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「ハワイ、終わりなき代償―タイムシェア後悔の涙」視聴者さんのお便りをもとに朗読再現
コロナ禍を境に、私たち夫婦のハワイ旅行は途絶えてしまった。40代という働き盛り、子育てにも忙しい日々が続く中、毎年必ず行けると信じていた南国の楽園は遠い夢と化していた。にもかかわらず、タイムシェアの管理費だけは容赦なく請求され続ける。年々上がるその費用が家計に重くのしかかり、ため息が絶えなかった。
「こんなはずじゃなかったよな……」
ソファに座りながら夫がぽつりと呟いた。その言葉に私も心の奥で同意せざるを得なかった。目を閉じると、ハワイでタイムシェアを契約してしまったあの日がまざまざと蘇る。
初めて訪れたハワイは、それはもう眩しい場所だった。エメラルドグリーンの海、陽気な現地の人々、香ばしいガーリックシュリンプの匂い――すべてが非日常で、心を奪われるには十分すぎる景色だった。リゾートホテルで過ごす優雅な時間に私たちは酔いしれ、夢見心地のままタイムシェアの説明会に参加した。
「この物件なら毎年素晴らしいバケーションが保証されています。今契約すれば特別割引もありますよ!」
営業担当者の笑顔に背中を押されるように、私たちはその場で契約を決めてしまった。冷静になれば、管理費や渡航費など現実的なコストが頭をよぎるはずだった。しかし、その時の私たちは夢と期待に浮かれていた。
「あの時の自分たちに戻れたら、全力で止めるのに」
私は心の中でそう叫びたくなった。コロナ禍が訪れるまでの数年間は確かに楽しかった。子どもたちもビーチではしゃぎ、夫婦で夜の街を散歩することもあった。しかし今、その思い出が重い負担と化している。
「もう手放すしかないかな……」
夫の言葉に、私は涙が溢れるのを止められなかった。手放すことが現実的な選択であることは分かっている。それでも、あの楽しかった日々を否定するような気がして辛かった。
「ごめん、俺が無理に契約しちゃったせいだな」
「違うよ。あの時は二人とも幸せだったんだもの」
涙声で返す私に、夫は静かに頷いた。過去の決断を悔やんでも、時間は戻らない。それでも、これからの家族の生活を見据えて前に進むしかないのだ。
翌日、私たちはタイムシェアを手放す手続きを始めることに決めた。管理費に縛られた生活から解放されるために、そして新たな形で家族の幸せを築くために。
ハワイの青い海はもう遠い場所になってしまった。しかし、その思い出は私たちの中でいつまでも輝き続ける。涙を拭いながら、私は少しだけ未来に希望を感じていた。
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