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五歳息子、初めての雪に飛ぶ

大雪。
積雪は何年振りか。
五歳息子が一歳の頃に確か……
当人は露知らず。初めての雪に大興奮。

保育園帰り。
電車遅延でママは東京から戻ってこれない。
夜道を父子で手を繋ぎ帰る。
私とて酸素カートでの雪道は初めて。
息子の方が介添えしてくれる構図。

アパート前の駐車場は雪原に。
「遊んで待ってよう」と息子。
躊躇したが、こんなの次いつあるか。
雪の思い出に快諾した。

新雪に足跡を付け走り回る。
蹴り上げようとして飛んだ長靴を見て笑った。
楽しげな声を聞いているだけで寒さも忘れるいや寒い。

小一時間ほど。
休憩にごろんと仰向けになった息子が言う。
「パパ、宇宙に向かって飛んでるみたいだよ」

同じように寝そべると……確かに。
夜空から雪が次々と出現して降りかかり、
逆に向こうに吸い込まれていくような感覚。

「ただいまー」
ママの声がした。
異様なテンションで駆けてきて息子の隣にごろん。
「疲れたー。電車ぎゅうぎゅう詰めだったよー」

三人そのまま雪のベッドにてしばし。


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玉雪や我ら宇宙の塵となり

(たまゆきやわれらうちゅうのちりとなり)

季語(三冬): 雪、六花、小雪、大雪、深雪、粉雪、細雪、小米雪、新雪、根雪、雪明り、雪晴


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