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ベースボールクラブの思い出 その弐

初めての社会人野球

高校は推薦で入学できたものの、進学はあまり考えていなかった人である。

いわゆる『就職氷河期』と言われる時代に就職した。

とりあえず、野球部がある会社に入社したかった。

その思いもかない『野球部』のある会社に入社した。

もちろん、野球部に入った。

僕が務めていた会社の野球部は『兵庫県軟式野球連盟』に加入していた。

なので、国体や高松宮賜杯、天皇杯など勝ち上がれば全国に行ける状態であった。

A級~C級までランクがあり、A級が上位のランクになる。

B級の野球部であった。

入部して気が付いたのだが高校野球経験者が4人くらいしかいなかった。

それでも、昼休みとか練習していたりしていた。

グラウンドもあったので。

それなりに楽しいチームではあった。

空白の1年数か月

就職して1年目の1月、連休明けの初日PM4:00頃、事故を起こしてしまった。

利き手左人差し指先端のプレスによる挫滅である。

一瞬であった。

何気なくプレスの間に指を入れてしまった。

手を引いたのだが遅かった。

指の先端がなくなっていた。

人間という生き物は不思議な生き物であり、自分の想像を超える出来事が起きると、それを受け入れることが出来なくなるものである。(僕だけかもしりませんが・・・)

夢かとおもった。

ほとんど痛みもなっかた。

脳内麻薬が分泌されていたのだろう。

周りの従業員たちの顔色も青ざめる・・・。

騒ぎになったものである。

病院につれていってもらい、縫合してもらった。

野球と仕事が完全に終わったと思った。

根性があったので、次の日も出社した。

普通に仕事はできませんでしたけど。

最初は、それなりに周りの人達に優しい言葉とかかけてもらっていた。

同情してもらっていたのだろう。

3ヶ月くらい経過すると、『仕事がまともにできない、役に立たない人』になってしまうものである。

指の先端を失って最初に思ったことは『野球ができなくなるのでは』と思ったことである。

仕事はその次であった。

『どん底』に落ちると必然的に未練のあることが頭をよぎる。

指の先端を挫滅してから、自暴自棄になっていたものである。

髪の毛も金髪であった。

どうすればいいのかわからなかった。

仕事も野球にたいしてでもある。

先もみえない・・・・・。

投げやりになっていた。

ある時である。

当時の工場のトップが仕事中に僕に会いに来てくれて、励ましの言葉をかけてくれた。

今思えば恩人のひとりである。

彼の言葉がなければ完全に社会人として終わっていただろう。

何を言われたか、あまり覚えていないのだが、僕から自然に出た言葉が「とりあえずがんばります」であるのは覚えている。

同時に自分が起こした悲劇ばかりにこだわり、何にも行動していなかった自分に気が付いた。

『自力更生』の始まりである。

まず始めたこと

ウオーキングを始めた。

あまり、まともに指が動かなかったので。

毎日、30分以上ウオーキングを夜にすることにした。

2年は続けたであろう。

ウオーキングを始めて1ヶ月くらい経過すると地元の先輩(会社は違いましたが)で野球をやっている人も『ウオーキング仲間』に加わってくれた。

2人の先輩である。

毎日、PM8:00に待ち合わせをし、一緒に喋りながらウオーキングをしていた。

歩いた後は、自動販売機のある、お店の前で野球について語りあったものである。

どうでもいいのだが、不審者と間違えられて警察が、僕たちに職務質問してきたこともあった。

不審者でないことは容易にわかってくれた。

1年後くらいには指の包帯もとれた。

関節が残っていたことが唯一の救いであった。

その半年後

キャッチボールをしてみたのだが、指の感覚がない。

当時、会社の昼休みにキャッチボールをしてくれる仲間がいた。

彼も野球好きだったのだろう。

よく、野球の話をしたものである。

そうして、指先の感覚あまりないままで試合を迎えることになった。

復活戦

大体の大会が1日2試合あった。

2試合目に登板することになった。

相手は、2部ではあるが全国に行ったチームである。

結果2-0で負けたのだが、そんなことはどうでもよかった。

投げれたことが素直に嬉しかった。

結構、指先が痛みましたが・・・。

最後に

この経験がなければ、真剣に軟式野球に取り組まなかったのだろう。

中途半端な人間で終わっていたともいえる。

もう、会社を辞めたので関係ないが、会社にあったグラウンドも駐車場にかわっている。

野球人口も、ここ数年の日本をみても減っているのではないかと思う。

今年はオリンピックが中止になった。

スポーツに対してやる気のなくなった人達も少なからずいるだろう。

あきらめかけている人も・・・・。

僕は、ただの一般市民である。

スポーツの分野なんて僕より才能を持っている人なんて沢山いるだろう。

余計なお世話かもしれないが、諦めないでほしい。





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