日中映像作品における陳宮の比較考察。
皆さん、三国志は好きですか?
私は正史も演義も好きです。今回は三国志好きの企画として、日中間の三国志映像作品を比較して行こうと思います。
これ、結構場面のピックアップが難しいんですよね、なぜならメジャー過ぎれば比較ができなくなるし、逆にマイナー過ぎればカットされるからですね、なるべく有名でメジャー過ぎない場面を選ばなくてはなりません。
武将文官君主、三国志キャラ個人的に好きなキャラばっかりなんですよね、特に好きなキャラと言えば、
董卓・献帝・何晏・曹植・甘寧・孔融·虞翻·是儀
なんかでしょうか、見事にマイナーですねw
いや、最近糞英雄陵辱ゲーに(最近ではない)あのキャラ出てたな・・・
そう、これもまたひどい扱いをされている
陳宮公台
が、よしじゃあ序盤の目玉である陳宮公台と曹操の問答で日中比較しよう!!と思いついた安易な企画です、ご照覧ください。
ちなみに原作原文だとこうです。↓
第十九回
下邳城曹操鏖兵 白門樓呂布殞命
徐晃解陳宮至。
操曰、『公臺別來無恙?』
宮曰、『汝心術不正、吾故棄汝!』
操曰、『吾心不正、公又奈何獨事呂布?』
宮曰、『布雖無謀、不似你詭詐奸險。』
操曰、『公自謂足智多謀、今竟何如?』
宮顧呂布曰、『恨此人不從吾言!若從吾言、未必被擒也。』
操曰、『今日之事當如何?』
宮大聲曰、『今日有死而已!』
操曰、『公如是、奈公之老母妻子何?』
宮曰、『吾聞以孝治天下者、不害人之親。施仁政於天下者、不絕人之祀。
老母妻子之存亡、亦在於明公耳。吾身旣被擒、請卽就戮、並無挂念。』
操有留戀之意。宮逕步下樓、左右牽之不住。操起身泣而送之。宮並不回顧。
操謂從者曰、『卽送公臺老母妻子回許都養老。怠慢者斬。』
宮聞言亦不開口、伸頸就刑。衆皆下淚。操以棺槨盛其屍、葬於許都。
日本語訳にするとこうなります。
下邳城に 曹操激戦し 白門楼に 呂布命を落とす
徐晃、陳宮を引き出しければ。
曹操、これに向かい「公台、相別れて恙なきや。」
陳宮答えて、「汝は心術正しからずや故に、吾さきに汝を棄てたり。」
曹操曰く、「吾を心正しからずとせば、何ぞ独り呂布に仕えたる。」
陳宮答えて、「呂布は謀なき者なれども、汝が詐多くして下を欺き、奸雄にして上を犯すがごときなし。」
曹操又言いけるは、「御辺は自ら智を頼み謀多き者なりというに、今遂に如何」
陳宮、傍なる呂布を顧みて、「恨むらくは、この人、わが言に従わず。もしわが言に従はば、未だ必ずしも虜にせられず。」
曹操、笑って言いけるは、「今御辺の身如何にせよと思える。」
陳宮、大音あげて、「今日ただ速に死せむのみ」といえば、
曹操重ねて「御辺は斯くの如くならむとも、老母妻子をいかにせむとするぞ。」
陳宮答えて、「吾聞く、孝を以て天下を治むる者は人の親を害せず、仁政を天下に施すものは、人の祀りを絶やさずとかや。老母妻子の存亡は、ただ明公の心の在らむのみ。吾身、既に虜になりし上は、願わくば速に戮に就かむとて、少しも心に挂くる様なければ。」
曹操、さすがに留恋の心起こりて、殺すに忍びざる気色なりしが、陳宮は直に歩して楼より下らむとし、左右これを引き留むれどもとどまらず、曹操身を起こし、涙を流して之を送るに、陳宮は見向きもせず。
曹操、従者に向かい、速に公台の老母妻子を悉く都にのぼせて、老を養はしむべし、怠る者は必ず斬らむと言うに、陳宮これを聞けども、亦た口を開かず、静かに頭を伸べて、刑に就きれれば、見る人、皆涙を流しける。
曹操、深くその志を憐れみ、棺桶を具えて其屍を収め、やがて許都に送って葬らしむ。
流れ的にはこうなります。
①徐晃が陳宮を引き出す。
②曹操が何で逃げたか問いただす。
③陳宮がお前の性根が汚かったからだ、呂布は馬鹿だがお前ほど奸計を弄しないという。
④曹操が今日の前の処遇はどうすればよいか聞く。
⑤陳宮ただ今日は死があるのみと答える。
⑥曹操がお前の老母や妻子はどうするのかと聞く。
⑦陳宮が天下の考を持った君主は親を殺さず、人を持った君主は跡継ぎを絶やさない、今身が処刑されるとも心残りが泣ければ幸いであると答える。
⑧この立派な受け答えに曹操が殺すには惜しいと思うも、陳宮は自ら斬首台に行く、曹操立ち上がって涙を流して見送る。
⑨曹操が老母妻子を許都に送って養わせ、怠る者は斬ると聞こえるようにいうも陳宮は黙って刑につく、周りの皆が涙する。
⑩曹操がその死を憐れみ棺桶を造り許都に埋葬する。
中国側作品
老三国
日本ではあんまりなじみがないですが、中国では知らない人の居ない1994年版三国志演義、今でも中国では今でも新三国といわれる2010年の三国志tkよりも愛されています。下のリンクからビリビリで当該シーンの抜粋を視聴できます。
セリフから場面からほぼ原作道理、素晴らしい、あと呂布の役者さんが私の中国人俳優で大好きな張光北さんなのもうれしいポイント、この役者さん国民党軍幹部とかよく演じてますがマジでぴったり合っててかっこいいのでみんな見てください!
この動画のタイトルにある通り、三国志10大感動、落涙名場面に選ばれたこのシーン、中国人もスキみたいですね。特に最後の階段を下りる陳宮が一度振り向くも口を開かないシーンとか感じさせるものがあり最高です。
新三国
陳宮との問答シーンは27:09~
日本語版です、日本人にはありがたいですね。違いと言えば公台がやたらと罪人の割には尊重されて居る所と曹操の大人物さでしょう。正直新版嫌いと云う所もよくわかります。テンポ悪いしね。呂布が縛り首でなくて射殺されてるのは後述する横山アニメ版と同じですね。其の外今作では曹操がやたらと引き留めるのと陳宮が生かして置いたら遺臭万載(中国人これすきだよな)悪口を言ってやるぞとか言ってるのと、処刑場がどこだよここっていうレベルの所になっているとこでしょうか、終始曹操が手を握ったり引き留めまくったりホモホモしいですね。
新版嫌いな人も多いですが、私は之はこれでいいとは思いますね、絵がきれいだし字幕が全部入ってるし、アクションが94年版より見ごたえがあるしですね。陳宮で云えばこの場面は曹操の奸雄さと、そうなり切れない所の微妙な心情が書けてていいと思います。酒を袖で隠して飲む慇懃無礼とか首をはねた後に曹操が泣くシーンとかグッときますね。以上中国の2大三国志でした。
新旧三国志比較
新旧の三国志での陳宮の比較です。わかりやすくていい動画ですね。
中国アニメ
中国アニメ、題名は不明、最近のアニメです、作画がおかしいところが多いのですがこのシーンはいいほうですね、陳宮が出てくるのは1:00~問答の前半部分は同じながら、老母妻子はどうするのかと問われれて貴様のすきにするがいいと答えて後半の問答をすっ飛ばしてますね。陳宮が処刑場に赴くときに左右の人が引き留めが兵士が止めると云う所でも再現されているのがうれしい。曹操はしっかり席を立って見送っていますが、都で養う云々は言ってないですね。
斬首官、手を動かせ!って言って斬首官の方が引いてるのは面白いですね。
基本に忠実でよいと思います。
日本の白門楼の問答
横山三国志
はっきりいます、一番ひどい、いくら1971年に原作開始とはいえ、1991年のアニメが之はねえだろうという作り、之の放送と同時期に中国の老三国の作成が始まってるからなおひどい、呂布はなぜか雪原で射殺されるし、陳宮は城壁から飛び降りて自殺するし、てか軍師の割に甲冑来て戦ってるし・・・
陳宮のシーンは18:15~、何故か曹操と切りあって傷もないのに自殺、てか曹操様も総大将なのに単身突撃すんなよな・・・・
当然問答も無し、感動シーンも何もなし、因みに漫画版でも問答はなくただ5人全員首を切られるだけ、原作あるのにいくらなんでもあんまりだ。
巷では人気でコラ画像でも人気な横山三国志ですが、ぜひ一度原作を読んで抜かされたエピソードとかを楽しんでほしいです。
ちなみに原作漫画
呂布と共に斬首されるだけです。
アニメ三国志
シナノ企画制作1992年生三国志、陳宮のシーンは4:30~
基本的に問答に忠実で服装も文官、呂布もしっかり縛り首にされていいね。なぜ横山三国志アニメではこれができなかったのか・・・・
曹操が陳宮LOVEで誤れば許すんだよ!!って心の中で絶叫してるシーンいいですね、心に来ます、曹操様その後のダメージ無茶苦茶おおくて呂布に八つ当たり的に死刑を言い渡すのもよい、そりゃ呂布も抵抗するわw
基本に忠実よいですね。
蒼天航路
最近の漫画で人気のある蒼天版。2009年放送、個人的にこれが正史に近いとは思いませんが、之はこれでいいと思います。自信や妻子などを問う問答が天下国家を論じるものになったり、原作では無視されていた劉備に水を向けたりするのはいいでしょう。呂布が陳宮より先に死んでたり、陳宮も縛り首だったりするのは誤差ですかね?
三国無双8
なぜかオネエ口調、問答は命は惜しまぬものの天下為公という礼記のことばをつかってむやみな殺生を戒める。処刑シーンは無し、曹操とのからみも今一つですね。
まとめ
日中の三国志の陳宮の死を比較して、実際にはこれ以外にも様々な作品もあるのですが、私の力不足でこのような結果になりました。結果として中国の作品は良くも悪くも原点からは離れられず、日本の作品の方が自由に陳宮を描けている感じはしますね、まあ、日本人漢字が読めないですから中国語わかんないですからね。私的な推しは中国なら老三国、日本ではシナノ企画でしょうか?
皆さんの好みの作品や、こういうのもあるよっていう方はコメントなんかで教えてくれると嬉しいです!!
またご支援ご感想お待ちしています!!どんどんおねがいします(乞食)
それではまた次回!!
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