【異動者のマネジメント①】数字で物事を把握する重要性
前回までは営業からマネジメントに役割が変わり、気づきを3回に分けて言語化してきたが、今回からは「異動」をテーマに自らの今年の言動を棚卸し言語化することで数回に分けて汎用化、体系化を試みていきたい。
苦労しながらも、超充実した1年を送ることができたと感じたのはRの風土や素敵な仲間、上司に恵まれたからだろうなと感じる。
0.異動することの意味
過去10年間、教育業界に身を置き首都圏や九州エリアで営業、企画、マネジメントに従事してきた。
今年の4月同会社の人事で旅行業界への異動が決まり同じ会社だが異なるプロダクト、異なる業界へのチャレンジが決まり早10か月が経つわけだが「異動者」のマネジメントと観点で前回までと同じく記載できる範囲(抽象度を上げて)で備忘録としてまとめていきたい。
結論として異動して今感じていることは、「ビジネスパーソンとしての価値が間違いななく上がる」ということです。
価値とは「どれくらい役に立つのか」という程度、と定義しているが、異動したての頃、価値≒valueが発揮できなかった(ように思う)。というよりどのようにvalueを発揮するのかわからなかった。
なぜ、そう感じたのか?以下言語化していくが、明確なのは「これまでの成功体験は通用しがたい」ということ。
旧組織、旧業界、そして営業やマネジメントで成果を出してこれたのは、あくまで積み重ねの結果であり、現場で寝技含めて力技でやり抜いてきた要素も多く、汎用化までは昇華できていなかったのだと痛感した。
そう前置きをしたうえで、異動するということは以下3点が重要である。
自分の強みと弱みは何かが明確になる
抽象度の高い世界で勝負する必要がある
失敗体験から学ぶことを恐れない
上記3点については、頭ではわかってはいたのだが実践することの難しさも痛感。変化の必要性や事業を推進する上で抑える要点が異なるという気づきを得たことは、ビジネスパーソンの価値を最大化できるきっかけになったと感じた所以である。(当然進行形)
それでは、1つ1つ言語化していく。
1.自分の強みと弱みは何か
まずはこの問いについて。
これまでのマネジメントのやり方だけでは物足りなさがあり、通用しない点があることはすぐにわかった。
メンバーとの対話からありたい姿を作り、一緒に戦うというやり方を強みとし「組織として」向かう方向性の明確化と戦闘力を高めるマネジメントを実施してきた。↓過去ブログ
しかし、異動してきて重要なのは、ボトムアップ(メンバー起点)ではなく、トップダウン(経営起点)である。抽象の世界で物事を判断しないといけない。
もっと丁寧にいうと担当する顧客と業界、MKTによってマネジメントのやり方は変わるのだが、重要なKSFは「意思決定のスピード」だがこのスピード調整に苦戦したと感じている。
これまでのマネジメントでは、丁寧に対話という手法をベースに物事を進めていったので、スピードの遅さというデメリットがあった。
しかしその点は自分の経験と現場間、売り上げを創出するための具体戦術が明確にあったので多少のスピードの遅れはほとんど取り戻すことができた。
現場でのファクトを積みかさね、判断していくやり方でこれまで大手もリテールも対峙できてきたのは、業界の知識や現場力、ファクトや人脈があったからであり、異動してきたタイミングでは当然右下のセグメントでは戦えない。
ともすれば、右上の経営層×定量で戦うことが重要なのだが、具体的な言葉で表現すると重要な数字(変数)で物事を判断することができるか否かが肝。
これまでもデータ分析など行い、財務を数字の見立ては好きだった。
しかし複数且つレベルの高いmissionを受け持った時、複数の数字(変数)を見立て、しかもわからないツールを活用しながら物事を力強く進めていくというのは未経験であり、弱みとなった。
異動しないとわからない自己分析だったと感じる。
2.抽象度の高い世界で勝負する必要がある
汎用的なマネジメントとは何か?
それは数字で現状把握を行い課題設定および打ち手を構築し、さらには推進と振り返りを一貫して行えることである。
現場から離れるほど、現場間は欠如することは真理。
そして現場感を大事にしたマネジメントをすると、異動や経営層になったときに悩む、ということを気づけたのは異動をしてから。
何もかも現場力が通用しない経験をしたからこそ数字で物事を把握し(具体)、成果を出すためには何が大事なのか(抽象化)を判断しないといけない。
というかそうしないとやっていけない(笑)
バイブルの本ですが、図57にスタートポイントの抽象度と最終成果物の自由度の関係という構造図がある。
私のような新参者が図の右側のような現場・打ち手ベースでの物事を考えるとoutputが筋悪なものになる。だからこそ、管理する上で大事なことは数字で具体を抑えることであり、そこからの法則や仕組化をつくること。
以下、重要だと感じたことをまとめます。
何が起こっているのか?はヒトではなく数字で把握(具体のファクト把握)
違和感のある数字を特定したら、何が起こっているのか?パターンと法則を見つける(抽象化)
そして課題を言語化し、解決のための仕組みを検討(効果的な課題設定)
そのあとに、具体的な打ち手を判断する(具体の打ち手)
つまりは、具体→抽象→具体
って感じでしょうか。まず具体を把握する際に、●●が言っていた、とか▲▲という気がする、という状況だとファクトの弱さしかない。
この弱さの脱却方法は2つで、1つは数字で判断すること。これは上司やお客様へ会話するときもストレスがない。定性や感覚だと本当?となる。
もう1つは、自分で具体を抑えに行く。結局以前自分がやっていたやり方なのだが、やっぱりこれしかない。人に任すのではなく自分で情報を取りに行くのです。二次情報ではなく、自ら情報を取る一次情報でファクトを強化する。ただ、2つ目は時間がなくなる…というデメリットもあるので、やはり数字でファクトを抑えることが何より重要なのだと思う。
ちなみに数字化されていないファクトはおそらくまだ甘く思考を深めて、何が数字化できるのか?を考えていかないといけない。
具体と抽象のおしどころを間違えると成果は本当に出ない、というのを異動し3ヶ月目に感じた。
抽象度の高いマネジメントが異動者の勝ち筋である。
というか前述したように、ここでしかvalueは発揮できない。具体のマネジメントをしても時間がかかりスピードが遅くなる。そして決めの問題で、自分よりも各論を持っているメンバーを信じて、いかに任せることができるのか?という判断が求められる。数字で具体を把握し、課題設定のための共通項を探すこと。
3.自分が陥った失敗体験
という自分も、失敗をしたからこそ言語化できているという経緯もある。
メンバーや顧客に思考が向いていた私は、各論を抑えるための同行や社外顧客との接点強化に力を入れていた。
当然どのセグメントも大事なのは言わずもがなで、人によってどこに時間と投資し勝負をするのか、が成果を出すための論点だと整理しています。
というはスキルやスタンス、また社内の環境やMKTの状況によってもマネジメントの在り方が変わる。自分の場合は上述したように各論に不安がありすぎてB<Aに注力をした結果、抽象<具体に時間を投資することになる。リテールの営業であれば正しいかもだが、大手担当だとすると社内の中長期戦略のための論点整理にもっと時間と投資すべし。
また、命題にもどるが異動した場合、AかBかで軸足を決めるのだが、マネジメントレイヤーでの異動の場合はもしかするとBで時間を使った方が成果は出やすいかもしれないと考えている。
なぜかというと、経験のある既存メンバーの営業には知識では勝てないのでAは任せてしまった方がいい。しかしBだとこれまでの経験が生きる可能性が高いし各論(数字)を把握したうえでの仕組化がメインの仕事と定義すると、異動しても割とvalueを発揮できる可能性が高い。
違う言い方をすれば、ここが勝負すべしのセグメントなのかもしれない。
※営業での異動の場合は、おそらくAが勝負のポイントである。(圧倒的に量をこなす)
数字という具体、数字から導き出せるパターン、そして仕組化。
中長期視点で論点整理、リレーションではなく戦略立案。
このあたりが異動しての重要なキーワードではないか、と。
4.とはいえ人を大事にできるか
ここまでが、異動しての気づきの整理なのだがとはいえ、私の場合は人に恵まれました。一緒に働くメンバー、そして上司、企画職の方々、顧客。
みんなから支えられて今がある。何人もの仲間に話したけど、人がいい…
これはアンコトラブルな世界ではあるが、重要な要素。
数字、ロジック、抽象化、ソリューションはたしかに重要テーマなのだが、そのこだわり同等以上に、そこにいる人をいかに大事にできるか?
ここを疎かにしたら、どれだけ筋良しな論を立てても人がついてこない。結局、要はヒトとコトのバランスなのだが、協働することができないと意味がなし。
私はそもそも人に関心があり、1度きりの人生において関わる人とコトのターニングポイントになりたいと思っている私は、一貫してメンバーとかかわる方々を大事にする!と決めて仕事をしている。
工数をかけてしまうので自走を念頭に仕事の設計をしないといけないのだが、異動してわからないことはわからない。その中で、パズルのように助け合えるか?が組織として重要なのだと考えるとき、情報弱者の自分が学ぶスタンス、協働するスタンスがないとうまくいかないと思う。決して傲慢になってはいけない。なる必要もない。
そこにいる人にどんなプラスの要素を提供できるのか?引き続き考え続けていきたい。急速に成長するしかない。
5.次のチャレンジのテーマ
自分が何をすべきなのか?
異動したからこそできることは何なのか?
が少しづつわかってきた中、成果(output)にこだわっていきたいと考える。
やるべきことでは、優秀なメンバーに恵まれ成果が出た1年だった。
しかし、俯瞰するとこれまでの当たり前、では通用しなくなっている日本社会、ビジネスの世界。
違和感を感じたら論を構築し積極的に議論をしていく。ただいきなりは難しい…
言語化、思いついたことを言葉にすること、を大事にしコツコツ仕事に臨んでいきたい。
これまでの自分の強みと、異動してわかった複雑な数字・論・抽象の世界という自分の課題。この掛け合わせができると改めてvalueが発揮できるようになる(はず)
というのもマネジメントの幅、引き出しが増えると考えているため。
異動することによるメリットは強みと弱みが明確化し、成長する観点が具体的にわかることです。デメリットはこれまでの成功体験がアンラーニングされ、優位だった現場の具体の情報が生きなること。
ただ、個人的な意見、感想としては人として成長を求めるのであれば環境を変えることは、VUCAな日本社会だからこそ必要だと思う。
業界をフラットにみれるからこそ、たくさん意見をしていく1年にしていき新商品や論設計など1つでも多く作れるような存在に成長していきたいと思います。
2023年もありがとうございました。2024年もよろしくお願いいたします。以上で①を終了します。
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