな息子に夫のどこが好きかを尋ねると、「なんかスキ~♡」
そうそうそうなんよね。好きに理由はない。なんかスキ。でもイヤ。好きと嫌いは表裏一体。
「見て~カバンとクッションつくってん♪」
チョンチョンチョン…
今日も附打ちの打つ拍子木の音とともに、幕が上がる。