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【簡単】肉巻き茄子の照り焼き×「純米吟醸 義左衛門 にごり酒」~日本酒ペアリング研究会 報告書No.11~

※「日本酒ペアリング研究会」は、日本ソムリエ協会が認定する日本酒・焼酎のソムリエ資格「SAKE DIPLOMA」を持つ筆者が、ご家庭でもできる料理と日本酒の合わせ方を提案する企画です( ˘ω˘ )。
ついでに日本酒は三重の地酒を中心に取り上げ、料理で使う食材はほとんど三重の地物食材です。料理のレシピも詳しく解説していますので、ぜひお読みください( ˘ω˘ )。


〇はじめに

 こんばんは( ˘ω˘ )。
 日本酒と家庭でできる料理のペアリングを考える「日本酒ペアリング研究会 報告書」の第11回でございます。

 夕方の気温が少し下がったような気がしますし、この月末は雨予報が続いています。そのため、そろそろ秋なのかな~と思う反面、それでも10年前はもう少しぐらい涼しかったような気がしますね。

肉巻き茄子の照り焼き×「純米吟醸 義左衛門 にごり酒」

 それはともかく、夏から秋にかけての野菜と言えば、やはり茄子。煮ても焼いても揚げても美味しいので、とても便利ですよね。今回はそんな茄子を使って「肉巻き茄子の照り焼き」を作ります( ˘ω˘ )。おかずに、おつまみに、そしてお弁当や作り置きにも使える一品かと思います。

 お酒は若戎酒造さんの「純米吟醸 義左衛門 にごり酒」を選びました!

 それではさっそくやっていきましょ~( ˘ω˘ )。


◯材料と作り方

◇材料(2人分ぐらい)

茄子         3-4本(大きさによる)
豚バラ肉       200-300g
塩          適量
胡椒         適量
煎りごま       適量

<照り焼きのたれ>
醤油         大さじ2
酒          大さじ2
みりん        大さじ2
砂糖         大さじ1

 この配合だと、個人的には辛口でちょうどいいです。「醤油:酒:みりん:砂糖=2:2:2:1」を基本に、甘口・辛口は砂糖の量で調節します。そのほか、鶏肉・ブリ・サワラなどの照り焼きにも使えます。


◇作り方

1.茄子を切る

 先端部分だけを落として…


 残ったヘタは、手で掴んでぐるっとまわしながら引っ張れば取れます。

 綺麗に取れました。

 また、特に台風のあとは、皮の一部が茶色く硬くなっていることがあります。風で茎や隣の実に擦れて傷ついた場所がそうなるんだと思いますが、その部分をむけば美味しく食べれます。

 こんなかんじ。
 ちなみに、茶色く「柔らかく」なったものは傷んでます。そうなる前に食べましょう。


 その後、縦に4分割します。

細長い茄子(長ナスなど)は2分割でも。


1.5茄子のあく抜きはいらないと思う。
 一般的な丸ナスや長ナスなら、生で食べない限りはいらないです。あれはリンゴと同じく「ポリフェノールの酸化による変色」を防ぐために行いますが、醤油を使うなら色なんて関係ないですからね。あと、味も正直変わらないです。洗い物も増えますし。

 ただし、茄子の品種のひとつに「米なす」というのがあるんですが、あいつはアクが強かったですね…。あれはあく抜きしたほうがいいと思います。

 料理人 大西哲也さんが料理に関する諸々を検証する「COCOCOROチャンネル」にて、こんな動画があがってたので参考までに。



2.茄子に豚バラを巻き、全体に軽く塩コショウを振る。

 豚バラはちぎれない程度にひっぱりながら、きつく巻きましょう。

巻きはじめ、豚バラの長さが足りなくて途中から巻くときは、同じところを2周巻いてから巻き進めると良いです。巻き終わりも同じく。

 塩はかけすぎないよう注意!下味なので、薄く軽くかけましょう。揚げ物をするときに使う揚げかす取り網を使うと、比較的均等に塩を駆けることができます。

 胸の高さぐらいの位置で金網を持って、その上から小さじで少しずつ金網に向かって振りかけます。そうすると金網にあたって塩が散るので、ムラが出にくくなります。


 

3.豚バラを巻いた茄子を半分に切る。

 豚バラを一気に巻いてから切ったほうが楽な気がするのでここで切ってます。晩御飯のおかずにするなら切らなくてもいいですが、切ったほうがフライパンに並べられる数が多くなります。


4.フライパンに並べてコンロの火をつけ、弱火で焼いていく。


 フライパンをしっかり温めてから入れると、巻いた豚バラには十分に火が入ったのに茄子には火が入り切ってない…ってことになりやすいので、コールドスタートにしています。

. 豚バラにこんがりと焼き目がついたら向きを変え、全体に焼き色を付けます。イメージとしては、弱火でじっくり焼くことで豚バラの脂をしっかり出します。それによって豚バラ肉をカリっと仕上げながら、出た脂を茄子にしっかり吸わせていく…というかんじです。


6.焼いている間に、たれを合わせておく。


7.すべての面に焼き色が付いて茄子にも火が通ったら、余分な脂を拭きとってたれを入れる。

 豚バラはけっこう脂が出るので、いちどバットやさらに引き上げてから脂を拭いたほうがやりやすいです。

 脂を拭いたら茄子をフライパンに戻し、たれをまわしかけながら入れます。


8.全体に絡めながら、とろみがつくまで強めの中火で煮詰める。

 最初は泡が細かいですが、煮詰まってくるとひとつひとつの泡が大きくなります。

加えて、たれにとろみ光沢が出てきます。これが「照り」ってやつです。泡が大きくなって照りが出てくると煮詰まってきた合図なんですが、同時に焦げやすくもなるので注意してください。

ちょっと分かりにくいかも…

 あんまり煮詰めすぎてもしょっぱいので、これぐらいでいいかと思います。


9.皿に盛ってごまを散らして完成。

 ごまはなくてもいいです。



◯今回のお酒とペアリング考察 

肉巻き茄子の照り焼き×「純米吟醸 義左衛門 にごり酒」

今回は、この肉巻き茄子の照り焼きに若戎酒造さんの「純米吟醸 義左衛門 にごり酒」を合わせていきます。

◇お酒の基本情報とコメント

〇「純米吟醸 義左衛門 にごり酒」(三重県 伊賀市 若戎酒造)

「純米吟醸 義左衛門 にごりざけ」 表/裏ラベル

区分:純米吟醸
米:国産米 精米歩合60%
度数:17度
公式商品紹介ページ:

筆者のコメント:
<香り>
バナナ、メロンのような果実香が穏やか
ライムのような青い柑橘のような香り(きょうかい7号?)
炊いた米・蒸米のようなふくよかさ
月桂樹の葉のようなハーブ感もすこし
酒粕の香りもほんのり

 全体的にはふくよかで、特に口のなかでは余韻にまで米の香りが感じられる。ただ、上立ちには果実香も穏やかに感じられ、青い柑橘の香りがきりっとした爽やかさを添えている。

<味わい>
にごり酒らしいとろみある質感
ほのかな甘味とともにシャープなキレのいい酸味が広がる。
中盤からは厚みのある旨味が一気に広がる。
後半にかけてほのかな渋みはっきりした苦味があり、味わいの複雑さが感じられる。
その複雑な味わいが余韻まで長く続く

<総評>
 しっかりと濁りある淡いグレーがかった白い見た目で、細かい米のかけらも見える。上立ちの果実香から軽い甘口タイプのにごり酒を想像するが、ひとくち飲めば米の香りと旨味が広がるやや辛口タイプ

 しかし、キレのある酸味によってしつこさは感じられない。この酸味と旨味は、濃い味付けの料理にも負けずに合わせられる。

 加えて、しっかり冷やせばよりキレのある酸味が立って、質感もすらっとなめらかに。ぬる燗ではにごりの旨味と複雑な味わいをよりダイレクトに、そしてゆったり感じることができ、温度によって印象がかなり異なる。それぞれ、ワイングラスとお猪口で楽しみたい。



◇今回の料理との合わせ方

肉巻き茄子の照り焼き×「純米吟醸 義左衛門 にごり酒」

 「肉巻き茄子の照り焼き」は、かなりしっかりとした甘辛い醤油味があり、そこに豚バラ肉の旨味や脂、そして茄子の味わいや質感が合わさっています。そこで今回は、「純米吟醸 義左衛門 にごりざけ」が持つ「とろみある質感とほのかな甘み、米由来のふくよかな香りと厚みある旨味、キレのある酸味、苦み・渋みが合わさった複雑な味わい」に注目しました。

 まず品種にもよりますが、茄子はじっくりと火を通すことでとろとろになりますし、ほのかに甘味も感じます。これが今回のお酒が持つ「とろみある質感とほのかな甘み」という特徴によく似ており、うまく同調します。


 次に、豚バラ肉の旨味と醤油だれの味わいには、旨口の日本酒が持つ「米由来の厚みある旨味」を合わせて「旨味の相乗効果(増幅)を引き出しています。また、豚肉の焼き目や醤油だれの香ばしさは、やはりこの酒が持つ「米由来のふくよかな香り」によく合います。肉巻きおにぎりのようなイメージですね。これは補完効果が生まれていると言えます。果実香が穏やかで、料理と合わせると米の香りがより前面に出てくるので、香りが料理の邪魔にならないのもいいポイントです。

 さらに、このお酒の「キレのある酸味」と「渋み」は豚バラ肉の脂を中和してくれます。つまり脂の重さが抑えられて、より食べやすくなるということです。加えて、作り方の1.5でも少し書きましたが、茄子にはポリフェノールが含まれており、少し渋み苦みを感じます。それもまた今回のお酒の「苦み・渋みが合わさった複雑な味わい」に似ており、うまく同調する理由の1つかと思います。


今回のペアリング要素 相関図

 図にするとこんな感じですかね。全体としては、醤油・豚肉・米の相性の良さがより増幅されたように思います。

 皆様もぜひお試しください( ˘ω˘ )。


〇終わりに

肉巻き茄子の照り焼き×「純米吟醸 義左衛門 にごり酒」

 今回は「肉巻き茄子の照り焼き」に、「純米吟醸 義左衛門 にごり酒」を合わせてみました。この企画の初回も豚バラ巻きだったじゃねぇか!とどこからか聞こえてきそうですが、じゃっかん調理法はちがうので許してください(笑)。いや、だって簡単で美味しいですから。だいたいの野菜は豚バラで巻いて焼くなり蒸すなりすれば美味しくなります(笑)。
 ちなみに初回はこちら↓↓↓↓↓↓↓↓

 それはともかく、今回の合わせ方は焼きナスを食べた時に、たまたま「純米吟醸 義左衛門 にごり酒」を飲んだ時に思いつきました。にごり酒に野菜を合わせるイメージがなかったので、個人的にはかなり意外でしたね。そして、やはり「質感」という要素の重要さを改めて認識しました。実は「純米吟醸 義左衛門 にごり酒」はにごり酒じゃないスタンダードタイプもあるんですが、それを合わせるとまた違った印象になると思います。まだやったことないですが…。ちなみにその商品はこちら↓↓↓これも美味しいです。

 そういえば、公式の商品紹介ページでは、「純米吟醸 義左衛門 にごり酒」は餃子に合うそうですよ。やはり豚肉との相性がいいのかもしれませんね。今回の組み合わせに限らず、僕自身ももっといろんな合わせ方を試していきたいと思います( ˘ω˘ )。

 それでは、また次回お会いしましょう。
 素敵な日本酒ライフを~( ˘ω˘ )。



「日本酒ペアリング研究会 報告書」のまとめを作りました。
他のメニューとペアリングもあわせてお読みいただけると嬉しいです( ˘ω˘ )。

 本企画とは別でやっているエッセイ企画「淡い雲をとどめて」のまとめです。ぼちぼち書いていきますので、こちらもぜひに。


 

 

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