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「車でお遍路(御本尊)」 聖観世音菩薩とは

自身の体験談として、お遍路で結願をしたものの「もっと御本尊の知識があればなぁ」との後悔もあり、自身のため、そしてこれからお遍路を計画している方のために「御本尊」についてまとめてみました。

お遍路がより有意義なものになることを願っています。

はじめに

お遍路の札所には、必ず本堂に「御本尊」、大師堂に「大師像」が祀られています。

その御本尊は、札所により異なっているため、本堂で読経時に、祀られている「御本尊」のご真言※を唱えます。

※ご真言とは
仏さまの真実の言葉。
ご真言を唱える場合は、サンスクリット語の発音を唐で漢字にして日本語読みでそのまま発音するため呪文のように聞こえる。
声に出して唱えることで、御利益や功徳をが得られるという。

弘法大師は、仏教を広めるにあたりこのご真言の大切さを一番に考えたからこそ開創した宗派を「真言宗」と命名したのでしょう。


それでは、「御本尊」ごとに、特徴をお伝えします。

これまでは、すでに悟りを開いた「如来」でしたが、今回からは如来になるべく悟りを求めて修行中の身である「菩薩」をお伝えします。

では、先ずは三十三種に変身する観音様の原型である四国霊場5札所が祀っている「聖観世音菩薩しょうかんぜおんぼさつについて。


聖観世音菩薩しょうかんぜおんぼさつ

名称

聖観世音菩薩は、梵名「アーリヤ・アヴァローキテーシュヴァラ」

観音菩薩かんのんぼさつ
正観音菩薩しょうかんのんぼさつ

観世音菩薩かんぜおんぼさつ
観自在菩薩かんじざいぼさつ、などとも呼ばれている。

聖観世音菩薩は、本来は観音菩薩のことであり、変化観音菩薩である三十三応現身区別するため「聖」「正」を付すことが多い。
世音」自在」は、翻訳上の解釈の違いによるもの。


特徴

観音菩薩の住処である浄土補陀落山ふだらくせん

七難※や苦しみに遭遇する人々を救うため、三十三応現身さんじゅうさんおうげんしんというあらゆる時と場所に応じて臨機応変に33種の様々な姿形に変身して、その願いの声を聞き入れてくださいます。

※七難:火難、水難、羅刹難、刀杖難、鬼難、枷鎖難、怨賊難

本来は、男性と考えられてきたが、美しい女性の像もあるためジェンダーフリートの解釈となり、日本で広く信仰されている。


お姿

顔は一面、腕は二本(一面二臂)と人間とほぼ近い姿、菩薩の基本形。
釈迦が出家する前のインド王子だった頃のお姿なので、帯状の長い布の着衣に宝冠や首飾りなど豪華な装飾品を身に纏う貴族の優美なお姿

には水瓶すいびょう蕾の蓮華を持つのが一般的で、宝冠化仏けぶつ(阿弥陀如来の化身)という阿弥陀如来の小像が配されているのが特徴。

聖観音菩薩の一般的なお姿

「観音菩薩」は、単独で祀られることも多いものの、
「阿弥陀三尊」という安置方式で阿弥陀如来の左脇侍ひだりわきじとして「慈悲」を現す化身として「観音菩薩」右脇侍には「智慧」を現す化身として「勢至菩薩」が祀られることもある。


ご真言

おん あろりきゃ そわか


ご利益

迷いや苦しみや災難から救いを求める全ての人に手を差し伸べる現世利益げんせいりえきの仏さま


四国八十八箇所霊場で聖観世音菩薩を御本尊とする札所

・37番岩本寺 ・69番観音寺 ・83番一宮寺 ・85番八栗寺 ・87番長尾寺


さいごに

「菩薩」は、如来になるべく悟りを求めて修行中の身であり、
中でも「聖観世音菩薩」三十三種に変身する観音様の原型で、インドの王子だった頃の華やかでより人間に近いお姿

人間に近い仏さまであるが故に、自分と重ねて親しみが湧きます。

聖観世音菩薩は、女性的な柔和で優しい穏やかなお顔でありながら、あらゆる時と場合に応じて臨機応変に三十三応現身さんじゅうさんおうげんしんと三十三種の様々な姿形に変身、七難や苦しみの声を聞き入れてくださるというのが嬉しいですよね。


※ヘッダー画像は、第87番札所長尾寺の御本尊を描いた御影おすがたです。

【参考】
・高野山霊宝館
・Wikipedia
・Discover Japan
・文化庁、他

合掌

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