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戦わない採用~鈴木貴文~を読んで

戦わない採用を読んだ。著者は株式会社TalentX(旧株式会社MyRefer) 代表取締役CEOの鈴木貴文さん。

私の前職のボスである。

MyReferという会社で働いた人間、リファラル採用に関わった人間として感想を述べたい。

概要としては、リファラル採用の基礎編というイメージ。リファラル採用を知っている、導入している、関わったことがある人は改めてのおさらいになる部分が多いかと思う。

ただこの著書で鈴木さんが伝えたいことはリファラル採用いいよ、導入しようという、リファラル採用のPR本ということではなく、日本の旧来の採用システムでハッピーにならない企業・人が多い。採用の仕組み自体をアップデートする必要がある。そしてその先には、リファラルを通して、会社の文化醸成・エンゲージメントの向上にも繋がっていく。採用自体の在り方を問うというメッセージがあったんじゃないかと感じた。

鈴木さんにはブレない軸があり、著書に書かれていることは働いていた頃よく目にしたし、よく聞いた。ずっと仰っていることに一貫性があり、常にその考えがアップデートしていっている。

 私自身、タレントXとなる前身のマイリファーで1年弱働いていた。いわゆるアルムナイである。著書を読んで改めて感じたことを書く。


1.リファラル採用のメリット・デメリットについて

 リファラルには数多くのメリットはあるが、一つだけに絞るのであれば  コスト=費用対効果があげられる。

 私は人材業界出身ではないので先入観なく採用業界を見たが、エージェントに頼むと一人100万円以上のコストが発生するわけで、そんな高額を払ってもミスマッチが起きる可能性が非常に高い。

 また採用業界はイケイケ営業会社が多いので、企業のことを考えずとにかく人を押し込もうとする企業も多い。これは成果を短期で求められる業界の構造もあるので致し方ない点はあると思う。

 企業も人が欲しいので、ある意味需要と供給は成り立っているわけだが、
入社後すぐに辞めててしまうというのはあるあるだと思う。

 リファラルはエージェントを通じた第3者視点の情報ではなく、実際にその企業で働いている、しかも友人から情報を聞くことができる。著書にも書かれているが、生々しい情報を得て判断ができる。

 鈴木さんが書かれていて、そうだなと改めて感じたのは飲食店を選ぶ際に
インスタグラムや口コミや生々しい情報を基にお店選びを行うのと同じ。

 また採用面だけではなく、リファラルを通じて会社のブランディング構築ができる。アウターブランディング、インナーブランディング。
 ただブランディング構築にあたって リファラルが先か、エンゲージメントが先かの鶏卵論争は必ず出てくるが、私は結論両方なんだろうなと思う。
 
 リファラルを通じてエンゲージメントが上がりますよというのは営業トークだが労働環境が最悪な会社がリファラルをしたら変わるかというと違う。
 論点はそこではないから。(そんな会社がリファラルをしないと思うが)

 エンゲージメントが向上してからリファラルを実施しようと思っていますは人事の断り文句だが、いったいいつになったらエンゲージメントが上がったと言えるのか、定量的に測定しているわけではなく感覚値で言っているのでそういった会社はリファラルをしない(だろう)し、いつまでたってもエンゲージメントも上がらない(だろう)。

 だから、リファラルをすることもエンゲージメントを上げることも、どちらかではなく、働きやすさと働きがいを上げる両方のサイクルを回していくことが大事。

 一方でデメリットについては、リファラルが流行るか流行らないかは企業の熱量次第だということ。人事担当者の一存で決めても一過性の取組みで終わる。リファラルは自分事として取り組む従業員(著書の中で出てくるアクティブ層)が増えない限り、流行らない。
 そのためには、経営戦略としてよりトップに近い人物を巻き込んでのメッセージ発信や流行らせる制度の設計が必要になってくる。

だからそこまでの熱量をもって取り組めるのかがポイントになると思う。
著書の中では成功事例を基に具体策が紹介されている。

2.リファラル採用は日本で増えるのか?

 リファラル採用はこれから増えるのか?増えると思う。ただ、私が感じたほどスケールしていない。恐らく関わった多くの人は感じていると思う。

 マイリファーの導入企業は増えているし、リファラルに取り組む企業は間違いなく増えている。ただ私が入社した時に感じた爆発的に伸びていくのでは?という感覚に合った伸び方はしていない。

 なぜか?

 恐らくまだ日本の雇用環境とのズレがあるんだと思う。アメリカでは採用手法で最も多く用いられている手法がリファラルだと言われているが、ジョブ型が当たり前の環境とそうではない日本ではやはり違う。

 まだまだリファラル=縁故というイメージが払しょくできていないということもある。では、爆発的にこれから伸びるかというと感覚としては時間がかかるのではないかというのが私の答え。
 理由は上記で述べた雇用環境とのずれが急激に変わるわけではないから、
もう少し時間がかかるのではないかと思う。

3.最後に

 鈴木さんが見ている世界はもっと先の未来を見ていてだからマイリファーからTalentXに社名変更したんだと思う。誰よりも愛着があっただろうし、愛着がある従業員が多いことも分かっていて決断をした鈴木さんは単純にすごいなぁと感じる。

今は福利厚生を提供する仕事に変わったが、改めてエンゲージメントを向上させるための取り組み方、どのように従業員を巻き込んでいくかについて、リファラル採用と共通する部分が多くヒントを得ることができたし、企業の魅力を整理するフレームワークのWORCSは勉強になった。

私はこれからもリファラル採用を応援し、TalentXの躍進をアルムナイといて期待したい。


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