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只見線のあるまちにて2021/04/19
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今日はどうしても行きたいところがあった。それは只見線で50分ほどのところにある柳津の福満虚空藏菩薩圓藏寺である。自分は寅年生まれであるが圓藏寺は丑年寅年生まれの守り本尊だからである。それに加えて桜が満開だとサイトに載っていたので、これはどうしても行きたい、いやいかねばならぬということで、用事があったのをキャンセルしてまでして行くことにした。出発はいつも会津線でも利用している西若松駅である。さて、どんな小旅行になるのか楽しみである。ではいってみたい。
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現在、西若松~会津若松間は只見線、会津線共用部分であるが、正確には会津線が西若松から先は乗り入れるという形になっている。じゃあ、西若松駅は只見線か会津線のどちらのものなのかと長い間疑問に思っていたところ、夕方の只見線が一日に一度だけ使用する一番ホームに写真のような横断幕が掲げられていた。これを見ると西若松は只見線、すなわちJRのものと思われるが正確なことは駅員さんに聞いてみないとわからないと思う。
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そうこうしてるうちに、見出し画像の通り列車が入ってくることを知らせる電光掲示板が点き音楽が流れると、ゆっくりと会津若松方面から只見線がやってきた。上下線とも只見線は2番ホーム、会津線は3番ホームなのでわかりやすい。ちなみに1番ホームは只見線のホームだが後ほど紹介したいと思う。
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昨年、只見線がキハ40からキハE120に変更になってから2度目の乗車だと思うが、シートアレンジなどキハ40時代とは大きく異なる部分もあって興味深い。後ろの運転席をのぞける場所まで行って何キロくらい出るのか確認したかったが、それは子供っぽすぎるだろうと思い、すぐにやめることにした。
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席を確保したかったが、コロナの影響で対面4座席シートも、対面2座席シートも一人で座るのがマナーらしく、乗ってる人がみなそうしているのを見ると、ちょっと失礼してなどと気軽に座れる様子もない。仕方ないのでドア付近で外をみながら立っていることにした。
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雪国らしくドアには開閉ボタンがついていたが、コロナの影響で停車した際には、すべてのドアを開けて換気をするようにしている。そのためボタンを押さなくてもドアは自動で開くが、間違ってもドアに寄りかかってはならない。
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そんなこんなでドア付近に立っていたが、西若松から二駅の会津高田で降りる女性がいた。バスだったら会津若松市内から1時間に1本は出てるのに、なぜ本数の少ない只見線に乗ったのか理由が見当たらない。でも、こういう人がいるから只見線は営業を続けられているのかもしれない。
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席が空いたので進行方向左側のシートに座ることにする。会津高田で降りる客がいたが、次の根岸でもまた降りる客がいた。しかも学生さんらしき風貌。なんだって、こんな午後2時前に学生さんが乗っているのか理解できなかったが、他にも学生さんが乗っているようで、今日は何の日だったかと考えてしまった。
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以前書いた通り、会津若松市内の自宅から自転車で会津坂下までいったことがあることを書いたが、その時も駅前の大俵に目が行ったが、ホームに止まっても広告は大俵である。その時も書いたが会津は会津美里と会津坂下の二か所で正月に大俵引きが行われる。行ってみたいのだが自転車では行けないと書いたが、只見線でもバスでも来る方法はいくらでもあるだろうと、自分にツッコミを入れたくなる。
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会津坂下では上下線のすれ違いのため数分待たせられる。すれ違う只見線を撮っていて思ったが、いくらなんでもコロナのため対面4座席を一人で独占できるとしても、物を置いてまで主張することもなかろうにと思った。
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会津坂下の次の塔寺ではホームの窓になにか貼られているなと思ったところ、なんと熊出没注意の張り紙。会津若松市内でも熊が出るくらいだから、盆地を抜けて山に入ってきた塔寺あたりでは、熊の一つや二つ出てもおかしくないだろう、そう思って張り紙をカメラに収めることにした。
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柳津が近づくと、いてもたってもいられなくなって、運転手の後ろまで行って眺めてみることにした。小さい子供でもないのにと思ってはいるのに、こればかりはやめられない。
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会津柳津が近づいたようで、電光掲示板にその文字が表示されアナウンスも流れる。以前電光掲示板はカメラで撮影する場合、シャッタースピードに気をつけないと文字がかすれてしまうというのをタモリ倶楽部か何かで見たが、家に戻って確認したところ確かに文字がかすれていて、タモリ倶楽部やるなと思ってしまった。
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柳津に到着して切符を車掌さんに渡そうとしたら、車掌さんが降りてこない。とりあえず使用済み切符入れに入れておこうと思いそうしたが、西若松で乗るときも駅員さんがいなかったし、これじゃあ無銭乗車されてしまうのではと、ちょっとばかり心配になった。
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駅を出るとタクシーが待っているのはいつものことで、ご苦労様ですの一言でもかけたい気持ちになるが、客だと思われても困るので、とりあえず駅の写真撮ってますという感じの対応をしてみたが、タクシーの運転手は困るでもなんでもなく、気にせずに呑気に客を待っていた。
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先ほども書いた通り、圓藏寺は今年来年と丑年寅年の守り本尊であるため、丑寅まつりとやらが行われている様子。だが特に変わったこともなく、桜が咲いているとはいえ、平日はこんなもんだろうと思うくらい只見線から降りた客も少なかった。
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いつもミニやダイハツミゼットなどの興味をそそる車を家の横に停めている家があったが、どうやら芸術関係のかたの仕事場のようだった。確かに丑寅まつり、十三講参りなどの圓藏寺のイベントの他に、斎藤清のポスターまで飾ってあるのを見て、どんな芸術家が仕事をしているのか気になった。ダイハツミゼットのフロントのスペアタイヤのキャップが、アルファロメオのものだったので普通の方ではないなと思っていたのだが、やっぱり芸術家らしいなと思った。
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いつもなら行列のできるあわまんじゅうで有名なお店だが、今日は平日お客さんがいない。一組お店から出てきたと思ったら、お店の写真を撮っている様子。もっといつもなら蒸気も勢いよく噴き出しているのにと思いながら、早くコロナが収束することを祈ってこようと思った。
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あわまんじゅうの店をすぎると老人が坂道を歩いてきた。後ろ手に持っているのは回覧板か、その手のたぐいのものと思われ、隣の家に置きにいくのだろう。坂道をご苦労様です、そう思いながら自分も最近右足が痛くて歩きにくいのを思い出した。
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会津は酒蔵も多く地酒もたくさんあり、昔地酒の名前の入った一升瓶の通い箱をカメラに収めたことがあるが、この看板以外にも有名な地酒はある。カメラといえば会津若松市内にある末廣の嘉永蔵は、アンティークカメラの展示も行っているようだが、ちょっとばかり気が引けてまだ行けないままになっている。
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会津の郷土料理のところに赤ハラの甘露煮とあるが、赤ハラとはウグイやハヤの別の呼び方で、ここ柳津では赤ハラと呼んでいるようだ。観音様だか何かを彫っているときに出てきた木くずを川に流したら魚になった、そんな言い伝えもあるようだが、本当かどうかはわからない。
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この通りにはあわまんじゅう屋が数件あるのだが、昔学生時代の先輩が郵便物を送るときに、「杉玉のある酒屋の隣のアパートなんたら」で出したら、きちんと届いたと喜んでいたが、ここ柳津ではあわまんじゅう屋の隣では通じないだろう。
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インターネットの桜の情報サイトでは、柳津が満開になって数日しかたってないが昨夜から朝にかけての風のせいか、だいぶ花びらが落ちている。やっぱり「いつまでもあると思うな桜と紅葉」は正しいんじゃないかと、自分一人納得している。
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圓藏寺の参道は急な坂道になっていて、右ひざの痛い自分にとっては、ちょっとばかり苦労する。でもがんばってのぼらないとお祈りができない、そう思って頑張ってみることにする。
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コロナのせいか撫で牛を撫でている人はいない。と言うよりも、こんな平日にお寺参りしているほうが不思議だと思う。撫でられた牛は強く願かけられたところが、すり減っている。自分と同じ足の膝という人も多くいそうだ。
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撫で牛を撮っていると後ろを子供と祖母をつれた母親に出会った。子供の手をつないでいるようで、祖母までには手が回らない。そんな祖母のために自分が撫で牛の足を撫でてあげよう、そう思った。
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本堂内は撮影禁止なので、外に出てカメラに収めることにした。真ん中の扉だけ新しいのは何かあったのだろうか、そう気になるのだが、ここは眺めのいいところで逆側の川沿いのほうへ眺めに行くことにする。
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赤べこは柳津が発祥の地で、大きな赤べこの親子が町内に置かれていたが、どこかへ貸したのだか見つからない。とりあえず、この小さな赤べこを撮ることで満足することにした。
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圓藏寺を開いたのは弘法大師ともいわれ、いろんな逸話が残っている。そのわりには弘法大師の像が本堂の裏のほうへ建てられていることに、もう少しわかりそうな場所でもよかったのではと思う。
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圓藏寺の消防隊の建物には葵の御紋がついている。こんなところにまで付けなくてもいいのに、そう思いながらもカメラに収めておく。
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するなと言われるほどしたくなるのが人間というものかもしれない。落書き禁止の板切れにまで落書きをしようとする人がいる様子。もう少し自制心をもってもらいたい。
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観光地でもどこでも猫はいる様子。橋の上でであった白黒の猫が先へ先へと進んでいく。自分の行き先と同じなんだけどついていっても大丈夫だろうか、そう思いながらも足は猫のあとを追いかけていく。
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圓藏寺の川向かいにまできて眺めてみると、桜はそれほど多くない様子。望遠を使うか悩んだが、全体を収めたいということで標準にしておく。
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只見線の上りまで1時間ほどあったが駅前のSLを撮りたいこともあり、圓藏寺をあとにして柳津駅へと向かう。駅前に座っている人がいたが、こちらを気にしている様子もなく、一枚だけカメラに収めさせてもらった。
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SLと桜のデュエットもいいものだと思いながら、カメラに収めようとするもの真っ黒と真っ白で露出が安定しない。まあ現像するときいじればいいさ、そう思いながらカメラに収めた。
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今時公衆電話というだけで懐かしいが、見てほしいのは電話ボックスの基礎の部分。雪がだいぶ降るだろうから、そんなとき埋まらないように敢えてかさを増しているのを見て、ふと実家のほうのことを思い出した。
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SLとバスが一緒に並んでいると、なんだか役目を果たしたものと、役目を引き受けたものの感じがして、ちょっとばかり悲しみというか、なにかそういうものを感じてしまう。
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柳津にはあいづが隠れている。何だかそう感じてしまうのは、柳津をローマ字で書くとYANAIZUになっているからだ。本当はYANAIDUじゃないのかなと思ってしまうこともある。
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只見線の上りが来る時間になってホームで待っていても、さっきのSLのことが頭をよぎった。あと一枚だけ・・・そう思いながらホームの端まで行き、またSLをカメラに収めた。
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只見線は時刻通りにやってきた。さっき乗ってきたのとは違い席も空いてる様子。席について一息つくと車掌さんがやってきたので、西若松までの切符を発券してもらう。
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会津坂下と会津高田で高校生の集団が乗ってきて、車内は田舎としては密と言える状態。会津本郷は高校がないので降りる人だけ。いつもは駅でカメラを構えて待ってるのに、今日は車内から窓越しに撮影するのに少しばかり違和感を感じた。
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只見線は西若松の1番線に着いた。このホームはこの列車だけが使う特別なホーム。坂下、高田で乗った高校生がぞろぞろと降りていく。車掌さんは定期を確認するのにてんやわんや。自分は写真を撮りたいばかりに、最後になって車掌さんのところに行き切符を渡した。
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西若松も自分が高校生だった時とだいぶ変わったなと思い、昔を思い出して少しばかり懐かしんでみた。駅前の駐輪場に停めていた自転車の場所が変わって行って少しばかり焦った自分がいた。さて、家に帰って夕食でも食べようと思った。